鯉料理のはなし

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【山形】さとう 2003.07.11 鯉は完全養殖ですが、活鯉は産地や鯉の質によってほぼ値段が決まっており、現在の東日本はそれぞれが底値だと言われています。
値を叩けば、養殖業者は採算ベースを割り、加工屋は仕入れ値に近づくだけで「来年は高くなるだろう」というのがありません。それが鯉の流通です。
それでも苦しくなって値を下げて販売する業者は次々に出てきては消えていきます。
新規参入がほとんど無い状態ですから業者数が減り、業界全体が痩せてきています。
研究者の方々は鯉が安定して生産できるようになり、業界が発展する事を望まれて努力されてきました。それを裏切っている様な気がします。同業者としてくやしい思いです。
そのくみ 2003.07.11 鯉の相場は「養殖」に載っていますね。
私は鯉は一般的な魚に思えないので不思議に思っています。
魚屋さんでは見ないですね。もっとポピュラーに家庭でも料理するようになれば、価格もついてくるのでしょうか?
30年ほど前のおかず料理本には鯉の料理法が載っていました。
昔はおかずとして家庭でも食べていたのでしょうね。
【山形】さとう 2003.07.12 > もっとポピュラーに家庭でも料理するようになれば、価格もついてくるのでしょうか?
そうだと思います。ただ、山形の内陸地方ではほとんどのスーパーで置いていますよ。
うちの卸先は鰻の蒲焼が並ばない日があっても鯉の甘煮が並ばない日はありませんね。ピンとこないでしょ?(´▽`)
メジャーな食材になるにはナニをおいても大都市圏で消費されるようにならないと厳しいと思います。何かと課題はありますが・・・

> 30年ほど前のおかず料理本には鯉の料理法が載っていました。
> 昔はおかずとして家庭でも食べていたのでしょうね。

もし、よろしければこの本のタイトルを教えていただけないでしょうか?
現在でも発行されているかもしれませんし、改訂版が出ているかもしれません。(期待を
込めて)30年前と言えば、私はまだ1歳なもんで。。。
そのくみ 2003.07.13 > うちの卸先は鰻の蒲焼が並ばない日があっても鯉の甘煮が並ばない日は
> ありませんね。ピンとこないでしょ?(´▽`)

確かにピンとこないです。私も鯉料理は洗いの記憶しかないので、鯉の甘煮を一度食べてみなくちゃいけませんねー。
前から知りたかったのですが、鯉ってウロコも食べるんですか?

> もし、よろしければこの本のタイトルを教えていただけないでしょうか?
この本は「別冊・主婦と生活『毎日のおかず百科事典』昭和56年3月第12刷発行。
22年前のものでした。だいぶサバ読んでましたが、第1刷発行が50年だったから・・・。
結婚するとき母が買ってくれたもので、今でも時々参考にしています。
鯉料理は「鯉こく」、「鯉の甘酢あんかけ」が紹介されています。
その他にもどじょう、ふな、はも料理もあります。
なぜかメバルがマイナーな魚に分類されていて、そのことに今日気づきました。
ぼうずコンニャク 2003.07.13 今、コイのページを改訂中で、ついおふたりのやり取りに横やり。
さとうさんに質問、商品を購入しようと思っています。
(とくに『鯉ぶかし』って非常にうまそう)
いろんな地域からコイの製品を少しずつ購入、数は少しだけですが?
そこで、さとうさんのところでドイツコイ(カガミゴイ?)を養殖していませんか?
今、近所で探していて、いざ探すとなかなかない。
あったらそれも含めて購入したい。
ちなみに、コイの甘煮は地方に行くとついつい買ってしまうもの。
甘いものは嫌いなのですが、なぜか甘露煮とか佃煮は好き。
(かの山本周五郎の『青べか日記』などにもあったように)
この淡水魚の加工品に関しては、ウナギだけが突出していて、東京ではコイ、フナの影が薄い。調べると面白そう。また夏に、コイというのもイイカモ!
【山形】さとう 2003.07.14 > 前から知りたかったのですが、鯉ってウロコも食べるんですか?
山形ではほとんどのお店で付けたまま調理し、食べます。バリバリと食べますよ。
全国的に見ると、ウロコを挽いてから調理するところも多いようなので、一概に良いのか悪いのかは言えませんが。

