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今年の鰻について&日本の状況雑感    ウナギのリンク集
古い卵が出荷された件は、テレビや新聞で報道され、全国区の話題になってしまっています。
そのさなかに、今度は「鳥インフルエンザ」というのが出てきて、この病気は人間にもうつるということで、テレビでは3万羽以上の鶏が処分(殺される)されているところが放映されていました。
アメリカのBSE問題もあり、とにかく、(あまり好きでない宗教的な表現ですが)地球がおかしくなってしまってるんではないかと思いたくなるようなことが続いています。人間が地球という星を利用する上で、地球に住み続けていく上で、社会の構造と個人個人の意識構造を、根本的に変革しなければいけない時代になっていると思います。
ウナギ業界にとっては大混乱だった2003年が終わり、新しい年に入ったのですが、なかなか良い話が聞こえてきません。国産鰻の蒲焼製品が、kg3500円とかいうウワサもありますが、これは、あのシラス大不良の時の相場に近いですよね。あの時に私は鰻を担当していたのですが、売価設定に苦労しました。
これから、中国の蒲焼製品の輸入もじょじょに増えてくるだろうし、そのうち相場も落ち着いてくるだろうと思っていますが、平坦な道ではないでしょう。気になることはいくつかあります。
  1. 今年はシラス不漁と言われていますが、本当なら厳しいですね。今からたくさん取れはじめたとしても、土用の丑に間に合うかどうか微妙なところです。今年は、高値安定とみるのが妥当でしょうか。ただし、「末端価格がいくらなら売れるのか」を考えなければ、また大怪我をする可能性があると思いますので注意が必要でしょう。
  2. ウナギの消費が完全に減退してしまったのですが、中国の製品が入ってきて小売価格が若干値下がりしたとしても、ウナギ需要がすぐ元に戻るのか。消費者のあいだには、中国製品(ウナギだけでなく、その他のものも含め)に対する安全性についての不安は、非常に大きいものがありますから、なかなか、そうはいかないと思います。もちろん、中国からの蒲焼き製品の入荷量が少なければ、相場の低下も期待ができませんし、その場合は当然、需要の回復は無理ですね。
  3. 中国製品の薬品問題は、完全に克服できるのかどうか。もちろん、中国政府も国の威信を賭けて対処していると思うのですが、国民性というのはすぐにはかわらないと思います。政府の決めたことが、いかに厳しい罰則付きであったとしても、すぐに末端で実行される保証はありません。それは、日本のような「法治国家」としての一定の秩序がある国でも無理ですから、「人治国家」と言われる中国ならなおさら難しいと思います。池の鰻に病気が発生したり、生産性向上の(損をしない)ために、日本で許可されていない薬品を使う養殖場は無くならないのではないかということです。僕は、この問題を一番不安に思っています。ウナギ輸入に携わる日本の方々が、この問題に対して、「具体的」にどのような有効な対策を取られるのか、それが重要だと思います。一度、この問題で大きな失敗を犯しておられるだけに、二度とそのようなことがあってはならないでしょう。こんど失敗すれば、業界は崩壊する可能性があると思います。組織や事業の存立を賭して、具体的な方策をとられるべきでしょう。 
そんな状況の中で、少しだけ「灯りがさしてるなー」と思うことがありますので、書いておきましょう。
日鰻連から九州方面の団体が脱退し、全鰻連を結成されました。これについては、「大同団結が必要なときに分裂するとは・・・・・」と、私自身、あきれたわけですが、そういう中で、若手の養鰻業者中心に、「全国養鰻業者青壮年部連合会」を結成されています。この団体は、文字どおり若手の養鰻家が中心で、それだけでも期待できるのですが、加入者が今まで以上に全国に広がっているということで、既存の組織より養鰻家の大同団結に資することができるのではないかと思われます。私は単なる消費者で、業界の内情まではわかりませんが、ウナギ復活のために頑張って頂きたいものです。日本養殖新聞2004年1月10日号に、「全国養鰻業者青壮年部連合会」の会長さんの挨拶が掲載されていましたが、そこでは「消費地に直接出向いて(消費者の)生の声を聞けたら とも考えています。」「私たち国内の鰻生産者は今年も消費者の皆さまに安心して、なおかつ、喜んでもらえる「おいしい鰻」を育てていく所存でございます。」と書かれています。消費者の一人として、期待したいと思います。
ウナギには、直接は関係ないのですが、消費者心理に関わって、いくつか気になることを書いておきます。
  1. 政界や経済界で、消費税率の引き上げが議論されていますね。20%などという考え方もあるようですが、こういうのが新聞に載ると、消費者心理はますます冷え込んでしまいます。景気回復に逆行しますね。そのへんが、為政者や財界の首脳、御用学者には分かっていないですね。庶民の生活を見ないからでしょう。もしくは、あえてそこは、目をふさいでいるのかもしれませんが。
  2. 自衛隊が、武器を持ってイラクに行きました。戦地に武器を持った自衛隊が派遣されるのは、第二次世界大戦が終わってからは初めてのことです。明白な憲法違反だと、私は思っています。自衛隊は米軍の援助に行ったわけですから、これで、日本はイスラムの敵になってしまいました。悲しいことです。自衛隊が攻撃を受けるのは避けられないだろうし、自衛隊員から犠牲者が出るのも十分考えられることだと思います。不況で国民生活が苦しいときに、国民の眼を海外に向けさせるのは、歴史的に見て「為政者の常套手段」です。しかし、犠牲がでれば逆効果になります。アメリカの言いなりになり、国民へ犠牲を押しつける政策が続けられるかぎり、状況はかわらないどころか、さらに厳しいものになるでしょう。
よぶんなことも書きました、お許し下さい。
いずれにせよ、今年は、鰻で商売をするのは難しい年ですね。
業者の皆さま、変なモンをつかまされたりしないように気をつけて下さい。
消費者の皆さま、ウナギは栄養価の高い食物ですので、ちょっとぐらい高くなっても、たくさん食べて下さいね。

  
Copyright(C) Jan.18.2004 by Toshio Yabe. All rights reserved