海草を肥料にする話

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河原@福山 2001.01.11  先日仕事先の百島で、かつてはその周辺の瀬戸内海沿岸地域では、アマモ(海草:海藻でなく陸上植物と同じ仲間、藻場を形成します)を、優良な肥料として利用していたという話を聞きました。
子どもも手伝って、海底のアマモを刈り取ったのだそうです。
 陸からの栄養を吸収して育った、海草を刈り取って、陸上植物の栄養とするなんて、究極の物質循環だ〜〜、と感心してしまいました。
 今の世の中、外国から食料をしこたま輸入して、食べて、排泄して、海に流れた世界中の栄養は何に姿を変えているのでしょう。
 私はこういう視点からも、輸入魚は NO thank you! です。
 海草を肥料にする話、他にもあったら教えてください。
KOM@
風邪最中
2001.01.11 確か、昨年の晩秋に、TBSのウルルンでやってました。
イギリスだったかと記憶しておりますが、なんでも、岩盤を細かく砕いて、そこに海藻を敷き詰め、10年くらい経過すると、立派な畑になるとか。
肥料になるというより、土になるといったほうがいいかもしれません。
おきなわのひとえぐさは、刈り取らないと腐って異様なにおいを撒き散らすらしいのですが、海藻のほうが陸上の植物よりも手っ取り早く腐るのでしょうか。
heita
@沖縄
2001.01.11  沖縄では古くから海草を畑の肥料として使っていたとは聞いていますが、全然詳しくないのでROMの予定でしたが、タイムリーにも今日の沖縄タイムスに記事が載っていたので、チョット報告します。
有機農業の話です。少し肥料の話と外れるかもしれませんが、水産にも参考になると思いますので、例によって概略を引用します。(今年になって引用ばかりしてますね。)

ここから。
1.佐久本さん(62才)。
*農薬は農家が使っているから農薬と言ってるだけで、本当は毒。
*20年前、父の後を継いで農業した。当時は農薬も化学肥料も当たり前に使っていたが、ハウスの借金も返せなかった。
*父に相談すると、昔は海草やウニ等海のものを畑にまいていたと言うので、昔のやり方に戻した。
*それからは毎年良くなり、作物の味は違うし、日持ちもする。体も健康になった。研究を重ね、独自の有機肥料と農薬に代わる液肥を作り、佐久本式農法を実践している。
*今では口コミで広がり、子供の野菜嫌いがなくなった等、直接畑まで車で買いに来る人も珍しくない。
◎買って下さいではなく、売って下さいと言われる作物をこれからも作りたい。

2.本山さん(43才)
*有機農産物を食べてみたら美味く、他のものを食べられなくなった。
自分の食べる物を作ろうと農業を始めた。
*肥料は畑の周りの雑藻を鍬込む。それが栄養になり、除草剤を使うよりも地力が付く。病害虫が発生することもあるが、ピークを過ぎれば自然といなくなる。
*化学肥料だから沢山獲れるってことじゃない。むしろ仕事がハードで経費もかかる。農薬まみれになって体を壊すより有機がいい。
*安定供給の面で課題は残るが、迷わず続ける。
以上。

 農業は(も?)ほとんど判りませんが、有機農法は書いてあるほど楽ではないと思います。でも、売って下さいと言ってもらえるものを扱うのは、食品流通業者に共通する目標ではないでしょうか?
 昔ながらの海岸にいると、軽トラックに海草やウニ、貝など手当たり次第積み込んでいくのを見ることがあります。
今までは、漠然と、養豚業の餌かな?と思っていたのですが、畑の肥料だったのでしょうね。
今では、トラックを乗り付けることが出来る海岸は、極めて少なくなってしまいました。
塩崎@東北大水産化学 2001.01.11 「海藻は地上の植物に比べ成長が早いのでこれからは海藻をどんどん活用していかなくてはならない!!」というのが口癖の先生がうちの大学にいます。
そんな影響もあり、海藻を肥料として使えばいいんじゃないかな〜〜とちょっと考えたことがあります。
肥料を大学院で勉強している友人がいたのでちょっと話を聞いてみました。

友人:「塩分がたくさん入っているよね?いいのかな?」と、素朴な疑問が返ってきました。
たしかにそのまま使ったら植物に悪そうなイメージがするのですが、実際に使っているということは大丈夫なんでしょうか?
それとも塩に強い?作物なら大丈夫ってことなのですかね〜〜?
素朴な疑問でした。気になる〜〜♪ (^.^)
仁家@農民 2001.01.12 > それとも塩に強い?作物なら大丈夫ってことなのですかね〜〜?
> 素朴な疑問でした。気になる〜〜♪ (^.^)


塩分に強い植物もありますが、海藻をそのまま与えると、やはり塩害(肥料分を受け入れなくなる)をおこします。
我が家の近所に、海藻を乾燥させ粉砕して、ふりかけの原料を作ってるトコがあります。
そこの掃き溜め(砂混じりの海藻粉末)が植物にいいよ。と言われ、今では私も愛好家です。
塩分を調べてみたら、ほとんどありませんでした。充分な洗浄のおかげのようです。
ミネラル分たっぷりのおかげで、我が家の野菜には甘みがたっぷり、地元の産直でも好評ですし、子供達も好き嫌いありません。
海の力、と言うか恵みですね(^_^)/~
吉岡@隠岐@晩学生 2001.01.12 隠岐では、砂浜で沢山の海藻が波によって吹き寄せられる場所があります。
そこは、夏は海水浴場ですので、バックホーでかき集めてどこかへ捨てている様子なので、村の役場のかたに「すごい資源があるじゃないですか」といったところ、きょとんとした顔をされました。
しかし、林野庁の海岸林を造成した事例で、北海道で海藻を苗木を植えるのにマルチ
ング(地面をおおう)のに使って成功した事例があります。

>塩分に強い植物もありますが、
>海藻をそのまま与えると、やはり塩害(肥料分を受け入れなくなる)をおこします。
中略
>そこの掃き溜め(砂混じりの海藻粉末)が植物にいいよ。
>と言われ、今では私も愛好家です。
>塩分を調べてみたら、ほとんどありませんでした。>充分な洗浄のおかげのようです。