> この本は「別冊・主婦と生活『毎日のおかず百科事典』昭和56年3月第12刷発行。
ありがとうございます。探してみます。
鯉は食材としては古いものなのですが、ご家庭での調理方法は数が少なく、どういったものが受け入れられ、どうすればもっと普及できるのかのきっかけになればと思っています。時代によって、どの様に変化したのかも知りたいですし。
【山形】さとう 2003.07.14 > さとうさんに質問、商品を購入しようと思っています。
> (とくに『鯉ぶかし』って非常にうまそう)

ありがとうございます!!
フォームでも直メールでもどちらでも結構ですが、フォームの場合通信欄に「ぼうずコンニャク」と書いて下さい。でないとオマケできませんので(笑

> そこで、さとうさんのところでドイツコイ(カガミゴイ?)を養殖していませんか?
すいません。ドイツゴイは扱ってないです。容姿のウケが悪く、私の地元では「鯉の甘煮」にウロコが着いていないと敬遠されるので・・・

> この淡水魚の加工品に関してはウナギだけが突出していて、
> 東京ではコイ、フナの影が薄い。調べると面白そう。

東京では、ウナギの次はドジョウの柳川鍋になるのでしょうか?
昔は利根川産や印旛沼産の魚は、比較的ポピュラーだったようですね。
都内の物産展では、一週間で2000食ほど販売するので、潜在消費者はいるとは思います。
gaku@信州 2003.07.14 長野県でも、鯉はよく食べます。
ボクは、伊那谷のことしか知りませんが、こちらでもウロコをつけたまま調理しています。
甘露煮、洗い、鯉こく …が、基本的な食べ方ですが、やっぱり鯉を輪切りにした甘露煮が最高に美味しいですね。
このときも、ウロコが付いていますが、最近のお客さんは皮を食べずに、けっこう残しています。ボクは、骨以外み〜〜んな食べていますが。
そのうちに■丸原鯉屋■さんの鯉とこちらの鯉を食べくらべてみようと思っています。
ほんと、そのうちに注文させていただきますので、そのときはよろしくお願いしますね。
きよこ 2003.07.14 手元の本を開いたら、鯉の料理が出ています。
「あらい」「あめ煮」「こいこく」の3種類。
あらいにするときは、生きているものを用いる、と書いてありますが、このあたりで、活きた鯉を売っているのを見たことがありません。
そういえば、中華街のマーケットでは生きた鯉やなまずを売っていたなあ。
つりをする人もいませんので、自分で料理することはないと思いますが、本に書いてある「苦玉をつぶさないように下ごしらえをする」ってむずかしいのでしょうか?
「気軽な魚料理 魚を100%おいしく食べきる本」
 魚河岸の会 創元社 1993年の本でした。
くりさん 2003.07.14 > 本に書いてある「苦玉をつぶさないように下ごしらえをする」って
> むずかしいのでしょうか?

山形の佐藤さんが、お上手だと思いますが。
コイの頭の付け根から2〜3枚目の鱗の所に背の方から包丁を入れます。
体の断面で見て、中心の骨迄、切り込むと、内蔵になります。そこで、頭と体を持って下方に折るようにすると、内蔵の中に青い球状のものが見えます。
それが、胆嚢ですので、潰さないように指で挟んで取り出します。
やってみないと分からないでしょうが、私は随分潰しました。
くりさん 2003.07.14 > あらいにするときは、生きているものを用いる、と書いてありますが、
> このあたりで、活きた鯉を売っているのを見たことがありません。

