おさかなML(fishml)の「包丁談義」その2

おさかなML(fishml)には、料理のプロの方も加入しておられます。
これらの方を中心にして、「包丁についての蘊蓄」が語られていますので、ご紹介いたします。
なお、この件につきましては、私はよくわかりません。
ご質問等がございましたら、私にメールをくだされば、料理のプロの方に転送いたします。   メールを出す。

ハンドル 投稿内容 投稿日
伊井@アマチュア >ところで、市場で見たことありますが、まぐろの捌きに使う、でかい出刃と「まぐろ包丁」ってスゴイですよね!
>とくに「まぐろ包丁」って日本刀みたい・・。

以前にTVで捌くのを放映してましたが、三人掛かりでしたよ。@_@
一人は包丁持つ役、一人はマグロ押さえる役、もう一人は切っ先押さえる役(この役が一番怖い^^;)。
まぐろ包丁をしならせながらざっくり捌いてました。

>そこでバチや、キハダ、クロまぐろなど捌くときって、柳刃と大出刃で出来るのでしょうか?
>「まぐろ包丁」が必要なのですか? (あれ、素人が触っていけない物の様な気がして恐い・・。)

当然ながら私も素人ですから捌いたことありません。_o_ 詳しい方の話を聞きたいです。
# 出刃も七寸までは使ったことあるんですが、このサイズ だと重くてたいへんでした。^^;
# やっぱ私が使うには、五寸出刃がいいとこです。
99.3.15
遊佐@素人魚屋 > 一人は包丁持つ役、一人はマグロ押さえる役、もう一人は切っ先押さえる役(この役が一番怖い^^;)。
> まぐろ包丁をしならせながらざっくり捌いてました。

確かに、あれはスゴイですよねー。メールから想像するところ、私の見た包丁よりも大きいようですね!!
確かに、数人で捌いていましたね。私など、あぜん・・としていました。これぞプロって感じで、感動しました。
99.3.15
お多福 >いま使っている柳刃と相出刃が築地正本で購入したのです。
>小出刃が有次のです。杉本のは使ったことないです。
>この中では、有次のが(安物でしたが)一番しっくりくると思うので、次も有次で買おうかと思ってます。
># ちなみに出刃は木屋の刃物まつりで買ったものです。^^;

すいません。杉本は一般的な庖丁ではありませんでした。勘違いです。m(__)m
有次でした。特徴として(霞で言えば)鋼材を柔らかく作るようです。あくまでも私見ですが・・・・・・・
私は有次好きです。やはり先代までの物ですが・・大きくなると大量生産になる為にしょうがない事ですが。

>まだ霞しか使ったことないので、本焼を使って(というか研いで)みたいと思ってます。
># 本焼を使いこなす自信はあまりないんですが....^^; # なにごとも経験ということで....

本焼きは堅いですから研ぎは難しいですよ。
本焼きのメリット
  1. 堅いが故に刃落ちが遅い。
  2. 研いで鏡面になる。
  3. 高い故に自慢になる(^0^)
デメリット
  1. 堅い故に研ぎ辛い。
  2. 堅い故に刃こぼれしやすい。
  3. 高い。
># 築地正本は正本総本店とは別ルートの包丁と聞いていますが、あってるでしょうか?

築地正元の言い分では総本店からの流れと言い総本店は関係無いと言い張って居ると20年前は聞きました。

>庖丁を見るだけで良し悪しが分かる目は持ちあわせていないので、プロの人を始めとするユーザーの評価は貴重なんです。

こればっかりは鋼材の打ち方による好みしかないのです。
自分で振っておいて支離滅裂になりますが、素人さんには分からない事だと思います。
新しい庖丁は刃こぼれがしやすいのですが研いでいる内に刃こぼれしなくなります。
それが素人さんでしたらただの刃こぼれですので”この庖丁は良くない”なんて事になりやすいです。
要は好みですね(^0^)堅い刃が好きな人も居れば柔らかい刃は好きな人と千差万別ですのでまずは、自分の好みを分かってください。
話は変わりますが、私が修行させていただいた料亭は宮内庁ご用達でしたので、当時の親父(花板)は菊のご紋書入りの庖丁を賜りました。カッコ良かったですよ!
欲しくて欲しくて親父に「ください」って言った事があります。勿論「駄目」の一言で終わりましたが(^^;;
99.3.16
お多福 東京の江戸仕事と、関西の京仕事は相反する物です。
厳密に言えば仕事の違いが有ったのかもしれません。
私が修行時代は剥き物庖丁は当たり前でしたが、江戸時代ではあまり細工物が無く東型で十分だったのかもしれません。
京仕事は素材の鮮度悪い為に細工する仕事が生まれ今の形になったと推測されます。
剥き物庖丁は鎌形に似ている事から、関東でも剥き物庖丁が出来たと思います。

