2003年9月分特別  「土用の丑」うなぎアンケートのまとめ、全文転載についての序文

ここ数年、鰻を巡る状況は、「厳しい」「奇々怪々」というような言葉が適当なように思われる、異常なものになっています。
昨年表面化した国内産地間における不協和音に続き、活鰻業界と輸入冷凍蒲焼き業界の対立も、明確になってしまいました。
消費者側から見れば、天然鰻などの一部の特殊な鰻をのぞけば、活鰻蒲焼も冷凍蒲焼きも、スーパーでは基本的に同じ売り場に陳列される物で、どちらも「鰻蒲焼」であって、値段の差こそあれ、「鰻を食べる」という行動からみれば、同じ物なのです。
鰻業界内においては、活鰻蒲焼と冷凍蒲焼きが別の物のように考えられ、冷凍(特に中国産輸入物)が売れなくなれば、活鰻蒲焼なり国産冷凍蒲焼きが売れるという考えられている(その逆も含め)ふしがあるようですが、実際の消費者の購買行動は、そんなに単純な物ではないのです。
中国も国内も、活鰻蒲焼も冷凍蒲焼きも、みんな「一緒くた」に考えている消費者が圧倒的だし、逆に、鰻のことを知っている消費者はどちらに対しても批判的になり、鰻の評判が悪くなれば、トータルしての鰻を食べる量が減っていくのです。
業界は、このあたりの認識を、一歩も二歩も深めていく必要があると思います。
そんな問題意識を持ちながら、今年の「土用の丑」を考えたとき、皆さん(消費者も業界人も)がどのように考えているのか、それを知ることは非常に大事なことだと思いました。それで、Webでのアンケートを実施したのです。
アンケートの回答を見てみると、特徴的な点が二つあると思います。
一つは、私や業界の一部の人達が危惧したとおり、消費者の不信感は「中国産」だけでなく、国産の鰻にも広がっていることがハッキリしたことです。
批判を承知でズバッと言えば、暴露合戦のような事をしていると、鰻業界全体が消費者に見放されてしまう、そういうことが明らかになったのではないかと思えます。
もう一点は、鰻に対する「評価」が一定していないという点です。
「食べた鰻の価格」の回答データは、まさにバラバラですし、「食べようと思う鰻丼の価格」についても、回答はバラバラになっていますね。
業界として、鰻の評価の統一、鰻のランク付けのようなものを考え、消費者に提案した方が、消費者としては利用がしやすいのではないかと思います。
いずれにせよ、消費者に支持して頂かなければ、業界は立ちいかないわけで、産地偽装などは論外、とにかく消費者のほうを向いた仕事をするという立場を確立してほしいと思います。


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