昭和40年代の半ば頃だったか、佐久で、コイの三枚下ろしを「パーシャルフリージング」にして、東京に持ってきて試食会をやったことがあったという記憶があります。
今なら、注文に応じて、三枚におろしたコイを、クール宅急便で配送できるのではないかと思いますが、如何でしょうか。
ps:にがだまの除去方法、よろしくご指導下さい。
ぼうずコンニャク 2003.07.14 我が『市場魚貝類図鑑』のコイの項目は1ページで独立させたばかり。
今、できるだけたくさんの情報を集め中です。なにかありましたらコメントください。
 http://WWW.SYOKU-MY.COM/bouz/zukan/koimoku/koi.html

また、春には八王子の釣り名人たちが、とあるダム湖で盛んにコイを釣り上げています。
この清流のコイを前にして、『コイは寒のものだからな』という、料理人が多いのに驚きます。
天然ものをとっていたときには、寒の時期はコイ(とれなかった)がなかったはずで、本来のコイの旬は産卵の後期と産卵後あるていど避けたときなら何時でもうまいのでは?と考えています。
すなわち、夏は産卵でうしなったものを、どん欲な食欲で快復した時期?きっと脂も旨味もとりもどしているはずと思えます。
土用ウナギ、土用シジミがあるなら、土用のコイといきましょうか?
また、夏ばてした胃には苦ダマを食べるとイイとかないかな〜?

> すいません。ドイツゴイは扱ってないです。容姿のウケが悪く、私の地元では
> 「鯉の甘煮」にウロコが着いていないと敬遠されるので・・・

これは残念、がんばって他を探します。
意外にドイツコイを扱っているところ少ないようです
また、上杉鷹山のころから(もっと前でしょうか?)、山形はコイの食文化を育んで来たのでしょうね?
このような土地のもの『土産土法』でつくるものは、食べると言うことが『大人の教養』とでも言えるかも知れません。
> それが、胆嚢ですので、潰さないように指で挟んで取り出します。
> やってみないと分からないでしょうが、私は随分潰しました。

で、潰してしまうと、もう食べられないほど苦くなっちゃうのですか?
そのとき、くりさんはどうなさいました?興味津々です。
何とか手に入れて、「鯉」にも挑戦したくなりました。
くりさん 2003.07.14 > 潰してしまうと、もう食べられないほど苦くなっちゃうのですか?
> そのとき、くりさんはどうなさいました?

つぶれた時には、内蔵に胆嚢の汁、胆汁が染み渡りますので、美味しい内蔵は苦くなり、食べるのは無理です。捨てました。
家内は、内蔵はいいからと申しましたので、はじめから内蔵を除去したこともありました。
本当は、三枚におろした身で「洗い」をつくり、内蔵とあらで「鯉こく」にするのが常道ですね。内蔵を捨てた後の鯉を筒切りし、それで鯉こくをつくることもありました。
佐藤さんに、叱られそうですね。
そのくみ 2003.07.14 > 全国的に見るとウロコを挽いてから調理するところも多いようなので一概に良い
> のか悪いのかは言えませんが。

鯉のウロコは伊那谷でもつけたまま食べるようですね。
しつこいようですが、鯉のウロコはかなり大きいと思うのですが、どうしてつけたまま料理するのでしょう?柔らかいから気にならないとか栄養があるとか、何か秘密があるのですか?習慣的なものですか?
海の魚を煮たときに大きいウロコが残っていると口当たりが悪いでしょ?
やはり「鯉ぶかし」と「鯉の甘煮」を食べてみなくちゃいけないですね。

> ありがとうございます。探してみます。鯉は食材としては古いものなのですが、
> ご家庭での調理方法は数が少なく、どういったものが受け入れられ、どうすれば
> もっと普及できるのかのきっかけになればと思っています。時代によってどの様
> に変化したのかも知りたいですし

鯉料理の本はきよこさんも紹介していたし、探せばもっとありそうですね。
でも生きた鯉を扱うのは私にはできないだろうな。
生きたドジョウはバケツに入れて魚屋に置いてあるけど、生きた鯉は見ないです。
鯉の普及には、魚屋さんが鯉の洗いを作って店頭に並べるというのはどうでしょう?
鯉はタウリンが多くて、ビタミンBも含むそうで、疲れやすい夏にいいですね。
抗酸化作用もあるので細胞の老化を防ぐから、私もせっせと食べておいたほうが良さそ
う。東京で物産展はやらないんですか?
琵琶湖オオナマズ 2003.07.14 > また、上杉鷹山のころから(もっと前でしょうか?)、山形はコイの食文化を育んで
> 来たのでしょうね?

