人間にノロウイルス(SRSV)の耐性?

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琵琶湖オオナマズ 2004.03.03 友人に質問されて答えられなかったんで、識者にお尋ねさせて頂きます。
カキのSRSVですが、カキ好きの人はその人の体にSRSVの耐性ができて、少々SRSVを取り込んでも中毒になりにくい・・・・・というようなことはあり得るのでしょうか。
別の言い方をすれば、カキをあまり食べない人が、たまたま一個だけ生で食べたら当たった。他の人はカキが好きで、生でたくさん食べたがあたらなかった。
これって、偶然のできごとでしょうか。それとも、耐性ができるんでしょうか。
ご無沙汰のウバウオ 2004.03.03 専門家が多いと思いますのでもっと適切な答えが出てくると思いますが、検索エンジンで調べた結果、下のページが出てきました。
 http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/epid/1997/tbkj1810.html

「SRSVの免疫獲得に関しては、米国で行われたボランティアによる実験結果がある。それによるとSRSVに対して非感受性者と感受性者が存在し、感受性者はウイルスに初回感染後、抗体が産生され数ヶ月の間はウイルスの再感染による発症を阻止するが、6ヶ月後には急激に免疫効果が減少することが明らかになっている。」
つまり一度かかるとそのシーズンは大丈夫ということでしょうか。
これは私の経験でも正しい気がします。
多田@東京都調布市 2004.03.04 >カキのSRSVですが、カキ好きの人はその人の体にSRSVの耐性ができて、少々
>SRSVを取り込んでも中毒になりにくい・・・というようなことはあり得るのでしょうか。

以前はカキなどの二枚貝による食中毒とされていたSRSV(小型球形ウイルス)は、患者の吐瀉物やその乾燥飛沫、糞便などからも人を介して食品を汚染して感染することが判明し、昨年の6月から「ノロウイルス」と名称が改められました。
このMLでも正式名称になさった方が良いかと思います。

>別の言い方をすれば、カキをあまり食べない人が、たまたま一個だけ生で食べた
>ら当たった。他の人はカキが好きで、生でたくさん食べたがあたらなかった。
>これって、偶然のできごとでしょうか。それとも、耐性ができるんでしょうか。

すみません、耐性については存じておりません。
しかし感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もあることが確認されています。

●厚生労働省 食中毒関連情報
・ノロウイルス食中毒の予防に関するQ&A(作成:平成16年2月4日)
 http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
 http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/dl/040204-1.pdf
   ↑下はPDF版です。

上記厚生労働省ページに現時点での最新公式見解が掲載されています。
魚介類関係者、飲食関係者の方はぜひご参照ください。
私の勤務先でもこの情報+αを全事業所に配布して予防に努めています。
質問なさったご友人の方には上記のプリントを差し上げてはいかがでしょうか。> 琵琶湖オオナマズさん
また主婦の方や消費者の方もぜひご一読ください。
消費者にも役立つ最新情報が掲載されています。

●厚生労働省 食中毒関連情報
・食中毒・食品監視関連情報
 http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/index.html

また上記にはノロウイルス以外も含めた各種情報が掲載されています。
飲食関係者は時々ご参照になると良いかと思います。
琵琶湖オオナマズ 2004.03.05 > 昨年の6月から「ノロウイルス」と名称が改められました。
> このMLでも正式名称になさった方が良いかと思います。

「ノロウイルス」が正式名称になったんですね。
Web上で見てたら、研究者間では、まだSRSVと呼んでるような書き方がされていたんで、今までどおりにしてました。

> しかし感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もあることが
> 確認されています。

そうみたいですね。
ただ、今回の場合、はっきりと、「カキ好きでよく食べてる人があたらずに、あまり好きでないので普段は食べない人があたった」という具体的な事例です。
もちろん、同じパックのカキで、そのときに食べたのはみんな同量程度らしいです。
ですので、人間にSRSVの耐性?ができるのかなと思い、質問しました。
琵琶湖オオナマズ 2004.03.05 > 検索エンジンで調べた結果、下のページが出てきました。
>  http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/epid/1997/tbkj1810.html
Webにありましたか、気がつきませんでしたよ。
ご紹介下さり、ありがとうございます。

> つまり一度かかるとそのシーズンは大丈夫ということでしょうか。
ということですね。
その最初のかかりかたが軽い場合は、全く、なんともないという人があるわけですよね。
僕なんかは、そういうタイプですわ。
早期から生食でどんどん食べますけど、あたったことは一度も無いです。

> これは私の経験でも正しい気がします。
どんな経験をされましたか。よろしければ教えて下さい。
鳥取のウバウオ 2004.03.05 私も夏場はイワガキを採っておりますので、本当はこの問題についての知識がないといけないのですが。おかげでいい勉強ができました。