そうなんです。
塩分、特にナトリウムイオンは土の団粒構造を壊すものとして、害になります。
ですから、洗浄は欠かせません。
植物の生育には15(16)元素が必要だされています。
海藻は分析したことがありませんが、カリウム、ヨウ素、リン等が多く含まれているように思われます。
化学的性質だけでなく、土に混入した場合、物理的性質(通気性、排水性)を改善することも可能で、しかも、生物に分解されます。
物質循環を考える上で、非常に有効であると考えられます。
海草からとれたもので、微生物を育てるスラントカルチャーに用いる寒天、酵素などを分子フルイ効果で精製するセファデックスなどは欠かせないものですね。
 話がそれますが、カニの甲羅のキチンキトサンの研究の端緒はアメリカから日本のある地方大学に赴任した先生が、歓迎会に出たカニから捨てられる甲羅を研究した結果だと聞いています。
今ではその先生、リタイヤしましたが忙しくされているそうです。
 このように近くにある未利用資源を研究し、活用することは重要なことであると考えられます。
塩崎@東北大水産化学 2001.01.12 やっぱり塩分は取り除かなくてはいけないんですね。なるほどなるほど。
海藻はミネラルの宝庫ということで、これからかなり肥料として有効利用されていきそうですね。
皆さんのメールより”成長がよくなる”というよりも”味がよくなる”といった効果があるみたいで、とても面白く思いました。
海藻のミネラル成分だけでなく、含まれている有機物もきっと作用しているのですね。
未利用資源の利用が注目されている今、学問としても非常に面白いと思います。
ミネラル豊富といえば、話題の海洋深層水もミネラルが豊富ですから、同様に植物を育てるのに利用できそうですね。
これから深層水を採水する施設もどんどん増えていくそうですし。
でも魚やらロブスターやらもう飼育しているのだから、すでに誰かがやってそうですね。 
海はやっぱり大きいですね。
河原@福山 2001.01.12 > 確か、昨年の晩秋に、TBSのウルルンでやってました。

 その番組は見なかったですが、だいぶ前にアイスランドか、アイルランドか寒い地方の島で同じようにして、畑を作る番組を見ました。
 その記憶があったので、やはり日本でもしていたのだなと思って投稿してみた次第です。

> おきなわのひとえぐさは、刈り取らないと腐って、異様なにおいを撒き散らすらしいの
> ですが、海藻のほうが陸上の植物よりも手っ取り早く腐るのでしょうか。


 確かにそんな印象がありますね。
でも、陸上の植物も、堆肥になりやすいもの、なりにくいものがあるようですから、海藻も種類によって、腐り易さが異なるかもしれません。
 でも、乾燥させた状態で長持ちするのは海藻の方のような気がしますね。
ひとえぐさの臭いや腐る原因は、海水中の分解細菌のせいだとおもいます。
海藻を食べるアワビも、死んで腐ったものは鼻が曲がります(おまけ)。
河原@福山 2001.01.12 > *父に相談すると、昔は海草やウニ等海のものを畑にまいていたと言うので、
> 昔のやり方に戻した。


ヒトデも、いい肥料になるらしいですよ。

> *今では口コミで広がり、子供の野菜嫌いがなくなった等、直接畑まで車で買
> いに来る人も珍しくない。


うちの息子でも食べられるかなぁ?

> ◎買って下さいではなく、売って下さいと言われる作物をこれからも作りたい。

ここは、◎ですね。生産者の夢、なんでしょうね。

(2は省略させていただきました。)

>  農業は(も?)ほとんど判りませんが、有機農法は書いてあるほど楽ではないと思い>  ます。でも、売って下さいと言ってもらえるものを扱うのは、食品流通業者に共通
>  する目標ではないでしょうか?


 そうですね、工業製品と違って、外部環境の変化にどう対処するか、ご苦労は
多いと思います。
消費者側も、見栄えの良さだけでなく、生産物の来歴にこだわる方向へシフトしていくのかもしれないし、そうであればこそ、生産者の顔が見える商品が必要になるでしょう。
流通業界がそれをどう受け入れていくか、楽しみです。

> 今ではトラックを乗り付けることが出来る海岸は、極めて少なくなってしまいました。

沖縄でもそうなのですね。瀬戸内海は自然海岸を捜すのがとても難しいです。
どうにかしなくちゃと思うんですけれど・・・・。
河原@福山 2001.01.12 > 「海藻は地上の植物に比べ成長が早いのでこれからは海藻をどんどん> 活用していかなくてはならない!!」というのが口癖の先生がうちの大学にいます。

東北大に3人いらっしゃる谷○先生のうちのお一人でしょうか?
東北水研にいらした方ですが・・・。先日著書「磯焼けを海中林へ」を買いました。

> 友人:「塩分がたくさん入っているよね?いいのかな?」
> と素朴な疑問が返ってきました。


この件については、私も気になったので、聞いていました。
刈り取ったあと、しばらく海岸に野ざらしにして、雨で塩分を落とすのだそうです。
説明不足ですみませんでした。
河原@福山 2001.01.12 > ミネラル分たっぷりのおかげで、我が家の野菜には甘みがたっぷり、地元の産直でも> 好評ですし、子供達も好き嫌いありません。海の力、と言うか恵みですね(^_^)/~

実際に肥料として使ってらっしゃる方のご意見が聞けて、大変うれしいです。
肥料としての価値が高いのですね。
ふりかけって、お好み焼きなんかに使ういわゆる「あおのり」でしょうか?
あれは、アナアオサだったと思いましたが・・・。
アナアオサといえば、数年前の中央水研ニュースの表紙写真になっていた、八景島(神奈川県)に大量にうち寄せたアナアオサが印象的です。
その後はどうなっているのかな?

> 隠岐では砂浜で沢山の海藻が波によって吹き寄せられる場所があります。
> そこは、夏は海水浴場ですのでバックホーでかき集めてどこかへ捨てている様子なの> で、村の役場> のかたに「すごい資源があるじゃないですか」といったところ、きょとん> とした顔をされました。


「捨てればゴミ、生かせば資源」ですね。

> しかし、林野庁の海岸林を造成した事例で、北海道で海藻を苗木を植えるのにマルチ
> ング(地面をおおう)のに使って成功した事例があります。


面白いですね。マルチングの目的は、雑草防除(遮光)、防寒、肥料(ビニールじゃまねできない)でしょうか。

> そうなんです。塩分、特にナトリウムイオンは土の団粒構造を壊すものとして、害に
> なります。ですから洗浄は欠かせません。


以前に、家庭排水の件で、煮汁の残りを庭に撒いたら、土によくないってお聞きしましたが、それと同じことですね。

>  このように近くにある未利用資源を研究し、活用することは重要なことであると考
> えられます。

現代にマッチする形で、海の富栄養化→海藻→肥料という、海と陸地のサイクル
がまわるといいですね。学際研究に期待、ですね。
Roku@北摂三田 2001.01.12 >  海草を肥料にする話、他にもあったら教えてください。

 ちょっと間接的な話しも入り、多少長いですが、ご参考に、これを含めて5通、[enviro-news] の過去ログより、転送いたします。(発行者・枝廣淳子さんの了解を得て、一部、管理人の責任で編集してあります。)

