イサダ食いのサンマ

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jeje 2004.08.24 最近こんな記事を見たのですが
 http://www.sankei.co.jp/edit/kenban/miyagi/html/kiji02.html

>気仙沼魚市場に二十三日、サンマ大型船が初入港した。十七隻、
>千十七トンの大量サンマが水揚げを待ったが、イサダをエサに
>食べていたサンマが多い上、大漁だったことから加工業者らが
>買い控え、十隻が五百五十トンを水揚げしたところで売り止め、
>翌日回しとなる異例の展開となった。


この「イサダをエサに食べていたサンマが多い上」という部分なのですが、イサダを食べたサンマは価値が落ちるのでしょうか? わかるかた、教えてください。
琵琶湖オオナマズ 2004.08.24 秋刀魚ですが、獲れすぎて、24時間休漁になってますねえ。
大型船の漁が始まったばかりなのに、、、、こんなの珍しいことです。

> この「イサダをエサに食べていたサンマが多い上」という部分なのですが、
> イサダを食べたサンマは価値が落ちるのでしょうか?

小売りの立場で見た場合、ハラに餌を持ってるとハラが割れやすい。
鮮度落ちが早い。そんなふうに思いますが。
おおはし@焼津 2004.08.25 オキアミをたっぷり食べてるサンマや、ウロコを食べてるサンマは、ワタを食べた時にあまり美味くないと思います。(価格に影響しているかは知りませんが・・・)
唐揚げ用に小魚釣る時も、アミコマセを使わず空針で釣れば、釣果は落ちますが、ワタ取りなしでそのまま美味しくいただけます。
からすとんび@東京 2004.08.25 仕事の関係で、根室・花咲でサンマ棒受網漁船まわりをしてますと、基本的にはサンマの太り具合(=脂のノリ)は、『餌をどれだけ食べているか』を判断しています。
つまり、イサダ(=ツノナシオキアミ)がお尻からはみ出る位に食べていれば、餌環境は十分で脂はのっている、ということです。
脂がのれば、下あごや尾鰭の付け根が黄色くなってきます。
これも脂のノリの判断基準になります。

昨日24日には早くも銚子でサンマの水揚げがあり、三陸ではキロ二桁/円の相場です。
これではサンマ漁が始まったばかりなのに終盤の気配です。
今年もサンマ業界は厳しい環境が続きそうな気配がします。
サンマだけ、みなさんしばらく1日3尾づつ食べましょうとも言えませんしね。
東沖B−1 2004.08.26 以前、石巻のほうで秋刀魚の刺身のメーカーに所属していた頃の話ですが、よく原魚を買い付けしていた担当者は、「アミ食いの秋刀魚は虫が多い」と言っておりました。
事実、アミ食いの魚は刺身にすると、腹からアニサキスが大量に検出されてました。
生屋さん達も同じような事を言っておりました。
それと、アミ食いの魚は鮮度持ちが悪いと言われておりました。
養殖魚に置き換えれば分かりやすいと思いますが、出荷前に餌止めしますよね。
その理屈と一緒で、あがる前に腹いっぱい食った魚は身持ちしないと言う事だと思います。これらの要因で、アミ食いの魚は相場の下落につながってくるものと思われます。
ちょっとからすとんびさんとは違う見解ですが、間違ってたらごめんなさい。
からすとんび 2004.08.26 > 養殖魚に置き換えれば分かりやすいと思いますが、出荷前に餌止めします
> よね。その理屈と一緒であがる前に腹いっぱい食った魚は身持ちしないと
> 言う事だと思います。これらの要因でアミ食いの魚は相場の下落につながって
> くるものと思われます。

そうですね。餌を持ってると基本的に鮮度落ちは早いですよね。
あと、お腹も破けやすいし、訂正です。
琵琶湖オオナマズ 2004.08.29 > よく原魚を買い付けしていた担当者は「アミ食いの秋刀魚は虫が多い」
> と言っておりました。事実、アミ食いの魚は刺身にすると腹からアニサキスが
> 大量に検出されてました。

これは、オキアミが海水中で孵化したアニサキスの幼生を食べるからで、そのオキアミを食べた秋刀魚の腹に、アニサキスが寄生するのですね。
秋刀魚がオキアミをいっぱい食べると脂が乗って美味しくなるけど、寄生虫も多いよということでしょう。

昨年、アミをいっぱいハラに持った秋刀魚を刺身にしましたが、この時はアニサキスはいなかったですけどね。
 http://www.ne.jp/asahi/to/fishroom/sanmanohara.htm
さんまや 2004.08.30 色々とさんまの話が出ているのに、さんまやが参加しないのはあかんと思っているところに新さんま(塩さんま)の入荷があり、開き始めました。
やはり、まだ早いですね。まだ十分餌が消化していない「餌ぐい」のさんまが多いです。
開き屋から言わしてもらえれば、「餌ぐい」のさんまは、ハラワタを取ると身が薄くなり、鮮度落ち状となるものも多くあります。
また、同じ重さとしたら「餌ぐい」は餌の分だけ、型が小さくなります。

 通常、開きに使用する「本冷さんま」はまだ製造していません。
暫くは、塩さんまの加工です。
「餌ぐい」さんまが少なくなる9月中旬ごろより、産地では「本冷さんま」の製造が始まり、我々も、本格的に新さんまの加工に入ります。
まだ暫くは、ヒネさんまと塩さんま(新)の併用加工です。

