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ウナギについて、最近思うこと・・・           ウナギのリンク集
 9月と11月にも書きましたが、現在、うなぎ業界は非常に厳しい状況にあります。
特徴的には、 中国産の加工品の末端価格が、目を覆うような安値になっています。 (それに伴い、産地価格も極端に低下。)
先日も、京都市内の某スーパーを見に行ったのですが、4p〜4.5pくらいのが 「1尾 280円」で、下段に大量陳列されていました。
某荷受会社のウナギ担当と話をしていたのですが、上記の価格でも小売り段階では25%程度の利益が出るそうです。
うちは、国産中心で、今年の場合は特に「活鰻」を売ってますので、中国産の加工品は扱ってません。
したがって、中国産加工品の実勢価格がどの辺にあるのかというのはよく分から ないのですが、無茶苦茶になっていることだけは確かなようです。(中国産のジャポニカ種加工品も、かなり安くなっているようです。)

先に述べたように、うちは「国産」「活鰻」が中心です。 ですから、活鰻蒲焼の美味しさを知っておられるお客さんが多いです。
それでも、今年の夏、こういうことを体験しました。
うちは、毎年「土用の丑」の前に、鰻の試食会をやります。(職員・パート対象)
  1. 活鰻蒲焼と国産の冷凍蒲焼    これはどちらもうちの定番品です。
  2. 量販店などで購入してきた蒲焼き(だいたい、中国産が多い。) 複数。
これを食べ比べするのですが、2〜3年前は、みんなが「活鰻蒲焼」を美味しいと言っていました。
ところが、今年の試食会では、意見が割れたのです。 「活鰻蒲焼」のほうは、「くさい」「かたい」とかの意見が出ました。
スーパーで買ってきた中国産の鰻蒲焼が美味しいと言う人も、そこそこいました。 私は、率直なところ、ショックでした。

私などは、やはり活鰻蒲焼でないと鰻の美味しさは出ないと思ってます。
皮目の焦げ具合とちょっとした鰻独特の風味、これがたまらなく美味しいと思います。 中国産の冷凍鰻には、これが無いのですね。

ところが、ここ数年、あまりにもジャポニカシラスが高すぎて、スーパーで売られている大半が中国産の冷凍品という状態で推移してきた訳です。
そして、昨年末くらいからは小型の鰻が安く出回りました。 多くの消費者がこれを食べたのです。
いわば、これしか選択肢が無かったような状態になったわけです。
消費者が知っている鰻の味、これが「中国産の冷凍蒲焼」になってしまったわけです。(大勢として。)
これは、大変なことです。
なぜなら、これは「鰻の価値観」が変わってきたことを意味しているのです。
「鰻」 → ごちそう。  から  「鰻」 → オカズ。 になったのです。
オカズになった以上、高い値段の物は売れません。 ここが、今のせめぎ合いの場面になっているだろうと思っています。

業界として、この場面をどう乗り切っていくのか。
養殖業界、輸入商社、ブローカー、エサやさん、料理屋さん、スーパー業界、その他の流通関係業界等々、みんなが考えなければいけないときだと思います。

背景には、日本の底なしの不況、リストラ・人減らしもあると思います。
政府は楽観的なことを言ってますが、大企業を中心にリストラはまだまだ続きそ うです。
そうした中で、どう鰻を売っていくのか、高度成長時代と違う発想が必要とされていると思います。

とりとめもない、まとまりのない文章を書きましたが、活鰻蒲焼(こうした鰻料理)は、日本の文化です。
大切に守っていきたいと思っています。                                                                                                       1999年12月5日

  
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