鰻・98年2月の状況について


今年も和種(アンギラ・ジャポニカ)は不漁?
ウナギは、9月から1年が始まります。(これを「ウナギ年度」と呼んでいます。)
昨年の9月時点での鰻蒲焼(冷凍)の在庫状況は、商社在庫としてあるのが10000トン〜15000トンと推測されていました。
そして、このうちの8割がたが「フランス種」(アンギラ・アンギラ)の細物と見られています。
「フランス種」(アンギラ・アンギラ)は成長が非常に遅く、ジャポニカ種の2倍から3倍の期間がかかります。そのため、どうしても細物の出回りが多くなってくるようです。

このところ、京都の中央市場では、フランス種の極小型の物が捨て値で売られています。
なんと、3尾パックして、もちろんタレも入れて、仲買さんの売りが400円です。ほんとに小さなウナギで、「どじょうの姉はん」か「あなごのちっさいの」という感じです。
仲買さんの口銭を考えると、仲買さんの仕入れ価格は350円〜370円くらいだと思われます。
という事は、1尾あたり120円くらいです。信じられない。国産のアナゴより安いですね。
いかに、フランスウナギが余っているかということがよくわかる事例でしょう。

昨年、10月下旬から台湾でシラス漁が始まり、はじめの頃は順調に獲れていたようです。
この事から、12月1日からの日本での解禁に期待が寄せられていました。
試験採捕では、サイズが昨年より大きく、肌も飴色ということから、ここ数年の不漁は回避できるという楽観的な見方もあったようです。
ところが、期待に反して、漁模様は昨年より悪く、現状では台湾・中国で獲れたシラスを輸入したものも含めて、池入れ漁としては昨年の6割程度ではないかというのが、業界の見方です。
漁期は、あと一月程度あるのですが、現状を抜本的に転換するような事にはならないと思われます。

したがって、今年は、昨年以上に「ジャポニカは高級品」「フランスはオカズで特売品」という棲み分けが進んでくると思われます。それに「アメリカ種」がどうからむのか、興味深いところです。

こうした状況のなかで、各量販店がどのような「ウナギ戦略」をとってくるのか、これもシビアに見ていく必要があります。

アメリカウナギも出てきています。
もう、一月ほど前になりますが、前川商店の中川さんが「アメリカ種」のウナギの蒲焼きを見せてくれました。もちろん、加工は中国で、普通の人が見たら全く見分けがつきません。
このウナギは「アンギラ・ロストラータ」という名前で、獰猛で、養殖していると共食いするため、歩留まりが悪いと聞いたことがあります。
味については、私はまだ食べたことがないので、なんとも言えません。
価格的には、まだ評判が固まっていないこともあり、フランス種より安いようです。


  
Copyright(C) March 5,1998 by Toshio Yabe. All rights reserved