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産地詐称問題について      ウナギのリンク集
今年のシラス漁も、もう少しで終わります。情報では、国内は16トン、中国・台湾55トン程度の池入れだということです。
昨年の池入れ110トンに比べ大幅に減ってはいますが、一昨年の55トンは上回っています。(これにプラスして、中国のフランス種が製品として出まわります。)
デフレ不況で末端販売が苦しい状況にあり、そう簡単に状況が良くなるとは考えられないだけに、池入れ量としてはこれぐらいが適当という見方が多いようです。活鰻相場は、少し上がっているようですが、状況から見て大幅に値上がりするとは考えられません。もしそのようになったら、業界の自殺行為と言っても過言ではないと私は思っています。

「産地詐称」問題が社会的に重大な関心を呼んでいますので、これについて少し書いてみます。
この問題について、今、特別に話題になっているのは「肉・豚・カシワ」などで、水産物はあまり問題になっていません。
水産物で全国ニュースになったのは、3月9日、千葉県漁連扱いの十三湖シジミの産地詐称問題ぐらいですね。
ですので、現在の状況をして「水産界には追い風」と考える傾向があるようです。しかし、これは状況の認識が甘い、危険な考え方だと思います。なぜなら、「産地詐称」は、決して「対岸の火事」ではないからです。
うなぎ業界におられるの方なら、下記の問題は「既知」のことですね。
 「国産と偽る鰻加工品リパック販売と水産業界の体質」
   http://www.ne.jp/asahi/to/fishroom/fishml/ripakkuunagi.htm
中国産蒲焼きを国産に見せかけて売るというのは、2000年の土用の丑商戦前から、指摘されていました。
その後、業界のなかでもいろいろと問題になったようで、関係する業者が倒産するとかいうこともあったようですが、現状では、こうした「消費者から見た産地詐称商品」が無くなったわけでは無いです。新JAS法と食品衛生法との違いがあるなかで、この問題に対する行政側の対応の曖昧さが、結果的に「現状追認・放置」状態にあると言わざるをえない状況のようです。

その他にも、以前から指摘されている問題はあります。
輸入のマグロを国産表示して売っているというのも、週刊誌に掲載されています。西アフリカ産のゆで蛸を「江戸前」とか「明石産」と表示しているというのもあるようです。中国・北朝鮮産のハマグリを、三重県産で売っているなども、指摘されています。
つまり、水産界においても、「産地詐称」はあるわけです。「産地詐称」だけでなく「偽名表示」もあります。「ナイルパーチ」を「スズキ」という魚名で売るなどというのは、その典型ですね。
こうした問題は、まだ大きくマスコミに取り上げられていないから、業界内では問題になっていない。致命的な影響を受ける状態ではないし、危機感が無い。それだけに怖いと私は思っています。

マスコミに取り上げられ大騒ぎになる前に、業界として「自主的自律的」に対処することが大事だと思います。
もちろん、これは水産業界だけの問題ではなく、流通業界の問題でもあるわけです。納入元としては、きちんと情報を渡しているのに、小売りが正しく表示しないといった事も現実にあるわけで、ユデダコやハマグリなどはその典型のようです。
「日本養殖新聞」でも、ウナギの表示問題が取り上げられています。
「JAS法」と「食品衛生法」との違いなども論議されているようですが、ちょっと考える基本がずれているような気がします。法がどう決めていようと、大事なことは「消費者に正しい情報を提供する」ということなのです。
もちろん、法の規定に沿うことが必要な訳ですが、それが内容的に不十分であるならば、自主的に「より正しい表示」をするべきだと思います。
たとえ法で規制されていなくても、中国産蒲焼きをパックして国産表示で売るというのは、消費者から見れば「ダマシ」でしか無いわけです。このようなことがまかり通る業界というのは、消費者の立場からすれば「業界全体が信用できない」となってしまうのです。何度も書くようですが、このことを業界はきっちり認識すべきです。

末端小売りのところでの「産地表示」も、一時に比べれると後退していると報告されています。つまり、表示をしていないお店が増えているわけです。
養殖魚も同じようです。肉骨粉が養殖魚の餌に混ぜられていたという報道がされたころ、店頭に並んでいる養殖魚から「養殖」の表示が消えたお店があります。そういうお店は、一度後退すればなかなか元には戻りません。
「タイ」などは、天然と養殖では色が違うので、丸のままならすぐわかります。しかし、お造り用の短冊にしてしまえば、一般消費者には違いがわからないでしょう。これも「産地詐称」と変わらない「消費者ダマシ」ですよね。
いつまでもこのような状態ならば、そのうち消費者に見放されてしまいますよ。
小売りもしっかりして欲しいと、つくづく思います。

  
Copyright(C) Mar.17.2002 by Toshio Yabe. All rights reserved