ハラワタについては、私は好きではありませんが、生さんま(解凍さんまです)の煮物は、ハラワタを取らずに頭と尻尾だけを取り、少し切り身を入れさしみ醤油だけで炊きます。うまいですよ。工場の昼食のおかずです。毎日食べてます。

「餌ぐい」さんまが減り、本冷さんまが始まったらまた報告しますので、美味しいさんまを食べてください。
からすとんび@東京 2004.08.30 > やはり、まだ早いですね。まだ十分餌が消化して
> いない「餌ぐい」のさんまが多いです。

釧路水産試験場でサンマの研究をしてた人に、この件できいてみました。
サンマの餌としては、ツノナシオキアミ(イサダ)やカラヌス・ブルムクルス(寒流性の大型のコペポーダ)が重要だそうです。
ツノナシオキアミはタンパク質が多くて脂質が少なく、カラヌス・ブルムクルスは大きな油球を持っており、サンマの「脂のノリ=太り具合」には最も重要な餌だそうです。
餌を食べてから、体に脂がつくのに1週間かかるそうです。
また、餌を食べてから消化して排泄されるまで、一般的に12時間程度かかるようです。
肛門から餌がはみでる位に餌を食べていたのは8月上〜中旬で、下旬になると徐々に減ってきたようです。

> 開き屋から言わしてもらえれば、「餌ぐい」のさんまは、ハラワタを取ると
> 身が薄くなり、鮮度落ち状となるものも多くあります。
> また、同じ重さとしたら「餌ぐい」は餌の分だけ、型が小さくなります。

加工屋さんとしては重量の目減りも、重要ですものね。
「餌喰い」のサンマは、冷凍すると腹がやぶけたり、また脂ののり過ぎているものは冷凍すると脂やけするようです。多少、脂が落ちた時の方が冷凍には向くようです。

> 「餌ぐい」さんまが少なくなる9月中旬ごろより産地では「本冷さんま」の製造が
> 始まり、我々も、本格的に新さんまの加工に入ります。

冷凍在庫をつくるのはやはり、この時期からでしょうね。
琵琶湖オオナマズ 2004.08.30 > サンマの餌としては、ツノナシオキアミ(イサダ)やカラヌス・ブルムクルス
> (寒流性の大型のコペポーダ)が重要だそうです。

カラヌス・ブルムクルスは、何色なんでしょうか。

 http://www.ne.jp/asahi/to/fishroom/sanmanohara.htm
 ↑
画像は昨年のサンマなんですが、この色はツノナシオキアミ(イサダ)だと思っているのですが、正しいのでしょうか。
からすとんび@東京 2004.08.31 カラヌスは”かいあし類(コペポーダ=ケンミジンコ)”の代表的なものです。
保育社の日本海洋動物プランクトン図鑑によれば
カラヌス・プルムクルス(Calanus plumchrus)は、体長は雌4.8〜6.3mm、
雄4.4〜4.8mmで、体はやや赤色をおび、特に第1触覚と叉肢は鮮紅色となっています。
サケやニシンの餌としても重要なようです。
属名は文献により Neocalanus と Calanus がまちまちです。
下の写真はプルムクルスではありませんが、近種のクリスタートゥスです(@)。

@ http://www.ac.wwu.edu/~npgproce/neocalanus.html
A http://plo.fish.hokudai.ac.jp/study/kobari.html

十数年前のサンマ検討会の会議資料によると、北上中の混合水域(常磐〜三陸沖合)で生活している時の餌は、カラヌス等のコペポーダやオキアミの幼体、エヴドゥネ等の海洋性ミジンコなどのようです。
道東〜千島列島沖の冷水域に入ると餌環境が変わるようで、プルムクルスが餌として大半を占め(7月中〜8月上旬。下旬以降に割合減少)、ほかにパラテミスト等のヨコエビや上記クリスタートゥス等を食べるようです。

> http://www.ne.jp/asahi/to/fishroom/sanmanohara.htm
>  ↑
> 画像は昨年のサンマなんですが、この色はツノナシオキアミ(イサダ)だと思っ
> ているのですが、正しいのでしょうか。

道東沖で漁獲したものは、卵巣が発達したものはまだ少ないと思います。
赤いのは餌の消化したものですよね。また、確認してみます。

(サンマの脂のノリについて)
 http://www.fishexp.pref.hokkaido.jp/shikenima/401to450/437/437.htm
じんべえ@三重 2004.08.31 > カラヌス・ブルムクルスは、何色なんでしょうか。
仕事でスケトウダラの胃内容物を調べていたんですが、食べていたのはほとんどツノナシオキアミと大型のカラヌス類(Neocalanus cristatus, N. plumchrus, N.flemingeri)でした。
カラヌス類は体液がオレンジ色していまして、こいつらが詰まった胃はオレンジ色に染まっています。でも、ホルマリンで固定されていたので、生のときはもっと赤っぽいかもしれません。
でも、一番赤っぽくなるのは、ニホンウミノミというヨコエビの仲間をを食べていた胃です。このニホンウミノミは大きな目が真っ赤で、これが詰まった胃も真っ赤になっていました。

エビやカニで判るように、甲殻類は死んじゃうと赤くなるので、こいつらをたらふく食べていると胃も赤くなるかも知れませんね。



Copyright(C) Aug.29.2004 by Toshio Yabe. Allrights reserved