業界筋で、ウナギ価格(特に「中国産冷凍蒲焼き=アンギラ・アンギラ=フランス種)が暴落しています。 |
京都中央市場の、某有力仲卸業者の店頭に、某有名スーパーからキャンセルを食らったと推定される冷凍ウナギが、山積みされていました。もちろん、フランス種です。 ただし、一日で姿を消したようです。影響が大きいので隠したのか、それとも、どこかのローカルスーパーが「もうかる」と見込んで買ったのか、このへんは不明です。 そして、これの価格は、一般の相場の3分の2くらいだと、市場筋ではウワサされています。 |
今までの動き |
1.シラス不漁で、シラス価格が大暴騰した。 2.そのうえ、当初の円安基調が、97年産の中国加工鰻の「値上がり説」を助長した。 3.早春に、インポーターや量販店のバイヤーが、商品の確保に入る。高い商品を確保した。 4.ただし、末端消費は、消費税増税の影響などあり、動きは今ひとつだった。 5.一転して「円高」となり、97年モデルの価格が低下した。そのため、高値で確保したインポーター等は、逆ざや出荷を迫られた。 6.大手量販店が確保したフランス種に、品質不安定なものが多く、キャンセルが続出した模様。 7.在庫過剰になり、赤字を少しでも少なくしよという思惑からの「投げ玉」が続出。(冒頭に書いた状況は、その一例) 8.そうした中でも、ジャポニカ種は絶対量が少なく、あまり価格は落ちていない。8月以降、玉不足の可能性がある。 |
97年「土用の丑」の見通し |
1.末端価格は、2極分化する可能性がある。量販店は、相場の高いときに確保しているところが多く、大きな値下げはしない模様。 2.当用買いに徹しているローカルスーパーでは、あまり質の良くない「フランス種」が、安値で販売される可能性がある。 3.いずれも、「土用の丑」の中心商品は、中国で加工した「フランス種」の蒲焼きであることはまちがいない。 4.活鰻については、価格安定。味の良さを考えれば、多少高くてもこれがおすすめ品である。 5.「土用の丑」を活鰻中心に販売するスーパー関係は、京都では京都生協だけ。他県では、ほとんど無いと思われる。 6.京都生協では、冷凍蒲焼きも扱っているが、これは「ジャポニカ種」で、国内の工場(鹿児島)で加工したもの。 7.土用の丑の売れ行きを左右する最大のものは「天候」である。天気が良く、暑ければウナギは売れる。 8.エルニーニョの影響である「冷夏」で、なおかつ7月19日〜22日の間に雨が降れば、売れない。 |
今後の状況 |
1.中国で、加工場の倒産が発生している。 2.加工場が少なくなるため、行き場を失ったウナギは、活鰻で日本へ輸入される可能性が高い。 3.中国ものは安いため、国内の養殖場は大きな打撃を受ける可能性があり、来年度は危機的な状況になりそう。 4.加工品についても、国内産は価格的に中国と大きな格差があり、厳しい状況がつづく。 5.いずれにせよ、来年は、日本の養鰻業とウナギ業界にとって「正念場」になりそうである。 |