アブラソコムツと鯨の油脂

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heita@沖縄 2001.12.12  夏場は低気圧が恐いのですが、これからの季節は高気圧の方が恐くなります。
1030ヘイクトパスカルを超えるような優勢な高気圧が来ると、その縁の方では台風並の季節風が吹きます。特に1020ヘクトパスカルの等圧線上は風が強く吹くようです。
なぜなんだろう?長年疑問に思いながらも勉強不足のheita@沖縄です。

 さて、アブラソコムツという魚をご存じでしょうか?
 全身が焦げ茶色一色で、底ムツ特有の体型で鋭い歯とチョットグロテクスな顔つきしてます。
身はチョークのような白色で、大変美味しい魚です。
マグロ延縄漁船が混獲し、大体30kg前後で、大きいものは70kgぐらいになります。
 何度か漁船からいただいて試食しました。味の方は、刺身ではホンマグロの大トロという感じでご飯に合います。天ぷらやフライにすると冷たくなっても柔らかいし、美味しく食べられます。先輩や漁師からも味の保証はありました。
 ただ、食べ過ぎると体に悪いので、途中で止めきれる意志の強さが必要だと注意されました。

 実は、食べ過ぎるとお腹を壊すのです。
油脂が通常の魚油ではなくワックス成分なので、人間には消化出来ないそうです。お腹が痛くなるのではなく、刺身にして5切れ以上食すると、知らずにズボンのお尻の部分が濡れてくるそうです。
 このため、厚生省?の規制により食品としての流通を禁止されているのです。
ですから、どんなに美味しくても一般では入手できません。
 15年ほど前までは、ある業者がこれを350円/kgで買い取り冷凍して台湾に輸出していました。
シイラが150円/kg程度でしたので、一航海で1〜3トンも獲れるアブラソコムツは漁師のいい小遣い稼ぎだったようです。
台湾では貴重な食品として流通しているようです。
しかし、その行為も違法として摘発され、現在は全て沖合で投棄しています。
 漁獲量が減少し、価格も低迷している中、漁家所得を引き上げるためにはこれらの未利用魚を換金できるようにすべきだと考えています。
 台湾では食用なのに、なぜ日本では流通さえも認められないのでしょう? 
台湾ではどうやって食べるのでしょう? どなたかご存じないでしょうか?
 また、ほかにこのような未利用資源をご存じの方はいませんでしょうか?

 沖縄の方言では、イングワァンダルミ =(食べさせると)犬がダレる、と言いますので昔から注意していたんでしょうね。大東島ではこれを食べる風習があったようで、干物にすると最高においしいそうです、が、これを焼くと島中に臭いが回るようです。
カニ@沖縄 2001.12.12 >  実は、食べ過ぎるとお腹を壊すのです。油脂が通常の魚油ではなくワックス成分なので、人間には
> 消化出来ないそうです。お腹が痛くなるのではなく、刺身にして5切れ以上食すると、
> 知らずにズボンのお尻の部分が濡れてくるそうです。

これはほとんど都市(?)伝説として聴き流してもらいたいのですが、某地方では、その地に赴任してきたばかりの若い教員などに、歓迎会の席で、そのことを知らせずに食べさせて、気がつくとお尻が「あら〜っ!」となってしまうというイタズラがあったとかないとか。
私は食したことはないのですが、実際にとても美味しい魚らしいです。
西やん@あいかわらずご無沙汰モード 2001.12.12 >  台湾では食用なのに、なぜ日本では流通さえも認められないのでしょう?
heitaさんご指摘のとおり、ワックス分が多く食べ過ぎると腹痛・下痢をおこすことから、昭和56年1月10日の厚生省衛生課長の通達により、食品衛生法の4条2項に該当する食品(有害な物質を含むもしくはその恐れのある食品)として取り扱うべきものとされたことから流通が禁止されたようです。
この流通禁止措置については、裁判沙汰もあるようです。
平成10年の最高裁の判例がありましたので興味をお持ちに方はご覧下さい。
  http://www.ilc-jp.com/saikousai/kaisetsu/75.htm

どういう症状になるかはこちらを(高含量脂質という項目にのってます。)
  http://village.infoweb.ne.jp/~fwhs4395/sk/poison.html