[enviro-news 242] きれいな猪鼻湖を取り戻そう〜公開パネルディスカションの報告記(2000.08.11) より。
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           Enviro-News from Junko Edahiro
No. 242 (2000.08.10)
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[No.185][No.187][No.197] でご紹介しました浜名湖青年会議所の環境委員会が3回シリーズで取り組んだ、「美しい浜名湖を取り戻そう」の最後のパネルディスカションがおとといの夜に開催されました。
今回の取り組みは、浜名湖の中でもいちばん奥にある「猪鼻湖」(いのはなこ)を対象にしています。猪鼻湖には、この湖を取り囲むように位置している三ケ日町の5河川が流れ込んでいますが、浜名湖とつながっている部分がとても狭いため、「まるでため池」のような汽水湖となっており、浜名湖の中でも水質の悪化が極めて進んでしまっている湖です。
3回シリーズの一回目で、地元の三ケ日高校の科学部で猪鼻湖の水質調査班を指導され、猪鼻湖の水質改善の研究を続けられてきた大谷先生が、現状について講演されました。
第2回は、「ビジネスとして猪鼻湖の浄化につながる活動を考えよう」というシュミレーションをメンバー対象で行ったようです。
そして第3回が、公開パネルディスカション「このままでいーのかな、いの鼻湖」でした。わたしが基調講演とコーディネータをつとめ、パネリストは、・鈴木三ケ日町長・静岡庁環境部浜名湖保全室長の鈴木さん・大谷先生(現:引佐町教育委員会)でした。
事前の打ち合わせで、各パネリストに「きれいな猪鼻湖を取り戻すために、何がいちばん必要だと思いますか?」とお聞きしたところ、全員が「住民参加」ということをおっしゃったので、現状や対策の各論・技術論ではなく、「住民参加」「行政と住民の協力連携」を焦点に、議論を深めることを確認しました。
最初に基調講演ということで、「北風から太陽へ」ということで、行政の積極的な取り組みの例として、英国人に聞いた話をしました。英国では、数年前まで、行政の担当が水質、大気等の縦割りだったそうです。大気の担当者が基準に合わせるよう指導して、たとえばフィルターをつけると、今度はそのフィルターを洗浄するために水質が悪化してしまう、というような状況がそこここにあったといいます。
そのような縦割り行政をやめて、地区担当制を導入しました。行政マンは自分の担当企業の実情に合わせて、いっしょに相談しながら公害対策、環境負荷低減を進めるのです。
もうひとつの例として、岩手県の組織改変について紹介しました。県がワンストップ・ショップの役割を果たす(縦割りの窓口で、県民をたらい回しにしない)べく、組織から変えたというお話で、詳しくは現在発売中の日経エコロジーをご覧下さい(わたしがインタビューにお邪魔したときの記事が載っています)。
そして、「行政と市民の良好なコラボレーションの要素」として、以下を、例を挙げながら説明しました。

・首長のリーダーシップ
・行政の組織(窓口の一本化)
・行政の心持(行政は寄り添うもの、住民をサポートし、盛り上げるもの)
・うるさい住民(そのためには勉強が必要ですよ・・・ともいいました)


「透明性」「公開性」などいくつか鍵があると思いますが、わたしが大切だと思っている「arm's length」という英語の表現をご紹介しました。日本語では「独立した」と訳すと思いますが、文字通り「腕の長さ分の距離でいる」ことです。もたれ合うのではない、それぞれが自分の足で立って、そしていっしょにやりましょうよ、というこの「適切な距離」もポイントだと思うからです。
猪鼻湖については、素人の目ではありますが事前の資料などで少し整理しました。
「現在、過去、未来〜」という歌のフレーズがありましたが、と前置きして(年がわかる?^^;)
「過去の問題」:湖底に蓄積しているヘドロ
「現在の問題」:表層水の汚染、富栄養化
「未来の問題」:流入河川の汚染

     (いま湖がきれいになっても、このままでは元の木阿弥でしょうから)

そして、猪鼻湖をきれいにする取り組みの「3R」として、
「過去の問題」:Remove(浚渫除去する)
「現在の問題」:Recover(自然の浄化作用を回復する)
         なぎさの復活、水生植物など
「未来の問題」:Reduce(汚染物質を削減する)
      「モトから絶たなきゃダメ!」ということ(また年がわかる? ^^;)


このような枠組みを最初にお話して、各パネリストの現状の報告や対策の取り組みが、どこを対象にしたものかも考え合わせながら聞いてください、とお願いしました。
鈴木町長は「環境の鈴木」として立候補・当選された町長さんということで、猪鼻湖について、本当によくご存知で、ご自分でも活動をなさっています。素晴らしい「首長のリーダーシップ」をお持ちの方とお見受けしました。
町長は最初に猪鼻湖の全貌の写真を写して、「お母さんが両手で赤ちゃんを抱いているような湖でしょう」とおっしゃいました。抱いているお母さんが三ヶ日町なのですね。町長さんのような思いの町民が増えてくれればいいナと思います。
県の浜名湖保全室の室長さんが浜名湖全体の統計を出してくださいました。汚染の流入源の 56%は生活排水(台所、風呂、洗濯などの家庭雑排水と、トイレ)だそうです。
町は現在、下水処理場の建設に向けて準備を進めていますが、現在のところ、家庭雑排水の処理は、合併処理槽に頼っており、単独処理槽の家庭からの雑排水はそのまま湖に流入しています。
その汚染を少しでも減らせないかという実験を、町が静岡県と環境庁といっしょに行っています。エコガーデンというのですが、生活排水を簡易処理したあと、ゆっくりゆっくり、「エコガーデン」の中を流します。この水路には、クレソンやアシ、ガマなどの水生植物がたくさん植えられていて、リンや窒素を吸収する仕組みです。
シンポジウムのまえに、猪鼻湖をぐるりと見せていただいたのですが、このエコガーデン(遠くから見たところ、雑草ぼうぼうの土地で、ガーデンというイメージではないですが)には、さまざまな種類のバッタやトンボなどが、それはそれはたくさんいました。
町長さんは、このエコガーデンに入ってくるところと出るところを比べると、BODは12.1→1.7、浮遊物は10→1、窒素6.59→4.7、リン0.7→0.3に、水質が大きく改善しているというデータをご紹介くださいました。
そして「この1、2年、エコガーデン付近の住民から、ホタルが舞うようになった、という声を聞きます。自然の復元力の邪魔を、人間が少しでも減らせば、こんなにすぐに戻ってくれるのです。
これまで産業のためにいかに水を早くまっすぐに流すか、を進めてきましたが、これからは、蛇行させるとか、水田の力を活かすとかして、いかに遅く水を流すかを工夫すべきだと思います」とおっしゃっていました。
猪鼻湖の大きな問題のひとつが、アオサの繁殖です。アオサは水中の窒素やカリを吸収してくれるのですが、そのままにしておくと腐って悪臭を放ち、水質を一層汚濁させてしまいます。
県ではハーベスタ−という専用機で刈り、回収船に引き上げて陸地に運んでいますが、年間4000トンものアオサをどう有効に活用するか、または環境にやさしく処理するかが鍵を握っています。
アオサの有効活用で現在進んでいるのは、堆肥化です。横浜の海の公園近くでもアオサが大量発生して困っていますが、神奈川県の農業試験場の実験で、アオサと剪定くずで良質な堆肥ができることがわかっています。また東京湾(三番瀬)でも、漁師と農家とゴミを考えるグループが集まって、「東京湾アオサプロジェクト」を立ち上げています。
静岡県でもアオサの堆肥化は研究が進んでおり、事業化を検討している、というお話でした。「猪鼻湖のアオサで作った三ケ日ミカン」が全国に届けばいいな、と思います。
「でも、食物廃棄物や農業系廃棄物などをコンポストして堆肥にしようという動きはあちこちで進んでいますから、「アオサの肥料」も、肥料そのものとしての採算性は難しいかもしれませんね」と申し上げました。アオサの場合、塩分などを除去しなくては肥料にできないため、コストベースでは不利だからです。
肥料にこだわらず、他の利用方法もきっと考えられますよ、たとえば、
・来る食糧不足の時代に備えて、アオサを乾燥して保存しておく(現在は、ふり
 かけなどで一部利用されていますが、あまり食用では人気がないようです)
・ミネラルたっぷり「アオサ入りうなぎパイ」を売り出す
・紙の原料にする「アオサのグリーン・ペーパー」(日本では紙の原料は木材チッ
 プか古紙がほとんどですが、中国などの途上国では木材以外の繊維が多く使わ
 れています。日本でもケナフを植える取り組みがあちこちで見られます)
・(汚染防止のため、台所の油や煮汁は紙に吸い取らせて焼却に回してください、
 という話が合ったので)アオサを乾燥して、吸収フィルターを作る(どうせ焼
 却処分するなら、アオサの原因となる油や煮汁を道連れにしてもらう^^;)

