フグの毒
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琵琶湖オオナマズ | 2003.07.08 | > くりさん@水産雑学コラムです。 > 7〜10月は、食中毒の多い季節だそうですので、課題に取り上げてみました。 > ご覧下さり、ご意見ご感想などをいただければ、幸いです。 読ませていただきました。一つだけ、質問させていただきます。 >フグ毒の研究は、我が国で活発に進められ、1889(明治22)年に、高橋 >順太郎・猪子吉人さん達は、この毒は腐敗産物ではなく、フグが本来持ってい >る毒であることを明らかにしました。 この部分なんですが、栗原さんもご存じだと思いますが、「養殖トラフグには毒が無い」 と言われています。 http://www.fishml.com/uonokenkyu/hugudoku.htm ところが、最近のことですが、あるところの掲示板で、「もとから毒を持っているトラフグもいるのだ」という話が出ていました。 これって、どうなのでしょうね。 養殖トラフグの卵巣を食べたことがあるんで、気になってるんです。 (私は生きてますんで、その卵巣は無毒だったんですけどね。) |
くりさん | 2003.07.08 | 明治時代の高橋さん達が研究なさった頃は、全く養殖のフグは存在しておりません。 従って、「本来持っている」ということになります。 養殖のトラフグが、何故毒を持っていないのかの理由については、小生は存じません。 しかるべき方のレスをお願いしたいと思います。 |
琵琶湖オオナマズ | 2003.07.10 | > 明治時代の高橋さん達が研究なさった頃は、全く養殖のフグは存在しておりません。 > 従って、「本来持っている」ということになります。 あ、そうですね。無毒のトラフグは、存在してなかったんですね。 > しかるべき方のレスをお願いしたいと思います。 この問題では、レスがでてきませんね。難しいもんだいなんでしょうね。 市場などの流通段階では、「養殖フグは無毒」というのが定説になってるように思います。そのなかで、「養殖でも、もとから毒を持ってるのがいる」としたら、これは大変なことだと思うんですね。 そのあたりの研究は、どなたかされてないのでしょうか。 |
AMITAKE | 2003.07.10 | 魚は門外漢ですが、アウトドアの立場で聞いたことがあります。 フグは本来無毒ですが、毒素を持つプランクトンを貝が食べ、この貝をフグが食べて毒をもつようになった。 養殖のフグはこの貝を食べないから毒をもたない。 通常は有毒なものを食べると解毒するか排泄してしまうのに、フグやこの貝は蓄積するから有毒になってしまうのでしょう。 |
近藤 | 2003.07.10 | これは「養殖のフグがなぜ毒を持たないか」というよりも、「天然のフグが何故毒をもつのか」という方がいいと思います。 フグは体内で毒を作るわけではないというのが、今の定説です。 したがって、食べ物などから毒(テトラドトキシン)摂取します。 この毒は、細菌やプランクトンが作っていると言われているのですが、天然の魚が何を食べて毒化するかはよくわかっていません。 また、摂取した毒を特定の組織まで運搬し、蓄積する機構についても、詳細はよくわかっていません。 > そのなかで、「養殖でも、もとから毒を持ってるのがいる」としたら、 > これは大変なことだと思うんですね。 上記のようにフグ毒は外因性のものなので、養殖フグであっても、飼育環境中に毒があれば毒化します。 実際、養殖フグの餌に毒を混ぜると毒の蓄積がみられます。 ただ、上でも書いたように、何を食べてどうなると毒化するか、ということはよくわかっていないので、どこのいつの養殖フグが毒をもつかということは解らないと思います。 専門の方、間違いなどありましたら、訂正お願いします。 |