アブラソコムツの現物はこちらです。
  http://www.jamarc.go.jp/zukan/f/f-2/f-m130/f-414.htm

台湾でどうやって食しているかは???でした。
あかまんぼ@紀州人 2001.12.12 >  15年ほど前までは、ある業者がこれを350円/kgで買い取り冷凍して台湾に輸出し
> ていました。シイラが150円/kg程度でしたので、一航海で1〜3トンも獲れるアブラ
> ソコムツは漁師のいい小遣い稼ぎだったようです。台湾では貴重な食品として流通し
> ているようです。しかし、その行為も違法として摘発され、現在は全て沖合で投棄しています。

☆知合いの某まぐろ業者さん、創業からの話しをうかがうと、ちょっと事情で商売を止めてた時期がありました。
 漏れ聞こえた話によると、アブラソコムツを販売して警察にしょっ引かれてたそうですよ。
 後日、本人に聞いていると事実なようで、「ヤバイ!」と知りつつやったそうです。
 すると三重か愛知の方の警察から、「今から逮捕に行く」と電話があったそうです。
☆fish-mlに向けて一度、コメント貰ってみよか?  ちょっと不謹慎かいな?
heita@沖縄 2001.12.13 >私は食したことはないのですが、実際にとても美味しい魚らしいです。
  縦延縄や深海一本釣りでも獲れると思いますので、一度お試しになった方がイイですよ、後学のために! だけど、食べ過ぎにはくれぐれもご注意下さい。
 いや、できたら、沢山食べてみて結果をご披露下さると、ありがたいな〜〜って思ったりします(^.^)。

 西やんさん、詳しい情報提供ありがとうございます。なんでもご存じなんですね。
それとも検索エンジンで探して下されたのでしょうか? 自分で検索エンジンで探して自分だけ納得すれば話は早いのでしょうが、ここで疑問点を披露することで皆さんにもお知らせできるし、生の情報が頂けるのでとても助かります(と、言い訳してます。)

> 昭和56年1月10日の厚生省衛生課長の通達により、食品衛生法の4条2項に該当する食品
> (有害な物質を含むもしくはその恐れのある食品)として取り扱うべきものとされたことから流通が
> 禁止されたようです。

 昭和56年ですか。15年前はすでに禁止だったのですね。
「食品」としては不適当でも「輸出用の加工原料」として輸出専用に流通できないか、と若かりし頃の私はアチコチに喧嘩をふっかけたのですが、相手にもして貰えませんでした。

> この流通禁止措置については、裁判沙汰もあるようです。
> 平成10年の最高裁の判例がありましたので興味をお持ちに方はご覧下さい。

 最高裁ですか!行くとこまで行ったのですね。
判例の解説では課長名通達の適法性を争っているようですが、アブラソコムツが有害というのは争点にもならない事実ということなんでしょうかネ?

> どういう症状になるかはこちらを(高含量脂質という項目にのってます。)
 中毒例7件ですか。う〜〜む。
 ボラの卵も危ないんですね! カラスミは高価ですから量は食べないでしょうが、魚釣りで釣ったボラに卵があれば全部食べちゃいますよね。

> アブラソコムツの現物はこちらです。
 ホルマリンで長期保存したものでしょうか?
魚のために弁護しますが、実物はここまでグロではありません。
顔つきは凶暴ですが、全体の容姿は綺麗な焦げ茶色太った鮭という感じです。

> 台湾でどうやって食しているかは???でした。
 糸満の老人も「あれには食べ方がある」と言ってました。大東島の人も「食べ方さえ知っていれば、あんなに美味しい魚はないのに、大損害だ」と言ってました。

>☆知合いの某まぐろ業者さん、創業からの話しをうかがうと、ちょっと事情で商売を止めてた時期があり
> ました。漏れ聞こえた話によると、アブラソコムツを販売して警察にしょっ引かれてたそうですよ。

 あはは、実例がありましたか。やはり輸出でしょうか?それとも国内消費? 
以前は総菜屋の天ぷら芯として重宝していたと聞いたことがあります。
総菜屋の弁当なら大量に食べることはないですからね。