などと、下らない思いつきも含めてお話しました。会場に若い方も多かったので、この環境という分野は「問題や現状を見れば暗い」けど、さまざまな新しい考えや技術が次々と出てきて、心打つヒューマン・ストーリーに満ちていて、「明るく楽しく、躍動感のある」分野でもある、ということを、ちょっとでも伝えたかったので。
子どもたちも含めて、「アオサの利用アイディア・コンテスト」を開くのも面白いかもしれないですね。湖に入って、アオサを取るところから一緒にね。
パネル終了後、鈴木町長が「アオサにはカリが豊富なのです。いま、肥料のカリはすべて輸入しているでしょう。輸入を減らすことができるんです」と。アオサからカリを取り出す技術についても、知りたくなりました。ご存知の方、もしいらしたら、教えてくださいな。
また、県の浜名湖保全室長の鈴木さんは、「静岡県はアオサの利用はかなり研究しているんですよ。紙もやっています。生分解性の農業用シートなんですが、あとはコストの問題ですね」とのこと。
両鈴木氏、大谷先生と、今後の情報交換をお約束して、お開きとなりました。
この公開パネルディスカションには、約100人の方が聞きにきてくれました。とても嬉しかったのは、その中で「10代」の方が15人ほどいたことです。夜の時間帯でしたが、中学生も何人かきていました。
参加者のそれぞれがアンケートに真摯なメッセージを残してくださいましたが、いちばん整ったしっかりした字で書いてくれたのは、最年少10才の少女でした。
「私たちは、自由研究を利用して、ふだん目にしているつり橋川といの鼻湖計11ヶ所を水質調査、ヘドロなどをじっくり調査したりしています。どこもとてもきたないです。そこでいろいろな不安が出てきたところ、このような機会があったので、参加させてもらいました。とても分かりやすく教えていただきました。ありがとうございました。」
「アオサペーパーとアオサフィルターのアイディアは、イタダキですね!」と、30代の方。期待してまーす。
そして、もうひとつとても嬉しかったコメントは、50代の方より、「うるさい町民のひとりになれるように、心掛けます。」
約50人の参加者が、「報告書を送ってほしい」と住所やお名前を残してくださいました。人口を考えると、町民の300人に1人が「いっしょにやりましょう」と”宣言”してくださったようなものです。
町長のリーダーシップ、県をはじめとする行政のサポートや知識、そして「うるさい」町民。きれいな猪鼻湖、そして浜名湖を取り戻そうというこの動きが、大きく広く深く、つながっていきますように!
Roku@北摂三田 2001.01.12 *************************************************************************
           Enviro-News from Junko Edahiro
No. 248 (2000.08.19)
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昔は「蛍雪」だったのでしょうが、今のわたしは「自販機の光」に頼っているせいか(^^;)、最近のニュースに漢字の変換ミスがいくつもありました。失礼いたしました。
ところで、輪島の朝市へ行きましたら、「輪島のアオサ」という乾物をたくさん売っていました。ワカメでもアオサでも、こういう乾物って、「ジャパニーズ・ファーストフード」ですよね。お湯にダシとお味噌を溶いて乾物をぱらぱらって入れたら、磯の香りのする美味しいお味噌汁ができますもの。
というようなことを思いつつ、先日、猪鼻湖(浜名湖)のシンポジウム[No.242]でお目にかかった、アオサの活用研究に取り組んでいらっしゃる方に、メールを送りました。

> 昨日輪島の朝市で「輪島のアオサ」を売っていました。食用になるなら、そのまま食べるのが
> いちばん効率的な気がしますが、どうなのでしょうね?健康食品として輸出しちゃうとか。