海童 | 2003.07.10 | >市場などの流通段階では、「養殖フグは無毒」というのが定説になってるように >思います。そのなかで、「養殖でも、もとから毒を持ってるのがいる」としたら、 >これは大変なことだと思うんですね。 >そのあたりの研究は、どなたかされてないのでしょうか。 山口県衛生研究所で、1981年に養殖トラフグにも毒があると発表されています。 |
琵琶湖オオナマズ | 2003.07.10 | 20年以上前に、そういう発表がされてるんですね。 にもかかわらず、ほとんどの人(fishml内外にかかわらず)が、そういう認識になっていないのは何故でしょうね。 それから、定説となっている「ふぐ毒は外因性」というのとの関係はどうなのでしょうか。 |
ラオスのメコン川 | 2003.07.10 | 先日まで首都ヴィエンチャンに行っていた、ラオスのメコン川です。 ラオスに来たばかりの時は「この程度で首都とは・・・」と思ったものですが、今では大都会に感じます。 さて、フグ毒について私の知っているところを書いてみます。 とはいえ、大学の卒論でかじった程度で、あれから時間も経っていますから、最新のことなど分かりませんので、訂正などありましたらよろしくお願いします。 まず、フグは卵のとき、及び生まれたてのときには毒がありません。 それが、毒をもつ細菌やプランクトン(名前忘れました)を食べることで、体内に毒が蓄積されると言うのが定説です。このため、フグ毒は外因性といわれます。 ではなぜ同じ海域に住んでいる上、同じような細菌やプランクトンを食べていながら、フグ以外の普通の魚は毒化しないのでしょうか? それは、フグが毒を溜めることが出来るからです。 例えばフグに注射で無理やり毒を打っても、ある一定の濃度までなら死にません。 でもフグ以外の魚にはこの機能が無く、毒をもつプランクトンを食べても体内に蓄積せずに、排出してしまいます。 例えるのなら、画鋲はそのままなら痛いけれど、フグには画鋲の針にキャップをする機能があるといったらよいでしょうか。だから体内に留めておけると言う訳です。 ちなみに、この注射で無理やり毒を打つ実験の結果、個体差は抜きにして、同じフグ科でも、毒のないハリセンボンなどは、多少は体内に留めておくことが出来ても、あまり多くないです。猛毒といわれるトラフグやクサフグはかなりの量を打っても死にません。なるほどな〜 という結果でした。 では、養殖のフグには毒があるのか? という話になると、「無いとされている」ということになってしまいます。 この、「無いとされている」という曖昧な表現は、先に挙げた毒を体内に溜め込むフグの機能に由来します。 つまり、毒の無い人工飼料ばかり食べていれば、体内に毒が溜まらない。溜まる要因が無いということです。 とはいえ、天然に近い養殖の仕方(この表現の仕方ちょっと違いますね。沖での養殖とか、長期間かけての養殖とか、とにかく天然飼料も食べれる条件が多い養殖法という意味です。毒の話なのでニュアンスだけ伝わっていただければ幸いです)では、自然界よりも少ない生簀内のプランクトンを、個体差で毒を溜め込みやすいフグが食べたという条件のときに、稀に自然界のフグ同様毒を持つのです。 そのため、「養殖フグには毒は無い」とは言えないのです。 長くなった割に分かりにくいかも知れず、申し訳ありませんでした。 只今ラオス在住で、資料もなく、私の記憶だけなので間違いがあるかもしれません。 この世界もまだまだ解明されていないことだらけで、「個体差」「地域差」「性差」「季節差」「例外に」「稀に」・・・ などという言葉が多く使われます。 だからこそ面白い話が転がっていて、私は好きです。 |