>☆fish-mlに向けて一度、コメント貰ってみよか?  ちょっと不謹慎かいな?
 チョット気になりますが、苦い過去を想い出させない方がイイでしょうね。
 実は先般の「食用珍魚」に出そうかと思ったんですが、食用じゃないですからね、遠慮しました(^。=)。
浪速パーチ 2001.12.13 アブラソコムツを食用にというのは無理でしょうね。
昔、テレビだったと思いますが、同じようにWAXの多いマッコウクジラを捕って、肉を天日に干して食べているのを見たことがあります。
昔なら油脂よりも高級脂肪酸WAXの方が高価だったと思いますので、大量に取れるなら抽出してから干し肉のようにして食用にできるのかな。刺身とは違うから問題外かな。
マッコウクジラ油の代用としてババス油の抽出も考えられていたように記憶していますがどうなのでしょうか。アブラソコムツ油の成分がわからないとか色々と素人の話で、申し訳ありません。
Vぞう お船Top 2001.12.13 >  さて、アブラソクムツという魚をご存じでしょうか?
 深海(縄)に行くと 時々釣れますyoっ!
 でんも 深海自体あまりイイ商売でないので、もうめったに行かなくなったですケドneっ!
 板子一枚 地獄の一丁目 ってよくゆうてました、 まぁ 今のお船は W-Bottomですけどねっ / 笑

>  漁獲量が減少し、価格も低迷している中、漁家所得を引き上げるためにはこれらの
> 未利用魚を換金できるようにすべきだと考えています。

 うぅむ、 やっぱり 沖で捨てています
 食べたいとゆう人は身近にもいてまして、一切れのために持って帰ってきてもいいかなぁ〜とも思いましたケド、売るのは違法でも自分で食べるのは違法ではない !? のかな !? !? !?
 ってぇか σ(^◇^;)個人は食べたいモンではありませんです (^ 〜^)
 でもneっ! 深海の魚って 美味しいんですよっ! グロいですけどねぇ〜
 唯一美人なのは 赤モツ(ムツ)ぐらいですか‥…
神戸の紫苑 2001.12.13 スイマセン何の情報もないんですが・・・
アブラソコムツとか ぶりの心臓とかなんか知らない世界が〜と言う感じです。
しかもあなごのおさしみ食べてみたい・・・アブラソコムツ(コレは呪文かと思いました・・)も食べてみたい・・・本当に好き嫌いがないように育ててくれた両親に感謝する昨今です。
たむやん@横浜 2001.12.14 アブラソコムツやバラムツは、いつごろからでしょうか、ルアーマンの一部に人気の対象魚となっています。
下のURLは、私がたまにチェックする東伊豆(宇佐美)の船宿ですが、バラムツが釣れていました。
写真は更新されますので、お早めに見てください。
  http://www.gyo.ne.jp/rep_tsuri_view.asp?CID=hidemasa
masa@北海道 2001.12.15 アブラソコムツに関連しておたずねいたします。
刺身(生)を食べ過ぎると、お腹をこわし・・・・知らずのうちにお尻の部分が濡れてくる・・・

当地ではお正月料理に塩蔵本皮を使ってくじら汁を作りますが、ついついおいしいものでお代わりしてしまいます。食べ過ぎると、知らずのうちにお尻が濡れてきます。
油ぬきが足りないことも原因の1つなのでしょうが、魚とくじらの違いがありますが成分って同じなのでしょうか?
坂東@神奈川 2001.12.15 > 当地ではお正月料理に塩蔵本皮を使ってくじら汁を作り
> ますが、ついついおいしいものでお代わりしてしまいます。

くじら汁、おいしいですよねー。
船上では塩蔵していない生の皮が味噌汁に入って出てきます。
寒い外から帰ってきて、ずずっとすするうまさは格別です。

> 食べ過ぎると、知らずのうちにお尻が濡れてきます。油ぬきが足りないことも原因の1つ
> なのでしょうが、魚とくじらの違いがありますが成分って同じなのでしょうか?