以下のお返事をいただきました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
輪島のアオサと浜名湖のアオサは同じかどうか分かりません。なぜなら、愛知県の渥美町と浜名湖の距離は遠いわけでもなく、アオサも見た目に同じですが、よく見ると渥美町のアオサは浜名湖のアオサに比べ厚みがやや厚く、食べてみるとやや苦いそうです。
昨年、浜名湖のアオサ除去事業に関心を持ってもらおうと一般県民からアオサ料理を募集をしたところ、40名近い応募がありました。そのうちいくつかを選んで料理発表会を開いたところ、マスコミに大きく取り上げられ評判も上々でした。
「アオサなんて食えるもんじゃない」というのが地元のほとんどの意見でしたが、遠方の人たちには大方「意外とおいしい」という評を頂きました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
このコメントの最後の部分を読んでいて、思い出したことがあります。わたしが幼稚園の頃、京都から宮城県に引っ越したのですが、母は家の近くの土手などにツクシがたくさん生えるのを喜んで、ツクシ摘みをして(わたしもよく手伝いました)、卵とじとか佃煮にして食べたり、東京の親戚に送ったりしていました。
ところが、地元の人々は、「あんな雑草を食べるなんて」と白い目で見ていたそうです。
「地元より、遠方の人に喜ばれるなら、それはそれで切り口になりそうですね?」とメールを送りました。
きっと「アオサ海苔」はすでにあると思いますが、こうして旅先で毎朝、ご飯にお味噌汁と海苔、という朝食をいただいていると、日本全国の宿屋で毎日消費される海苔の量は膨大だろうな、と思います。アオサ単独の海苔でなくても、普通の味海苔の原料に1割ぐらい混ぜちゃうだけでも、かなりの需要じゃないかなぁ。
それから、浜名湖のシンポジウムのときに泊めていただいたホテルでは、「泥セラピー」とか「泥パック」というエステを宣伝していました。「地中海から取り寄せた、ミネラルたっぷりの泥を使い・・・」。
わざわざ地中海から持ってこなくても、ホテルの目の前の浜名湖にも、「ミネラルたっぷりのアオサ」があるのにね、と思ったのでした。「アオサセラピー」「アオサパック」「アオサ化粧品」。美容と健康に効きそうな気がしませんか?
「まだまだアオサには分かっていないことが多いので、楽しみです」ということですが、本当ですね! 
きっと医薬品にも使えるだろうし、青汁に並ぶ「アオサドリンク」とか、「アオサ酒」、アオサの粉末を練りこんだ「アオサパイ」、カロリーメイトのように手軽にいつでもどこでもミネラル補給のできる「アオサスナック」・・・。(まあ、思いつくのはカンタンなんだけどね、といわれそうですが^^;)
浜名湖のシンポジウムの翌日、駅まで送ってくれた青年会議所の方が、「昔は、浜名湖のアオサを農地の肥料に使っていて、どこで採れるアオサは、どの地区の農家が使ってよい、と縄張りが決まっていたそうです」と話してくれました。時には、アオサの取り合いもあったとか。
さまざまなアオサの実用化が進んで、ふたたび「アオサの取り合い」が起きるほどになればいいですね。
ところで、このお話をあとで考えていたのですが、肥料として使うには、塩分を抜かなくてはいけなかったのだと思います。いま、アオサを肥料化するプラントを製造・販売している会社もいくつかあるようですが、脱塩工程があります。
昔、農家が浜名湖のアオサを肥料にしていた頃は、どうやって脱塩をしていたのだろう?と思ったのでした。プラントなんかなかったしね。
これはまったくのわたしの想像なのですが、なぎさが脱塩プラントだったのかな、と。湖で採ったアオサを、砂浜に広げておくのですね。そうすると雨が降って、塩分は砂で濾過され、脱塩アオサが残る、という仕組みです(まえに太平洋セメントの方からいただいたコメントが情報源です)。
どのくらいの期間砂浜に広げておく必要があるのかわかりませんが、アオサを刈り入れ、浜で寝かしておき、畑に運んで肥料にする、というサイクルが季節の中に埋め込まれていたのかもしれないなぁ、と思います。
昔の農家が肥料に使えていたのだったら、今でも(高価でエネルギーを食うプラントなしに)できるのではないかなぁ。単純過ぎるかなぁ。
Roku@北摂三田 2001.01.12 *************************************************************************
           Enviro-News from Junko Edahiro
No. 251 (2000.08.23)
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[No.248] で浜名湖のアオサについて、以下のように書きました。

> 浜名湖のシンポジウムの翌日、駅まで送ってくれた青年会議所の方が、「昔は、浜名湖のアオサを農地の肥料に使っていて、どこで採れるアオサは、どの地区の農家が使ってよい、と縄張りが決まっていたそうです」と話してくれました。時には、アオサの取り合いもあったとか。
> 肥料として使うには、塩分を抜かなくてはいけなかったのだと思います。昔、農家が浜名湖のアオサを肥料にしていた頃は、どうやって脱塩をしていたのだろう?


この方が、昔からこの浜名湖(猪鼻湖)で漁師をなさっている方にお聞きになった話を伝えてくださいました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アオサの脱塩処理についてコメントいたします。
アオサを肥料にしていた頃は、湖でとれたアオサを脱塩処理をせずそのまま、畑に持っていったそうです。昔の湖は塩分濃度が低かったため、そのまま畑に持っていっても、作物にはそんなに影響はなかったそうです
それに、畑には、堆肥置き場がありそこで雨水等での脱塩行程もあったということです。
湖の塩分濃度が変わってきたのには、2つの要因があるそうです。浜名湖の例だと、川から流れ込む水量と、湖底の変化が大きく関係しているそうです。
つまり、川から流れ込む水量は、年間を通してみると昔とほとんど変わりはないわけですが、陸地に降った雨が、すぐに川に流れ込み、川の水もすぐに湖に流れ込む、そういったことにより、雨が降り続くようなときには、塩分濃度が低くなり、雨の降らない日が続く場合には、川からの水量が減り、塩分濃度が高くなります。
山、及び川の保水力が減ってきたと言うことだと思います。昔と違って水量が安定していないため、川からの水の量が少ないときは、湖の塩分濃度が高くなると言うことです。
それと湖底がヘドロ化しているため、昔のようにアマモ等の水草が、塩分濃度差の循環をしていた頃と違い、湖の中でも塩分の濃い水は下の方へ、そして塩分濃度の薄い水は上の方へと、湖内での水の分離(成層)が起こります。
そして、塩分濃度の薄い上層の水だけが蒸発し、濃い水のみ残ります。それが繰り返し、どんどん塩分濃度が高くなってきてしまったそうです。
お話を聞いているときに、「昔は、こんなに辛くなかったよ!!」という言葉が印象的でした。
この50年ぐらいの間にかなり塩分濃度が高くなってきたのだと思います。

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このコメントに、「う〜ん・・・」とうなってしまいました。「すべてはつながっている」という、当たり前だけど忘れがちなことを、はっきりと示している例だと思うのです。
湖を浄化するには、湖だけを見ていてはいけない。問題が発生したあとの対策は、文字どおり「問題の下流」と呼ぶこともありますが、問題が拡散し、他の要因との複合問題を引き起こしていることも多いため、対策コストや大変な手間はかかるけど、効果はそれほど明白ではない、ということが多いのです。
それで「問題の上流を見よ」ということになるのですが、先日の猪鼻湖のシンポジウムでは、「上流」として、湖に流れ込む河川につながっている町の家庭の処理浄化漕の話がでていました。
屎尿のみを処理する単独処理浄化漕から河川に流れ込む水は、家庭雑排水も処理する合併処理浄化槽に比べて、8倍も汚れている、という結果があるそうで、町でも合併処理浄化槽の設置を進めるべきだ、というコメントもありました。
町の婦人会などで、アクリルタワシを使うことで台所洗剤を減らそう、という運動もあるとお聞きしました。洗濯洗剤も含めて「適正な量」を知って、できるだけ少なく使うように個々人が気を付けること、油や煮汁などもできるだけ流さないことも大切だ、という指摘もありました。
このような「川に流れ込む家庭の排水口」も、湖の浄化問題にとっては「上流」ですが、さらに「上流」の、川自体の問題にも、目を向けさせてくれるのがこのコメントだと思います。
先日、講演でのエコクイズにも出題したところ、「ええーっ?」という反応が返ってきたのですが、日本の木材自給率をご存知ですか?
1950年には、木材自給率は98%でしたが、1970年には45%に低下しており、現在は何と20%なのですね。日本で使っている木の10本に8本は海外から運び込まれているのです。