私の店では叔父が花板を勤めているのですが、叔父の話によると剥き物庖丁なんて昔は東京には無かったのことです。
タコ引きに関しても、江戸仕事はタコ引きで柳は関西庖丁だったそうです。
昭和30年初期に柳が使われ出し、40年には一般的になったそうです。
柳の情報に対して、私が修行した時代の思いこみで皆さんに間違った情報を流してしまったことをお詫びします。
元々庖丁は、自分の好みで打ってもらうもので種類を伝えた後刃の角度や厚みなどを指定したそうです。
私たちの時代でも特注はありますが、普通は柄の形や柄の元を止めている材料の指定くらいしかした事がありませんでした。
もっとも出来あがりのままで満足する調理人はいませんから、自分の好みに研ぎあげて、満足する形になったらその庖丁は仕舞い、新しい庖丁を買って好みの形にして何本か同じ種類の庖丁を揃える物です。
そうすれば何時でも自分にあった庖丁を使えるのです。もっとも仕上げる時間は掛りますが・・・
99.3.15
お多福 >これぞプロって感じで、感動しました。

一度下させていただいた事があるのですが、難しいです(^^;;;;
両手持ちの鮪庖丁なども有ったり、本焼きで作り飾りにしているお店も有ったようです。
99.3.17
伊井@アマチュア >すいません。杉本は一般的な庖丁ではありませんでした。勘違いです。m(__)m

あれ?築地場外には「築地正本」「有次」「杉本」の三軒が店を出してますよ。
杉本にも一般の包丁はありました。(私がたまたま使ってないだけです)
# この三軒のうち、場内には杉本のみありませんが。

>有次でした。特徴として(霞で言えば)鋼材を柔らかく作るようです。あくまでも私見ですが・・・・・・・

私の持ってる有次の出刃は家庭用の5000円のものなんですが、家庭用のせいか確かに刃が柔らかいように思いました。すぐに刃がつきます。でも、長切れしないです。
# あまり大量に捌かないし、使うたびに研ぎは入れるので長切れする必要もないのですが。^^;

>私は有次好きです。やはり先代までの物ですが・・大きくなると大量生産になる為にしょうがない事ですが(T-T)

私がその有次で気にいったのは、裏押しが奇麗につくことです。
裏押しの幅も均一ですし、切っ先の裏も流線に裏押しができました。
あと、銘が裏刃に入れてあるところもミーハー心をそそります。^^;

>本焼きは堅いですから研ぎは難しいですよ。

そこは承知しています。どう難しいかを実体験してみたいです。^^;
霞でも安来鋼の青紙を研ぐ場合などは砥石へのあたりが硬くて研ぎ辛く感じてます。最近やっと青紙の包丁で気にいった研ぎができるようになったかな?と自分では思ってます。
本焼だと霞と違い軟鉄のあたりがなくなりますから、よりシビアな研ぎになるかと想像していますが、シビアさに痺れてみたい年頃なんです。^^;;

>3、高い故に自慢になる(^0^)

やっぱ、大事なのは3でしょう!^^; 私のようなアマチュアにとっては包丁に効率を追うよりも、自己満足的な要素が大きいですから。
あと、プロが使う道具を使ってみたい、というミーハー心もあります。^^;;
# プロは大量に捌くから刃持ちのする本焼を使うのでしょうけど、アマチュアは捌く量少ないから、効率を追うなら柔ら
# かい鋼の方がいいのでしょうけど。

値段は張りますが、途中で研ぎ辛さにめげなければ^^; 一生使いたい、とは思ってます。

>こればっかりは鋼材の打ち方による好みしかないのです。
>自分で振っておいて支離滅裂になりますが、素人さんには分からない事だと思います。

目で見てわかるのは私も不可能だと思ってますが、使って良し悪しがわかるのも不可能ということでしょうか?
そこも一応気にはしていて^^;、週に一、二度包丁を握って家族の食事のみ作るアマが、毎日大量に客に出すために捌いているプロと同列には包丁を使いこなせない、という事は自覚しています。

>新しい庖丁は刃こぼれがしやすいのですが研いでいる内に刃こぼれしなくなります。

これは私も経験あります。いま使っている出刃が刃こぼれしにくいです。
この出刃は、二段刃、三段刃に研ぎを入れてみようとあれこれ研ぎを変えていたものでした。
結局、二段刃は付けられなくて諦めた^^;んですが、研ぎを直しているうちに刃こぼれも減ってきました。
もしかして、変に研ぎをいじったので丸っ刃になったかとも思ったんですが、そこそこ切れる刃がついているのでなぜだろうと思ってました。
その後他の包丁で気づいたんですが、買ってからしばらくの間は比較的簡単に「返り」が出ているのが、研ぎを重ねると
返りがでにくくなるように思います。これって表面の鋼と、ほんの少し内側の鋼とで硬さが変わるかららしいですね。