調べる前の知識では、
 @牡蛎は真水で洗ったり熱を通すと当たらない。
 A一度あたると大丈夫。
ということだけでした。これは知識というかほとんど経験です。
5月から8月の間、ずっとイワガキを採りながら傷物をつまんでおりますが、今まで一度だけ、5月の採り初めに大きな下痢になったことがあります。
その年はそれ以降、下痢になることはありませんでした。
他の年は自覚がないだけかもしれませんが、シーズン通して下痢はありません。
だから食べ初めだけ気をつければ、後はいくら食べても大丈夫なんだなー、なんて思っていました。
何十年も食べ続けている爺さんたちが上のようなことを言っているので、間違いじゃないのではないかと思います。
フグもここは食べてもいいとかいけないとか、よく知っていますし、経験とは恐ろしいものです。(十年に一度くらいフグで倒れる人もいるみたいですけど・・・。)

> その最初のかかりかたが軽い場合は、全く、なんともないという人があるわけですよね。
> 僕なんかは、そういうタイプですわ。
> 早期から生食でどんどん食べますけど、あたったことは一度も無いです。

「カキは好きだけどあたるのが怖くて・・・」という人には、ノロウイルスが少量入ったカキを真っ先に食べるとか、ノロウィルスワクチンで予防接種みたいなものをすれば、安心して食べられるのかもしれませんね。
びわこオオナマズさんのようにはじめからどんどん食べている方はもちろん、一度当たってカキに尻込みしている方も(そういう方はなおさら)、シーズン通して安心して食べられるということですね。

このようなことを書くと一度はあたらないといけないような感じなので、生産者として少しばかりフォローしておきますと、イワガキを海域ごとに定期的に検査しておりまして、万が一ウィルスが検出された場合はすぐさま出荷停止になります。
そして検査で陰性がでて、再び出荷となります。
このような検査を経て消費者の口に入るわけですので、どうぞご安心いただきたいと思います。
広島や宮城のマガキにいたっては、もっときびしい過程を経て、(滅菌海水で蓄養するとか)出荷されていると思いますので、そう簡単にはあたらないと思います。
ただ消費者の中には加熱用を生で食べたりとかされる方がいますので、もっともっとカキの食べ方を宣伝しなければいけないかもしれませんね。
一人の中毒者によって、ウィルスが蔓延することもあるようですので、なおさらでないかと思います。
 http://www.iph.pref.hokkaido.jp/Tokushu/Tokushu-Komoku/srsv/infecroute.htm

上のホームページにありましたが、ノロウィルスって人の小腸でしか増えないってことでしょうか?サナダムシみたいなやつですね。
琵琶湖オオナマズ 2004.03.07 > 私も夏場はイワガキを採っておりますので、
ウバウオさんが採っておられるのは、天然のイワガキですか。

> フグもここは食べてもいいとかいけないとか、よく知っていますし、
> 経験とは恐ろしいものです。
> (十年に一度くらいフグで倒れる人もいるみたいですけど・・・。)

フグのことは、某地でもそんな話を聞きましたが、なんか危なっかしい感じで・・・・・いくら産地の方の経験でも、フグの話だけは怖いですよ。

> ノロウイルスが少量入ったカキを真っ先に食べるとか、
ノロウイルスの場合、ウイルスの量は関係ないみたいですよ。
少なくても、あたる人はあたるようです。

> ノロウィルスって人の小腸でしか増えないってことでしょうか?
そうみたいですね。
ですから、カキが持ってるちょっとのノロウイルスより、それを食べた人から出てくる糞便に含まれてるノロウイルスのほうが圧倒的に多いようで、だから保育所とかで大量感染するみたいですね。
山口正士 2004.03.07 SRSV改めノロウイルスの話題を見ながら、さらに根本的な問題を考えていました。
ヒトをはじめ、様々な生物の病原体になるウイルスの話題が頻発している中で、自然生態系の中でのウイルス、特に海産生物と一緒になっているウイルスの生態はどうなっているのか気になりました。一般向けの概説講義(下のURL)を見つけたのですが、その締めくくりの文章が端的に答を出していました。

<ここから引用>

野生動物それぞれに固有のウイルスがいくつも存在しているはずです。
我々が知っているウイルスは氷山の一角にすぎません。ウイルスの
生態についてはほとんど分かっていないのです。
 http://www.anex.med.tokushima-u.ac.jp/topics/zoonoses/zoonoses03-151.html