いつも養殖(容色)の虜の海童 | 2003.07.10 | >20年以上前に、そういう発表がされてるんですね。 >にもかかわらず、ほとんどの人(fishml内外にかかわらず)が、そういう認識に >なっていないのは何故でしょうね。 なぜでしょう・・・? >定説となっている「ふぐ毒は外因性」というのとの関係はどうなのでしょうか。 フグ毒は海水中に普通にいるビブリオやシュードモナスといった細菌が作り(個人的には?)、食物連鎖によってフグだけでなく、ヒョウモンダコ、ボウシュウボラ、トゲモミジガイ、スベスベマンジュウガニ、カブトガニなどにも蓄積するとされていますので、AMITAKEさんや近藤さんの投稿のとおり外因性です。 ですので、養殖フグでも地域、時期、養殖形態によって毒性には大きく差があるのではないでしょうか。この点については、ラオスのメコン川さんが[fish 6191]で触れておられますね。 再度、養殖フグの毒性について、各地で周年に渡って毒性について調べ、毒性に大きな違いがある場所や時期、養殖形態があれば面白いですね。 一方、天然フグでもあまり毒性のないものもいるので、個体差が大きいようです。 陸上で人工種苗を人工海水と人工飼料で育てれば無毒でしょう。 |
塩崎@東北大 | 2003.07.14 | 私の手元にこんな本がありました。 ふぐの毒化に興味のある方は読んでみると面白いのではないでしょうか。 参考までに。 フグはなぜ毒をもつのか〜海洋生物の不思議〜 野口玉雄 NHKBooks(798) 日本放送出版協会 |
琵琶湖オオナマズ | 2003.07.18 | カメレスですが・・・・・・ふぐ毒についてレスを下さったみなさん、ありがとうございました。 結論的には、「養殖フグに毒はない」とは言い切れないということですね。 これは、販売現場からすればやっかいなことですが、やむを得ないですね。 > 塩崎@東北大です > フグはなぜ毒をもつのか〜海洋生物の不思議〜 > 野口玉雄 NHKBooks(798) 日本放送出版協会 塩崎さん、本の情報、有り難うございました。 amazonで検索したらありましたので、注文しました。 読んでみて、疑問などが出てきたら、また投稿しますので、よろしくお願い致します。 |
琵琶湖オオナマズ | 2003.08.01 | 収束したスレッドを、引っ張り出します。(^_^;) > 塩崎@東北大です > フグはなぜ毒をもつのか〜海洋生物の不思議〜 > 野口玉雄 NHKBooks(798) 日本放送出版協会 読みました。 ふぐ毒が、フグ以外の多くの生物に含まれているのは驚異ですね。 海産物だけでなく、イモリにまで含まれているのはびっくりしました。 (日本のイモリではありません。) また、一緒に入れていた魚に、フグの体表から毒が移るというのも、ちょっと怖いなーとおもいましたね。 「テトロドトキシン」という、そのまんまの名前で、鎮痛薬として売られていたというのもびっくりしましたね。 この本ですが、ふぐ毒だけでなく、貝毒についても詳しく書いてありますので、業界人にはおすすめですよ。 |
髭野 | 2003.08.01 | 養殖河豚が毒を持ってないという話が一般的に広がったのは、昭和56年頃にNHKのウルトラアイで紹介されてからです。 当番組が東大舞阪研の話を取り上げて、その後、各民放のワイドショー及び各週刊誌が一斉に報じたことにより、一般大衆の知るところとなりました。 河豚の場合は、両性の河豚(通称:隠しキモ)や毒の強さ(600倍)が個体によって違うといわれており、完全隔離陸上養殖でないかぎり、養殖もやはり危ないです。 覚え間違いかもしれませんが、両性河豚や毒の個体差については、大阪の料亭の親父が研究して、それで医学博士をとったと聞いております。 |
海童 | 2003.08.02 | >ふぐ毒が、フグ以外の多くの生物に含まれているのは驚異ですね。 >海産物だけでなく、イモリにまで含まれているのはびっくりしました。 >(日本のイモリではありません。) カリフォルニアイモリと同様にニホンイモリ(アカハライモリ)もフグ毒(テトロドトキシン)を持つことが明らかにされています。 ニホンイモリの毒性も個体差が大きいようですが、成長にともなって毒性は高くなるようです。個体にもよりますが、ニホンイモリの毒性はカリフォルニアイモリよりも高く、フグの肝臓と同じくらい強いようです。 |