本皮はどの鯨種をお使いですか?
マッコウクジラやツチクジラの油には、ワックスが含まれるそうです。
一方ヒゲクジラ類の油にはワックスは含まれていません。
アブラソコムツの場合もワックスが原因のようですので、ハクジラの本皮を使われているためかもしれません。
昔は油の生産が重要だったためか、鯨の油についてはかなり研究されています。
専門書を紐解くと、脂肪酸組成やヨウ素価(あぁ、ずっと昔に習った覚えが・・・)などがずらずらと出てくるのですが、私には理解できませんでした。
最近はやりのEPAやDHAも含まれているようですが、魚油ほど含量は多くないようです。
<参考> 鯨の化学 藤井久(1989) 幸書房
浪速パーチ 2001.12.15 >マッコウクジラやツチクジラの油には、ワックスが含まれるそうです。
 マッコウクジラの皮というのは、食用になっているのですか。知りませんでした。
 昔いた会社に入社した時にいろいろな本をくれて「読んどけ」と言われました。
もちろん教えてくれるとか研修とかは全く無しでした。聞くのもダメでした。
その中でも油脂には全く記述が無く、ロウとして書いてありました。
 マッコウ鯨の頭・皮・脂肉・内臓・骨などから煮取法で採取した油を冷却して析出する固形ロウ(鯨ロウ)を圧搾してこし分けた物だとあります。この油の外観は魚油に似ているが、比重が普通の魚油類に比べて著しく低い。成分も極めて複雑でマッコウ酸やオレイン酸などの脂肪酸とオレイルアルコールなどの一価のアルコールとのエステルから成る。
 (油脂は3価のアルコールであるグリセリンとのエステルです)
このマッコウ鯨油は、そのままでは精密潤滑油、水素添加した硬化ロウは蝋燭・艶出し剤などの製造に用いられる。しかし、主な用途は硫酸エステル系洗剤の製造とあります。ツチ鯨油も同じです。
実際にこの油を見たことはありませんが、代替としてのホホバ油(植物油)は見たことがあります。
 皮での含量は少ないと思うので、影響ないと考えたのですが、違うのかな。

> 最近はやりのEPAやDHAも含まれているようですが、魚油ほど含量は多くないようです。
 EPAやDHAの記述は全く無いので少ないのだろうと思います。
比重が小さいので、そんな高度の脂肪酸は無いのかなと思います。

 ところで、鳥モチという虫などの捕獲用に使われる物も植物ロウです。
日本ではモチノキの樹皮、欧州ではヤマグルマの樹皮からつくるとあります。
 油脂とロウ(wax)の呼び名は化学の世界以外では、入り組んでいるみたいです。
木ロウといっても油脂だし、羊毛脂といってもロウです。魚の名称に似ているのかな。
坂東 2001.12.15 >  マッコウクジラの皮というのは、食用になっているのですか。知りませんでした。
コロですコロ。おでんのコロの原料はマッコウのいり皮です。
といっても私は小さいころ食べたコロの姿をかすかに覚えているだけですが・・・

>  皮での含量は少ないと思うので、影響ないと考えたのですが、違うのかな。
皮と言っても表皮ではなく脂皮(皮下脂肪)です。
マッコウクジラは厚さ20cmを越える脂皮を身にまとっています。
脂皮を切ると、脂がだらりとたれてきます。
そこで油をしぼって工業用油として使い、残りを食用としていたようです。
ワックスは大量に摂取しなければ有害ではないので少量なら食べても大丈夫、ということでしょうか。
masa@北海道 2001.12.16 くじらの塩蔵本皮(表皮に脂肪層が5cm位ついてます)についていろいろと専門的なご指摘ご意見を
いただきましてありがとうございました。くじらの種類でずいぶんと違うものなんですね。
こちらで販売されているのは、ミンクとツチの2種類ですが、料理の出来上がり具合と味の比較からミンクの方が好まれてます。
過去にはマッコウの製品もあったようで、そのおいしさは別格だ!!と絶賛される方もおられます。
今年は製品表示を良く見て、おいしくいただきたいとおもいます。
浪速パーチ 2001.12.16  鯨の塩蔵本皮の材料にツチ鯨も使われていたとは知りませんでした。
まあ、油を抜いてあるから問題ないのでしょうが。
コロと聞いて懐かしいですね。子供の頃、近所の駄菓子屋さんで小遣いでよく関東煮(かんとうだき=おでん)のコロを食べました。
人気があったので売り切れて無いこともありました。学校帰りに走って買いにいきました。



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