日本の国土に占める森林の割合は67%で、世界全体の29%に比べると倍以上あります。日本は「森林大国」なのに、どうして木材自給率がこれほど低くなってしまったのか? 
これはとても大きな問題なので、また改めて書きたいと思いますが、とにかく、日本の森林(やま)は、国産材が売れないために、手入れの費用が出ないということで、放置され荒れ始めているところがたくさんあるそうです。
山が荒れると、山の保水力が失われます。このような「山」の問題が、川やその下流の湖、海にも影響を与えています。
その影響を直接的に受ける「海の人」が「すべてはつながっている」のだ、と、「山の人」といっしょに山を守る活動をしている地域があります。
「森は海の恋人」というフレーズをお聞きになったことがありますか?
気仙沼では、豊かに育った森から流れ出る水が豊富な海の生物を育むようにと、漁民と山の地区の住民が手を携えて植樹する「森は海の恋人植樹祭」が10年以上も続いています。
この活動を始めた方は、牡蠣養殖業をなさっているのですが、海の環境を守るには海に注ぐ川、そして上流の森を大切にしなければならないことに気づき、1989年より気仙沼湾に注ぐ大川上流の室根山に漁民による広葉樹の森づくりを始められたそうです。同時に、環境教育の手助けとして、上流域の子供たちを海に招き体験学習を続けているということです。
 その名もズバリ「森は海の恋人」という本をお出しになっています。
       (畠山重篤著 (株)北斗出版発行)

  http://www.kurikoma.or.jp/~imamuraa/kinokai/iwai/moriumi.html
「森は海の恋人」というフレーズは、山村に住む歌人熊谷龍子さんの「森は海を海は森を恋いながら 悠久よりの愛紡ぎゆく」という一首から生まれたと書いてあります。「森は湖の恋人」でもあるのですね。
そして「海と山を結ぶ一本の川。それは命のみなもとであり、生命を育む」とも書いてありました。
[No.246] にご紹介した「地元の川への取り組み」にもつながると思います。目の前の川だけではなくて、その「来し方、行く末」へと、だんだんに「思いを遣る」範囲を広げ、たくさんの「上流・中流・下流」の人々が関わる活動になればよいなぁ、と思います。
さて。[No.248] に、浜名湖のアオサを使っての料理発表会が開かれ、公表だった、というお話を引用させていただきました。そのときの「浜名湖のアオサ料理集」を送っていただきました。
これまた、うなってしまいました。お味噌汁に浮かべるか、ふりかけか、なんていう現在の調理法を超越した、ユニークで美味しそうな料理が並んでいます。
「アオサブレッド」「アオサカステラ」「アオサクッキー」「アオサお好み焼き」「アオサういろう」
「アオサのコロッケ」「アオサの磯香揚げ」「アオサ春巻」「アオサのまぜごはん」
「アオサスバゲティ」「アオサの三杯酢」「アオサのハンバーグ」、
そしてデザートは「アオサの愛すクリーム」! スゴイでしょう?


今度アオサが手に入ったら(インターネットで「浜名湖直送アオサ」を通販してくれないかなぁ?)、ぜひ作ってみたい「ごまいりアオサクッキー」をご紹介しましょう。

(1)ボールにバター30gと砂糖40gを混ぜ、溶き卵半個分を少しずつ入れる
(2)その中に、小麦粉100g、アオサ粉大さじ2,ごま大さじ2を混ぜる
(3)ビニール袋に入れて、その中でまとめ、棒状にまとめる
(4)ビニール袋をハサミで切って広げ、端から5mm厚さに切り、天板に並べる
(5)170°のオーブンで12〜13分焼く。


「アオサは繊維質、ミネラルが豊富で、カルシウムはほうれん草の約2倍、鉄分は約5倍もあります」ということです。女性にウケそうですねぇ!
もっとお手軽なアオサのいただき方もありますよ。「アオサのオムレツ」です。
「溶いた卵に乾燥したアオサのみじん切りを入れて、フライパンで焼く。以上」
どうでしょう? ミネラル、食物繊維たっぷりの色鮮やかなオムレツを、森や湖に思いを馳せながらいただくっていうのは?
Roku@北摂三田 2001.01.12 *************************************************************************
           Enviro-News from Junko Edahiro
No. 288 (2000.10.12)
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[No.242] でアオサについて

> アオサの有効活用で現在進んでいるのは、堆肥化です。横浜の海の公園近くでもアオサが大量発生して困っていますが、神奈川県の農業試験場の実験で、アオサと剪定くずで良質な堆肥ができることがわかっています。また東京湾(三番瀬)でも、漁師と農家とゴミを考えるグループが集まって、「東京湾アオサプロジェクト」を立ち上げています。

と書きました。この「東京湾アオサプロジェクト」を立ち上げているのは「大地
を守る会」です。 http://www.daichi.or.jp/ (以下HPより)
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「こどもたちの未来のために、美しい大地ときれいな海を!」を合い言葉に「農薬公害に反対し、安全な農畜産物を社会的に広めていこう」という目的で、1975年8月に設立されました。
以後、全国の生産者・メーカーと提携しながら、消費者会員には週1回の宅配・共同購入というかたちで、安全性を追求した食材料を供給しています。さらに農業・ 食料問題や環境問題などでも様々な活動を積極的に展開しています。
2000年3月末現在、消費者会員約50,000名、生産者会員約2,500名。
大地を守る会がめざす社会のひな型づくりのために、関心のある生産者・消費者・事務局員で構成する委員会が現在4つあり、毎月の定例会のほか、勉強会やイベントの開催などの活動をしています。

●大地・原発とめよう会
チェルノブイリ原発事故を契機に、1987年に設置。原子力発電所の危険性についての学習や啓蒙等の活動を行なうとともに、エネルギー多消費型生活からの脱却とソフトエネルギーへの転換についての学習や啓蒙等の活動を行なっています。

●米プロジェクト21
コメの輸入自由化問題をきっかけに、1988年に「大地のおコメ会議」として発足。
「稲作体験」「合鴨オーナー制度」「オリジナル日本酒『夢醸』」の企画をはじめ、コメの自由化問題や提携産地を応援する企画・活動などを展開中。2000年を期に「米プロジェクト21」と改称。21世紀に向けて、「コメの未来開拓プロジェクト」企画をスタートさせました。

●ゴミリ倶楽部
身近なところからゴミやリサイクルの問題を考えていこうという主旨で1993年に設置。ゴミ処分場の見学、リサイクルについての勉強会の実施やパンフレットの作成などを行なっています。