上杉鷹山が奨励したんですね。
若い頃、ちょっとワケアリで、お正月に米沢に行き、何軒かまわりました。
どこのお家でも、鯉の甘煮を作っていました。
あちらのお正月料理なんですよ。
お雑煮は、たしかカシワだったんでゲッソリでしたが、鯉は美味しかったのを覚えています。
【山形】さとう 2003.07.14 > 我が『市場魚貝類図鑑』のコイの項目は1ページで独立させたばかり。
> 今、できるだけたくさんの情報を集め中です。

視点が素晴らしいと思います。ご自身が経験した事がベースとなっておりますので親近感が持てます。

> 天然ものをとっていたときには寒の時期はコイ(とれなかった)がなかったはずで
> 本来のコイの旬は産卵の後期と産卵後あるていど避けたときなら何時でもうまいので
> は?

鯉の養殖の歴史は古いので、「寒鯉」とは元から養殖物を指していたのかもしれません。私は商売をしている者なので何時でも美味しいと言わざるを得ないというか(´▽`;)

> すなわち夏は産卵でうしなったものを、どん欲な食欲で快復した時期?
> きっと脂も旨味もとりもどしているはずと思えます。

採卵時期の雌は卵を持つので肉も薄くなり、調理しても鯉を食べているというより卵を食べている感じです。ただ、卵持ちは人気があるので喜ぶお客さんは多いです。私も採卵が終わり肉の厚みも卵も程々に戻った鯉がバランス的にも良いかと思います。

> 土用ウナギ、土用シジミがあるなら、土用のコイといきましょうか?
いっちゃってください!!

> また、夏ばてした胃には苦ダマを食べるとイイとかないかな〜?
循環器系にいいらしいです。
正確な数字を持っていないのではっきりとは言えませんが・・・

> また、上杉鷹山のころから(もっと前でしょうか?)、山形はコイの食文化を育んで
> 来たのでしょうね?

山形に限らず、日本各地に鯉食の文化はあったようです。
大阪の淀の鯉なども、昔はブランドだったようですね。
【山形】さとう 2003.07.14 > あらいにするときは、生きているものを用いる、と書いてありますが、
> このあたりで、活きた鯉を売っているのを見たことがありません。
「養殖」を読む限り、築地には入荷されているようですし、川魚専門の中卸さん?がいらっしゃるようですので探せばあると思いますよ。

> 今なら、注文に応じて、三枚におろしたコイを、クール宅急便で配送できるので
> はないかと思いますが、如何でしょうか。

どうでしょう?「あらい」は活きている状態から直ぐに、という既成概念があるもので考えた事もありませんでした。「あらい」は身が踊ってこそ価値があると思いますので、そこらへんがどうなるのか興味のあるところです。
ATPの流出やk値などを調べて、良い数字が出れば光明があるかもしれません。

> ps:にがだまの除去方法、よろしくご指導下さい。
特に申し上げることはございません(笑
うちでは頭を落とし、膜に切り込みを入れて指でクルッと取り出します。馴れないとお奨めできないので、くりさんがお書きになった方法が間違いないと思います。
【山形】さとう 2003.07.14 > しつこいようですが、鯉のウロコはかなり大きいと思うのですが、どうしてつけたま
> ま料理するのでしょう?柔らかいから気にならないとか栄養があるとか、何か秘密が
> あるのですか?習慣的なものですか?