>それが素人さんでしたらただの刃こぼれですので”この庖丁は良くない”なんて事になりやすいです。

私の場合、高い包丁(鋼が硬いにほぼ等しい^^;)の方が刃こぼれさせやすいです。^^;;

>要は好みですね(^0^)
>堅い刃が好きな人も居れば柔らかい刃が好きな人と千差万別ですのでまずは、自分の好みを分かってください。

ここらはいろんな包丁をたくさん使いこなさないとわかんないんでしょうね....鍛冶職人の焼き入れや焼戻しの温度で
同じ種類の鋼でも別の包丁になると聞いてますから...確かにまだ自分の好みがわかってないとこです。
99.3.18
落塵@鮎や 包丁もなかなか奥が深いのですね。素人ながら関心して読んでおります。
そうそう、刃物は油分をきれいにぬぐい取り、裸電球の40Wくらいの光で見ると、出来が悪いか良いかわかるそうです。
そのときに、きれいに研いでいるとなお良くわかります。
よい鉄は砥石に甘く、しかもよく切れるようです。また、さび方が微妙に違うようですね。
ところで、マグロを切っている包丁には、刃紋なんかあるのでしょうか?
生まれて始めて築地で、まぐろを切っているのを見たときはすごくびっくりしました。(あまりに包丁が長いので)
99.3.18
遊佐(yusa)@福島 > 一度下させていただいた事があるのですが、難しいです(^^;;;;
> 両手持ちの鮪庖丁なども有ったり、本焼きで作り飾りにしている お店も有ったようです。

さすが!扱ったことがあるのですね!
両手持ちというと・・デカイですよね。(想像)
私の記憶ですと、タコ引きの超特大版のような感じで、すごく光り輝いていたのが記憶に残っています。
(輝きが違う・・ほんと刀の様でした。)
なんか刃先はタコ引きともちょっと違っていたようでしたが(あいまい)
はっきり覚えているのは、刃が長くて、当然、柄の部分も長かったのが鮮烈に記憶に残っています。
その時の市場のかたの顔も覚えています。かっこいいー!って感じです。(笑)
飾って置くのも、凄いですね。まぐろ包丁見れば、誰もが驚くでしょうから。
パフォーマンスや、店のアピールになると思います。
99.3.18
伊井@アマチュア >包丁もなかなか奥が深いのですね。素人ながら関心して読んでおります。

奥が深いですよね...自分で包丁研いで料理するようになってから10年程度ですが、まだまだわからない事たくさんあります。 # 毎日使わないのが一番の問題点か。^^;
包丁の話になると砥石のことが避けて通れないですが、こっちがまた奥が深くて...もっと経験積まないといかんと思う今日この頃です。^^;

>そうそう、刃物は油分をきれいにぬぐい取り、裸電球の>40Wくらいの光で見ると、出来が悪いか良いかわかるそうです。そのときに、きれいに研いでいるとなお良くわかります。

これは反射により、刃身の狂いの評価をする目的でしょうか。
一度良い包丁と悪い包丁を見比べてみて違いを覚えるようにしてみたいです。
そういえば、複数の包丁を比べて見比べるというのは手持ちの包丁でもできますよね、今度やってみよう。^^

>ところで、マグロを切っている包丁には、刃紋なんかあるのでしょうか?

波紋はどうでしょう...写真で見た感じでは気づきませんでしたが...実物はまじまじと眺めたことないので...使ったことある
人のフォローを期待。_o_
日本刀の波紋の付け方は、焼き入れの時に泥を張ることで温度差を生み、光沢の差を作るらしいですね。かっこいいです。^^;
波紋とは違いますが、霞包丁を研ぎ上げた時に鋼と軟鉄の間に奇麗に境界ができるのが砥ぎ上げた時の嬉しさでもあります。^^;
ふと思い出したんですが、木屋で売っている七層重ね打ちの包丁(高い!)って、砥ぎ上げるとどんな感じになるんでしょう
か、縞が浮き出てくるのかしら???  # 試してみたいけど、さすがにお金が....
99.3.18
お多福 >両手持ちというと・・デカイですよね。(想像)