<ここまで引用>

最近、サンゴ類の病気が次々と見つかっていますが、ウイルスによるものはまだ報告されていないようです。これは調べられていないだけなのかもしれませんが。
1980年代の終わりごろ、台湾のエビ類養殖がウイルス病などで壊滅的な影響を受け、当時沖縄の養殖業が廃業の瀬戸際にあったのが結果的に救われ、生き延びることができたのは、まだ記憶に残っています。エビ類のウイルス病について調べてみて驚きましたが、世界各地で20種類くらいあって、大きな影響を与え続けていることがわかりました。エビの養殖場で外部から入ってくるものに対して非常に神経質になっているわけがよく理解できました。ところで、このエビ類の病原体ウイルスの起源はわかっているのでしょうか。情報検索をかけたら、症状や対策などの情報はたくさん出てきましたが、一番知りたいこと、つまりこれらのウイルスはもともと海産生物に居候していたものが変化したものか、または陸上生物起源なのか、という点について手がかりが見つかりませんでした。集約的な養殖というものが始まったので、エビ類にウイルス病が出現したわけですが、もともとあったものが顕在化したのかどうか、何か別の生物にいたのが入り込んだのか、など調べられていないのでしょうか。

ノロウイルスは人間(だけ?)起源(?)から海に入り、そこで二枚貝類の中腸腺に溜まりこんでいるということで、それが人間に戻ってくるサイクルができて、そして(運の悪い?)人々に入ったら食中毒を引き起こす、という話が解明されているようですが、もともと人間とは平和共存関係だったのかという点が引っかかります。
つまり、もともと貝類と無関係に陸上でヒトからヒトに移り食中毒を起こしてきているのならば、なんで日常的に頻発していないのだろう、と不思議に思いました。
琵琶湖オオナマズ 2004.03.07 > ノロウイルスは人間(だけ?)起源(?)から海に入り、そこで二枚貝類の中腸腺に
> 溜まりこんでいるということで、それが人間に戻ってくるサイクルができて、そして
> (運の悪い?)人々に入ったら食中毒を引き起こす、という話が解明されているよう
> ですが、もともと人間とは平和共存関係だったのかという点が引っかかります。
> つまり、もともと貝類と無関係に陸上でヒトからヒトに移り食中毒を起こしてきてい
> るのならば、なんで日常的に頻発していないのだろう、と不思議に思いました。

難しいことはわかりませんが、↑このご指摘については、たしかにその通りですね。
定説では、「卵が先か、鶏が先か」の議論になりかねない(もうなってる?)ですよね。
やっぱり、最初は無毒?だったのが、無限にサイクルを繰り返すなかで、有毒に変わったとか? それもおかしいか。
鳥取のウバウオ 2004.03.07 ウィルスの話が続いておりますが、調べれば調べるほど疑問が出てきて、頭の中がいっぱいいっぱいです。

> ノロウイルスは人間(だけ?)起源(?)から海に入り、そこで二枚貝類の中腸腺に
> 溜まりこんでいるということで、それが人間に戻ってくるサイクルができて、そして
> (運の悪い?)人々に入ったら食中毒を引き起こす、という話が解明されているよう
> ですが、もともと人間とは平和共存関係だったのかという点が引っかかります。
> つまり、もともと貝類と無関係に陸上でヒトからヒトに移り食中毒を起こしてきてい
> るのならば、なんで日常的に頻発していないのだろう、と不思議に思いました。

どうも、ノロウィルスはチンパンジーにも感染するそうです。
 (ネットのどこかに載っておりました。)
人間とは平和共存関係だったか?という話ですが、そもそもウィルスが特定の細胞を狙って死滅させ増殖するという性質上、ノロウィルスにしてもやはり人間にとって不利なだけの「寄生」ではないでしょうか?
でもちょっと前まで日本でも人糞肥料で作物を作っていたわけですので、陸上サイクルで日常的にこの食中毒にかかっていたいたのかもしれませんね。
ノロウィルスがいつ発生したかはわかりませんが、人類が誕生して200万年とすると(類人猿に広げると2000万年か?)、カキのような貝を食べ始めたのはごく最近(1万年前とか)ではないでしょうか。
そう考えると、まず陸上でのサイクルができ、偶然にも人間の食べる貝にもウィルスが溜まっていたといえると思います。
貝がいなければ、もしくは貝を人間が食べなければ、このウィルスは絶滅していたのかもしれません。
あくまで私の想像ですのでほんとうのことは分かりません。
ウィルスは訳の分からない奴、というのはよく分かりました。

  ** ノロウィルスは真水では死なないみたいです。失礼しました。
  ** 採取後の温度管理とか経過日数にかかわらず、
  ** ウィルスがカキにあれば感染してしまうということのようです。
  ** 加熱すれば大丈夫です。

私は天然イワガキを5月ごろからお盆まで採取しております。
こちらのイワガキは哀しいかな、このまま行きますと絶滅の恐れあり、です。
カキとは平和的共生関係を創っていきたいものです。
山口正士 2004.03.11 カキ養殖などに関してのSRSV改めノロウイルスの対策技術について、研究情報を見つけました。
 http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2004/pr20040108/pr20040108.html



Copyright(C) Mar.11.2004 by Toshio Yabe. Allrights reserved