日本養殖新聞2005年9月25日号の「蒲焼店コーナー」に、中国産の鰻蒲焼を国内産表示で売っている関係者の話が掲載されていました。
そこには、「この時期、国産より美味しい中国産の鰻を、みんなに食べて欲しかった」というようなことが書かれていました。
率直なところを書かせて頂きますが、これって、絶対に間違った考え方だと思います。
マラカイトグリーンのことを持ち出すまでもなく、消費者の中には、中国産に不信感を抱く人が多いです。
だからと言って、ごまかして売って、その不信感が取りのぞけるのかというと、そんなことは絶対にあり得ません。
国産と誤認をさせて、消費者に美味しいと思われても、それが、中国の鰻の評価を高めるわけではないのです。
そんなふうにして、いつまでもごまかしを続けるから、よけいに消費者が信用しなくなってしまうのです。
中国産の鰻が美味しいと思うのなら、堂々と「中国産」の表示して、「今の時期は中国産の鰻が美味しいのです」と消費者に訴えて売るべきだと思います。
北陸金沢に、「うないち山下商店」という鰻の加工屋さんがありますが、自社のホームページで堂々と「中国産」と表示をして売っておられます。立派だと思います。
http://www.unaichi.com/ ←うないち山下商店ホームページ
鰻業界を見ていると、全体としては、前向きな発想が、あまり感じられないのですよね。
先に書いたことでもそうですが、誤魔化して売って、将来の展望が開けると思っているのでしょうか。
それは、その場限りの逃げの姿勢であって、前向きに展望を切り開くという立場じゃないですね。
どの業界でも「イノベーション」という言葉が議論されています。
「イノベーション」の意味は、新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発などで、ひとことで言えば「技術革新」なのですが、そういったことに業界としてのチャレンジはあるのでしょうか。
外部から見ていると、他の業界の進歩・イノベーションと比較して、遅れた部分ばかりが見えるというのは、私の目が節穴だからでしょうか? |