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2000年「土用の丑」直前情報!         ウナギのリンク集
やっぱり、この時期になると、このテーマでなにか書かないと、「ウナギ情報館」の名がすたると思い、無理矢理、書いてます。(^_^;)

活鰻価格も製品価格も、徐々にはあがってきているみたいですね。それでも、昨年に比べると、安いことは安い。
活鰻の池あげ価格が、kg1100円〜1300円くらい、中国産のウナギが一番高いです。
一番、質がいいから、高いのだろうと思うのですが、職人さん達に聞きますと、必ずしもそうではないようです。
「良いのもあれば、悪いのもある。ただし、平均すると、中国はええなあ。」という感じらしいです。

加工鰻は、製法によって歩留まりが全く違いますから、価格はバラバラですが、普通の商品で、10kgで13000円〜15000円くらいでしょう。ただ、加工鰻は、原鰻の選別や焼き方によって「歩留まり」が変わってくるので、値段だけで判断するのは危険です。たとえば、中国産の鰻蒲焼で、このような事例があります。
  1. これから書くのは、同じメーカーのものです。ここには、2つのブランドがあります。(実際には、もっとあるのでしょうが・・・)
  2. 一つは、完全な養殖池指定、もちろんエサなども指定、養殖池のまわりの環境までチェックする。(まわりの畑で農薬が使われているかどうかとか・・・) 病鰻・弱鰻等排除。もちろん、裂きキズのある鰻なども排除。当然、焼き方も細心の注意を払う。もちろん、蒸しを過剰に入れて、歩留まりをあげるなどという姑息な手段は取らない。こうすると、中国産でも最高に近い鰻蒲焼ができる。
    • こうして作った鰻蒲焼(冷凍製品)の価格ですが、仮にこれを「10kg 20000円」とします。
    • 上記の鰻蒲焼を作る最後の工程で、たれ塗りを1回増やすと、「10kg 19000円」となります。つまり、10kgのなかみが、たれの重みが増え、正味の鰻の重さが少なくなるわけです。それで、kg1000円下がるのです。
  3. 上記のブランドは、特定の取引先むけとして特別に作られたブランドで、一般流通には乗せられていません。一般流通に乗せられるものは、他社製品との価格競争がありますから、戦略的な価格を設定した上で、原鰻・加工レベルが調整されます。つまり、基準が、「価格」におかれるのです。「売れる価格設定」がされた上で、「その範囲において最高の製品」が作られます。
    • こういう視点で作られた鰻蒲焼製品は、「10kg 16000円」となります。先の鰻蒲焼に比べると、20%も安くなるのです。(この20%というのは、あくまで「例」であって、25%などという場合もあります。)
    • もちろん、美味しさという点では、少し落ちます。「味と価格」は、基本的に相反するものです。
このメーカーさんは良心的なところで、あまり変なものは作られていないようです。それでも、「ご希望によっては、もっと安いものでも作れますよ。」というスタンスはあります。
つまり、原鰻の選別を甘くしたり、焼く方法を変え(あまり焼かずに、「蒸し」主体で鰻に火を通す。)歩留まりをあげた鰻=末端価格が安い鰻も作れると言うことです。そうした作り方をすれば、10kg 13000円以下とかも可能なわけです。

この3種類を、末端売価(小売価格)で比較してみましょう。10KG 60尾入りで計算します。(一番、売れるサイズでしょう。)
  1. 最上級品   1尾原価 334円  小売価格は、タレ・トレー代などがプラスされて・・・
    • 安いところで  480円売り
    • 高いところで  680円売り       普通は、580円で売ると思います。
    • タレを1回多く塗ると、その分、原価が下がりますが、この程度なら、小売り売価に反映しません。小売り側の利益率が上がると言うことの方が多いと思います。(1尾原価 317円・・・差額17円がよけいに儲かる。)   
  2. 普通の製品  1尾原価 267円  小売価格は、タレ・トレー代などがプラスされて・・・
    • 380円〜480円の売価になります。
    • この製品は、最上級品に比べると「コンセプトが弱い」ので、競合他社との関係で、売価も変化してきます。
    • あまり高く売れないという事です。
  3. 下級品  1尾原価 217円  小売価格は、タレ・トレー代などがプラスされて・・・
    • 298円〜380円の売価になります。
    • 380円で売った場合、35%以上の利益率です。つまり、こうした美味しくない鰻を売っても、小売りの所は儲かることがあるのです。しかし、この鰻は、本来の鰻の美味しさがスポイルされていますし、おすすめできません。
以上、例を挙げましたが、同じ中国産の鰻蒲焼でも、これだけの差が出るのです。そして、当然、「高いほうが美味しい」のが、厳然たる事実です。ですから、消費者の方は、あまり安い鰻には手を出さない方が良いと思います。
また、別の話ですが、鰻は、加工品ですので、現在の時点では「産地表示」を義務づけられておりません。
そのためもあってか、どう見ても「フランス種」としか思えない鰻に、国産の地名がついていたりします。このへんも注意が必要です。

なお、今回、中国産の鰻蒲焼について書きましたが、私自身が「一番美味しい」と思っているのは、「活鰻蒲焼の炭焼き」です。
これは、中国産鰻蒲焼の2倍から3倍の値段がしますが、それだけの値打ちがあるものだと思います。
いちど、ご賞味いただくことをおすすめいたします。

追伸
例に挙げた「価格」は、あくまで「例」であって、現在の加工鰻の相場と関係がないことをおことわりしておきます。
                                                       2000年7月11日


  
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