両手持の柄は当たり前でしたね(^^;; 刃先にも柄が付いていて二人で両端を持つ形でした。

>はっきり覚えているのは、刃が長くて、当然、柄の部分も長かったのが鮮烈に記憶に残っています。

刃先は刀みたいに尖っています。

>飾って置くのも、凄いですね。まぐろ包丁見れば、誰もが驚くでしょうから。
>パフォーマンスや、店のアピールになると思います。

人の好き好きだけど、道具は人に見せるもんじゃないと思うのですが・・・・・
あくまでも使うものであり飾り物じゃないじゃないかな〜〜
黒檀の柄で鏡面仕上げの本焼きとかも飾っている人いるけどちょっとな〜〜?
良い道具は使ってなんぼ!じゃないですかね?
99.3.18
お多福 >値段は張りますが、途中で研ぎ辛さにめげなければ^^; 一生使>いたい、とは思ってます。

私達は毎日研いでいますが、一般の方も使ったら最後に砥ぐ!を実行しているとそんなに難儀しなくて済みますよ。
家庭で使うくらいでしたら買った時にちゃんと刃を付けたら後は撫でるくらいで刃が立つでしょう。
辛いのは最初だけですよ(^0^) それこそ一生物ですよ。

>変に研ぎをいじったので丸っ刃になったかとも思ったんですが、そこそこ切れる刃がついているのでなぜだろうと
>思ってました。

ん〜〜〜、出刃の場合、叩き出刃などは元の方を、起てて段刃にする方は居ますが、何故三段刃にする必要があるのでしょう?

>私の場合、高い包丁(鋼が硬いにほぼ等しい^^;)の方が刃こぼれさせやすいです。^^;;

知識が有って研げる方でしたら後は、使い方ですね(^^;;
こじっちゃいけませんよ。こじらなければ、庖丁は刃こぼれしません。
99.3.18
伊井@アマチュア >私達は毎日研いでいますが、一般の方も使ったら最後に砥ぐ!を実行しているとそんなに難儀しなくて済みますよ。

毎日使うわけではないですが、使った後は砥ぐことは励行してます。(刺身引いた当日は磨きのみにして、翌日砥ぐことが多いですが^^;)。面直しも砥ぐたびにしています。

>家庭で使うくらいでしたら買った時にちゃんと刃を付けたら>後は撫でるくらいで刃が立つでしょう。
>辛いのは最初だけですよ(^0^)

おっしゃ!本焼刺身包丁買うどー、決めた!^^;

>ん〜〜〜、出刃の場合、叩き出刃などは元の方を、起てて段刃にする方は居ますが、何故三段刃にする必要があるのでしょう?

そもそも私が二段刃、三段刃にしてみようとしたのは、「包丁入門(田中恒雄著、柴田書店)」の中で、これらの記述
を見て、自分でできるかどうか試しにやってみたんです。
二段刃、三段刃の目的は刃角を大きくすることで刃こぼれを減らすことだと理解していますが、両者の違いというのは
よくわかりません。三段刃の方がより刃角が大きいくらいの意味だと思ってます。
特に三段刃の場合は裏刃を浮かせて研ぐので、私には無理でした。段付けはもうやめました。
今は少しくらいの刃こぼれは砥いでいるうちに消えるので気にしないようにしてます。

>こじっちゃいけませんよ。こじらなければ、庖丁は刃こぼれしません。

やっぱ使い方(=腕)でしょうかね。^^;;
こじらない事や、凍ったものに刃を入れないのは意識はしてます。よく出刃が刃こぼれするのは、マダイや根魚類(ハタやアコウ)の頭を落とす時と、マダイの兜を割る場合で、峰に手のひらあてて「うりゃ!」と切る時です。
刃を入れる場所とか角度に問題ありそうですね。^^;;
頭落とす時は中骨の切れ目に入れるとか、兜割にも刃を入れる目があるとかは聞くんですが、なかなか難しい.....
99.3.19
遊佐(yusa)@福島 > 刃先は刀みたいに尖っています。

私の見たのは尖ってはいなかったような・・。 結構、種類があるという事でしょうか。

> 良い道具は使ってなんぼ!じゃないですかね?

なるほど。正論ですね。(納得)
包丁ですからね。使ってなんぼ、あたりまえですね。
趣味の刀とは違いますから。魚に使う道具です。確かに飾って置いても??ですね。
99.3.19
Bさん@川崎 波紋って・・ 興味で刀剣で検索したので参考になるか
  http://www1.odn.ne.jp/~cal76190/index.html

実際には、焼き入れでの仕上げと研ぎによって、重ね合わせていった鉄が縞の様に出てくる・・とても綺麗ですね。 
鎌倉時代の古刀で見た事があります。
でも研ぎ代がとても高い・・一寸幾ら今は幾らなんでしょう
鍛え上げた日本刀は、変に力を入れて切ると曲がってしまい、鞘に戻らなくなるそうです。 
でも暫くすると直っている 不思議ですね。
99.3.19



Copyright(C) Sept.28.1999 by Toshio Yabe. Allrights reserved