●おさかな喰楽部
川や海、森を守り、日本の水産業を復権させていこうという目的を掲げ、1997年9月に第1回定例会を開催しました。水産に関する勉強会、産地見学や市場見学、料理講座など、生産者と消費者が元気に楽しい活動を展開しています。
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私は数年前に友人に勧められて以来、この「大地を守る会」から野菜や卵、その他の食材を配達してもらっています。野菜にも卵にも、生産者の名前と住所を書いた小さな紙が入っています。「お便り待ってます!」と。
毎週のお知らせで、各地の生産者の様子を知らせてくれるので、「あちらの畑では虫が増えて大変なのね」「鳥取の生産者のところは復旧してよかったね」と、会ったことはないけど、何となく”顔の見える”距離のお付き合いをさせてもらっています。
私がいちばん大地の会で気に入っているのは、行ったり来たりの「通い箱」という段ボールです。野菜やその他の食材(冷凍のものは発泡スチロールに)が入っている箱ですが、「通い箱」の名前どおり、何度も何度も再利用(リユース)する箱です。
配達先のシールは、何度でも着脱できるよう、ビニールテープを貼った上に貼り付けられ、自分宛のシールをはがして、次回の配達時に箱を返します(留守にする場合は玄関の外に出しておけばよい)。卵の紙製パックもダメになるまで何度でも使いますし、瓶に巻いて届く保護用の段ボール紙も、ガムテープの跡がたくさんついています。
不思議なもので、この「通い箱」に慣れると、中のモノは私が買った物だけど、箱はそれを届けるための”共有物”という考えの方が自然な気がしてきます。
宅急便で(特に通販で購入したモノなど)箱が届くと、「アンタは、まっさらの箱なのに、もう使ってもらえないの?」という感じで、古紙回収に出すのももったいないなぁ、と思います。紙の繊維に戻さなくても、箱として使えるのに。
話が逸れますが、最近は宅配便をコンビニで受け取ってもらって、自分は仕事の帰りかなにかに、コンビニに取りに行けばよいサービスがあるそうですね。留守で宅配便を持ち帰られると不便ですし、何度も宅配便のトラックを走らせなくてもよいので、これは良いんじゃないかなぁ、と思います。
せっかくコンビニという”拠点”を使うなら、もう一工夫して、運び終わった段ボールや発泡スチロールの箱を回収してもらえるとよいですね。どうせ、その輸送会社から毎日コンビニにトラックが来るのだから、帰りに空き箱を載せていってもらえれば、箱のゴミが減るし、回収率も上がるし、うまくいけば、箱のまま再利用できるかも知れない、と思います。それでこそ便利なコンビニ!と。
もっと話が逸れますが、これからの循環型社会では、こういう”拠点”がたくさん必要です。新たにトラックを走らせるのではなく、すでに構築してあるネットワークを活用するのがいちばんですが、この点で私が注目しているのは「郵便局」です。
どんな地方にいっても、必ず郵便局があります。地域密着、しかも、拠点を結ぶ輸送網が既にできています。これまでの”配達”だけではなく、”回収”という、静脈面でも力を発揮できることでしょう。既存のインフラで、回収サービスを提供することで、2倍(以上!)お金が儲かるはずです。
さて、話を戻しますが、大地を守る会の「東京湾アオサ・プロジェクト」とは、東京湾の三番瀬にうちあげられるアオサを堆肥化し畑や田んぼに利用できないかを、「米プロジェクト21」「おさかな喰楽部」「ゴミリ倶楽部」の3専門委員会で検討する共同プロジェクトです。
Roku@北摂三田 2001.01.12 (fishml管理人注、 前半部分は省略させていただきました。)
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           Enviro-News from Junko Edahiro
No. 358 (2000.12.28)
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[No.242][No.248][No.251] で猪鼻湖の浄化に関連して、アオサについて書きました。
[No.288]で、大地を守る会の「東京湾アオサ・プロジェクト」についてご紹介しました。
東京湾の三番瀬にうちあげられるアオサを有効活用して、海も守ろう、という活動です。
大地の会からの会報に、ご紹介したシンポジウムが60名の参加者を得て行われたとの報告がありました。「肥料以外の活用方法もある」として、養鶏飼料としての利用が面白かったので、ご紹介します。
「文献ではアオサ粉末を飼料の中に最低3%配合すれば、カロチンなどの栄養分が増加し、黄身の色が濃くなることがわかっている。飼料の3%とは、1羽あたり約4g/日にあたる。大地の生産者の総羽数約5万羽だと、年間で73トン。これは乾燥重量で、生のものはこの約20倍の質量があり、1460トンと算出される。
横浜の海の公園で回収されている量が年間1500トン。三番瀬も同量とすると、『採取したアオサの行き場がない』という事態はとりあえず避けられそうだ。」とのことです。
他では「回収はしたけど、引き取り手がない」という状況が多いようので、やっぱり「生産者と消費者がつながっているネットワーク」は強いなぁ、と思ったのでした。私も早く「アオサで育った鶏卵」を注文したいです。
この大地の会のアオサ・プロジェクトでは、来春3月にアオサの回収を予定していて、それまでに回収方法、乾燥方法、運搬方法などを確立していく、ということです。この「海と陸との循環づくり」に注目し、またご報告したいと思います。
隠岐の曽田 2001.01.13 >  海草を肥料にする話、他にもあったら教えてください。

 隠岐では(私がいるのは島前地区)海岸の流れ藻を以前は山や畑に肥料として利用していたようです。
種類はホンダワラ類が多いようですが、担当地区のなかには特産化を考えて成分分析をやっている所もあります。
ただ問題もあって、釣り糸や朝鮮半島からの漂着ゴミを取り除くのにとても手間がかかり、昔のようには簡単に肥料として利用できなくなってきています。
なかなか難しいですね。
話は変わりますが、昔アミ類が大発生したときにそれをすくって、発酵させてから肥料に使っていたという話を本土で聞いた事があります。
イワガキの殻の粉と海藻粉末と魚粉などの水産系廃棄物をブレンドして、隠岐島前ブランドの肥料ができないかなー、と妄想している水産業改良普及員でした。
静岡県の河合 2001.01.13 > 昨年、浜名湖のアオサ除去事業に関心を持ってもらおうと一般県民からアオサ料
> 理を募集をしたところ、40名近い応募がありました。そのうちいくつかを選んで
> 料理発表会を開いたところ、マスコミに大きく取り上げられ評判も上々でした。
> 「アオサなんて食えるもんじゃない」というのが地元のほとんどの意見でしたが、
> 遠方の人たちには大方「意外とおいしい」という評を頂きました。


浜名湖まで、車で約1時間の距離なので、この発表会も興味深く新聞で拝見しました。
私は、つい最近まで、アオサが食用になることすら知りませんでした。
デパートの物産展の試食(しじみスープに乾燥アオサを入れたもの)で初めて食べて、美味しさと香りの良さに驚きました。
一緒にいた友人も同様で、「アオサって、海水浴に行くと打ち上げられている、アレ?」
なんて話ながら、購入しました。(100グラム1200円)
主に味噌汁の具として(というより、アオサの味噌煮、って感じかも)活用していますが、これもそろそろ終わり。
浜名湖のアオサが商品化されたら、地元民としては嬉しい限りです。
(もしかして、もうされている?)
ちなみに、このスープを家族に振る舞ったところ、浜松生まれ浜松育ちの父は、「お前はアオサなんかすきなのか・・?」といった反応でした。
食用にならない、っていう先入観が強いのでしょうね。
But、アオサスープには結構舌鼓を打っていたように見えましたよ。
神奈川の福原 2001.01.13 葛飾北斎の富嶽三十六景のひとつ、「登戸浦」(真ん中に赤い鳥居のある絵です)に、遠浅の浜辺でアマモを刈っている人がでてきます。
一家総出(多分)で、鎌もってきているんです。
この人達は肥料にするためにアマモを刈っている、と聞いたことがありますが、どこで聞いたのか忘れてしまいました。
塩崎@東北大水産化学 2001.01.13 > 私は、つい最近まで、アオサが食用になることすら知りませんでした。
> 100グラム1200円)