琵琶湖オオナマズ | 2003.08.02 | > カリフォルニアイモリと同様にニホンイモリ(アカハライモリ) > もフグ毒(テトロドトキシン)を持つことが明らかにされています。 えーー、そうなんですか。 あの本が発行されて以後の研究結果ですね。 疑問が2点あります。 僕が良く行く山(比良山)に、八雲ヶ原という湿原があります。 この湿原にアカハラがいるのですが、山の中の隔離されたような環境で棲息していても、毒を持つのでしょうか。 もう一点ですが、昔から「イモリの黒焼き」と言えば、強精剤として民間には親しまれてきた食べ物(民間薬?)だと思うのですが、これもやはり、TTXが含まれていると考えられるのでしょうか。 |
ラオスのメコン川 | 2003.08.03 | > カリフォルニアイモリと同様にニホンイモリ(アカハライモリ)も > フグ毒(テトロドトキシン)を持つことが明らかにされています。 これについてちょっと面白い話を。 実はアカハライモリの毒は、標高が高くなればなるほど毒が強いのです。 つまり山の麓で捕れた物よりも、山頂付近で捕れた物の方が毒が強いのです。 もちろんこのときの調査で、偶然そのような結果が出ただけかも知れませんが、なぜかぴったりそんなデータが出たのです。 学術的な根拠は知りません。ただの偶然かも知れません。 でもちょっと面白い話だと思いませんか? ちなみにイモリの毒化機構については覚えていません。 |
琵琶湖オオナマズ | 2003.08.03 | > 実はアカハライモリの毒は、標高が高くなればなるほど毒が強いのです。 この話、ちょっと気になったので、「ニホンイモリ TTX」のキーワードで、Googleで検索してみました。ありましたねーー。 http://www1.odn.ne.jp/setsuna/za_meat.html 「肉ざざむし」というページなんですが、下の方にイモリの説明がありましたよ。 このページの解説によりますと、「関東以西の平野部に棲息する個体なら、毒があってもまず安全レベル」らしいです。 それはそれで納得なんですが、まあ、このページ、ゲテモン食いの人におすすめのぺージですね。 「わしゃ、ゲテモン食いや」と自信をもっておられるかた、ぜひ、ご覧下さい。 私? んーー、もういいですわ。 |
海童 | 2003.08.04 | >あの本が発行されて以後の研究結果ですね。 ニホンイモリにもフグ毒があるとの報告は、ずいぶん前の1966年に毒では有名なToxiconという学術雑誌に発表されています。 >この湿原にアカハラがいるのですが、山の中の隔離されたような環境で棲息して >いても、毒を持つのでしょうか。 >もう一点ですが、昔から「イモリの黒焼き」と言えば、強精剤として民間には親 >しまれてきた食べ物(民間薬?)だと思うのですが、これもやはり、TTXが含 >まれていると考えられるのでしょうか。 いずれも毒を含む可能性はありますね。 >実はアカハライモリの毒は、標高が高くなればなるほど毒が強いのです。 >つまり山の麓で捕れた物よりも、山頂付近で捕れた物の方が毒が強いのです。 標高でイモリの毒性が異なることをご存知ということは・・・、 もしかして、ラオスのメコン川さんは三陸におられたことがあるのでしょうか? >http://www1.odn.ne.jp/setsuna/za_meat.html >「肉ざざむし」というページなんですが、下の方にイモリの説明がありましたよ。 ご紹介いただいたHPの作者も三陸にいたことがある方かな・・・。 メコン川さんはその方をご存知ではないですか。 |
琵琶湖オオナマズ | 2003.08.06 | > ニホンイモリにもフグ毒があるとの報告はずいぶん前の1966年に毒では有名な > Toxiconという学術雑誌に発表されています。 そうなんですか。 あの本を読むと、日本のイモリは関係ないような気がしますよ。ちょっと危険ですね。 > いずれも毒を含む可能性はありますね。 そうですよね。 イモリの黒焼きは昔からあったようだし、これを食べて死んだ人もおられるかもしれませんね。 |