アオサはあちこちで処理に困っているにもかかわらず、けっこうな値段がするのですね。これだけ値段が高いのは採取するのが大変か、もしくは採取後の加工が大変なのでしょう。たくさん売れれば値段も下がるのかもしれませんが。
そういえば広島大のN先生が海藻を飼料に混ぜることで、魚のビタミンC含量の増加、呈味性のアップ、低酸素耐性の上昇などが認められるという研究をされているのですが、やはり未利用の海藻を利用していこうとのコンセプトがあるそうです。
ビタミンCの増加や呈味性というと、海藻に含まれる抗酸化成分(ポリフェノールなど)が活性を持っていると思われがちですが、それ以外にもさまざまな要因があるみたいですね。
塩崎@東北大水産化学 2001.01.13 > 刈り取ったあと、しばらく海岸に野ざらしにして、雨で塩分を落とすのだそうです。
> 説明不足ですみませんでした。

どうやら塩分を取り除くには、雨などで洗い流すのが主な方法のようですね。
自然の力を利用したまさに”クリーン”な方法ですね。 (^.^)
ただあまり長く洗いすぎると他のミネラルも少なくなってしまいそうですし、程度は経験則になってしまうのでしょうか?
それとも誰かすでに研究してるのかな〜〜?ちょっと調べてみます。
静岡県の河合 2001.01.13 > アオサはあちこちで処理に困っているにもかかわらず、けっこうな値段がするのですね

あ、これは、乾燥したアオサの価格です。
水分を含むとかなり「増える」し、一度に沢山食べられるものでもないので、それほど高価とは感じませんでしたが…。
それでも、処理に困っているものの商品化という観点からは、やはり、いいお値段かな。
河原@福山 2001.01.14 >  隠岐では(私がいるのは島前地区)海岸の流れ藻を以前は山や畑に肥料として
> 利用していたようです。


以前に、中上さんの文章の中にも、そのようなフレーズを見たような記憶がありました(記憶違いだったらすみません)。

> 種類はホンダワラ類が多いようですが、担当地区のなかには特産化を考えて
> 成分分析をやっている所もあります。


あ、そうなんですか。見直されているってことですね。
こだわって農業に取り組んでいる人にはアピールするかもしれませんね。

> ただ問題もあって、釣り糸や朝鮮半島からの漂着ゴミを取り除くのにとても手間が
> かかり、昔のようには簡単に肥料として利用できなくなってきています。


そうですね、下関にいたときもハングル文字が書かれた容器がよく漂着していま
した。釣り糸もやっかいそうですね。

> 話は変わりますが、昔アミ類が大発生したときにそれをすくって、発酵させてから
> 肥料に使っていたという話を本土で聞いた事があります。


甲殻類の殻は、微生物の増殖を促す成分(キチンキトサン?)を多く含んでいるので、いい肥料になるって生ゴミ堆肥の本に書いてありましたっけ。
昔の人の知恵って貴重です。

> イワガキの殻の粉と海藻粉末と魚粉などの水産系廃棄物をブレンドして、隠岐島前
> ブランドの肥料ができないかなー、と妄想している水産業改良普及員でした。


いいですね、いいですね〜〜♪。
すぐに実現しなくても、思い続けることはチャンスの前髪をつかむための必須条件です(と、勝手に思うのですが・・・)。
河原@福山 2001.01.14 > 遠浅の浜辺でアマモを刈っている人がでてきます。
> 一家総出(多分)で、鎌もってきているんです。


これはまさしく、私が瀬戸内海のこととして聞いた話と同じですね。
「のぶとうら」と読むのですね。今の千葉市だそうですが、距離が離れているにもかかわらず同じことが行われているというのが興味深いですね。
いくつかのウェブサイト(販売目的が多いみたい)で見てみましたが、解説に「潮干狩りをしている」と書いてあるのがほとんどでした。
でも、あの絵は明らかに労働してるぞって雰囲気ですよね。
そのくみ 2001.01.14 >  アオサふたたび、森と湖とのふかーい関係(2000.08.23) より。
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> その名もズバリ「森は海の恋人」という本をお出しになっています。
> (畠山重篤著 (株)北斗出版発行)
>
http://www.kurikoma.or.jp/~imamuraa/kinokai/iwai/moriumi.html

 今この本を読み始めたところです。
畠山さんの最近書かれた「リアスの海辺にて」という本に、運動の成果があらわれたのか、気仙沼に流れlこむ大川に暫く見かけなかった鰻や魚が戻ったと書いてありました。
 去年この運動のことを知り、私も森、川、海がつながっているということがわかりました。それで、「森は海の恋人」運動に日本の海の希望を見つけたような思いがして、年明
け早々私なりの行動に出てしまったところです。
 迷惑も顧みず隠岐の中上さんのところへ押し掛けボランティアに行ってきます。
 
城ヶ島に行ったとき、土産物店で乾燥アオサを売っていたと思います。
で、お店の人に、その辺でとったアオサも食べられるの?と聞いたら、首をかしげていたのでそのまま帰りました。
  粉末のアオサなら使いやすそうで、クッキーやお料理に試してみたいですね。アオサは海藻ですよね。
髭野鯰 2001.01.18  アオサの話も一段落したようですが、気になったことがありましたので、お尋ねします。
近頃、東京湾等で話題になっているのは、、アオサやアナアオサのことだとおもいます。
食用にしているのはアオサといっていますが、だいたいヒトエグサのことだと思います。
アオサやアナアオサは、渋くて美味しくありません。
 関西の大学の某先生は、マリンシーレタスといっていますが、食用に改良されていなければ食用には向きません。
 市販の青のりの安価のものにはアオサがつかわれていますが、まず、これを大量にかけて召し上がることがないため出回っているようです。
 各地域でアオサと言っていますが、食用にするものの本当の名前は違うものが多いので、この点、どうなのか、ご存じの方は御教授願います。
かに@沖縄 2001.01.18 当地ではヒトエグサをアーサと呼んで、食用にしています。
これがヤマトグチ(日本語)のアオサに相当するのかどうかは、正確にはわかりませんが、語感は似てます。
アオサという海藻名を知っている人には、アーサの標準和名はアオサであると思っている人(ヒトエグサという名前を知らない人)が少なからずいるようです。
うすい 2001.01.18 便乗で質問なのですが、「青のり」として市販されている商品で毛を短く切ったような形の物と、直径1〜2ミリのチップ状の物がありますが、以前にどちらかが「青のり」で、1方は違うと聞いた事があるのですが、図鑑などに載っている和名や海で見分ける時の形の違いなど教えていただけないでしょうか?
市場での価格の違いや、使用する場合の違い、料理に使う時の注意点、なども、どなたかお願いします。



Copyright(C) Jan.18,2001 by Toshio Yabe. All rights reserved