鯉のウロコにあるゼラチンを調理に生かしたいというのがあります。
煮る事でゼラチンが溶け出し旨みの一つとなります。
活きの良さの証と言う意味もあります。ウロコは死んだ鯉だったり切り身にして鮮度が落ちたものは盛り上がらず、皮に張り付いてしまいます。鮮度の良い物はウロコが「踊る」とか「立つ」と言います。(言い方はうちだけかもしれませんが)
もう一つは煮上がった時の容姿です。ウロコを付けたままの物は重厚感が出ると言うか迫力が出る!!と思い込んでいます。

> 東京で物産展はやらないんですか?
やります。というかついこの間、日本橋のM越で6月17日から23日までやってました。
関口 2003.07.15 鯉のウロコは油で揚げて、塩をふると、酒肴によいという話を本で読んだことがあります。
揚げて食べられるくらいだから、大きいのでしょね。
ウロコはおろか、鯉について、私は料理をしたことがないので、とても勉強になります。
鯉って内臓も食べられるものなのですね・・・
大阪の淀川のすぐそば出身ながら、淀の鯉の話は初耳です。
私の母は、「こいこくは子供を産んだ人が食べる料理だ」と言っていたことを思い出しました。
くりさん 2003.07.15 > 「あらい」は身が踊ってこそ価値があると 思いますので、そこらへんがどうなるのか興味のあるところです。
その後の状況は知りませんが、普及しないところを見ると、「活魚輸送で、生きた鯉」という条件の方が親しみやすいのでしょうね。
くりさん 2003.07.15 > 大阪の淀川のすぐそば出身ながら、淀の鯉の話は初耳です。
> 私の母は、「こいこくは子供を産んだ人が食べる料理だ」
> と言っていたことを思い出しました。

淀から信州佐久へと、鯉が運ばれた話は、「水産雑学コラム49話:米魚両全策:平成13年10月号」に書いてありますので、ご覧下さい。
佐久地方では、現在はどうか分かりませんが、「お産のお見舞い」として、鯉を贈る風習がありました。
産婦が、「鯉こく」を食べて、栄養をとり、お乳の出を良くするためだと聞いております。
MANA・なかじま 2003.07.15 みなさんの鯉談議とても興味をもって読んでいます。
●「米魚両全策」前にも読んだのですが読みなおしました。コメ百俵よりおもしろい。文明批評ですね。
佐久鯉あるいは同様の養殖法もっともっと評価されてよいですね。
一度佐久にいって食べて見たいと思いつついまだ実現せず。だいぶ昔議論になった「養魚経」もたしか鯉養殖が国を豊にするとか、書いてなかったですかね。
●マルハラさとうさんの鯉料理とてもおイしそうです。コイへの偏見をなくすために、いちど「おいしい」コイをきちんと食べたいとおもいます。
●たしか、半年ぐらいまえにNHKで女性の料理研究家(高城順子さんだったようなきもする?)がコイのマル煮料理を食べる番組があり、長時間煮てウロコまでおいしく食べられるとびっくりして鯉料理を見なおしていたことを思いだしました。あれは、どこのコイだったか福島だったか長野だったか、山形だったか思い出せない。
残念、ビデオにとっておけば良かった。
●コイは、食文化史の上では、中世までは鯛より格が上で、江戸時代ぐらいから鯛を料理サカナの上位にもってきて逆転してしまったのだと本で読みました。
●確かに、あらためて古事類苑なんかを見ましたら、徒然草に、「鯉のあつもの食たる日は、髷そそげずとなん、膠にもつくる物なれば、ねばりたるものにこそ、鯉ばかりこそ、御前にてもきらるる物なれば、やんごとなき魚なれ」
とあり、鯉の食としての位置付けをよくあらわしてるので、引用しておきました。
●「マゲそそげず」とは、髪の毛がよれないで、ぴしんとはりがでてツヤツヤとなるいうことですね。要するに、本朝食鑑に、淀川産のサイコーの肉質のものは「桃花が露をふくんだようだようにカガヤいている」と表現しながら、薬効として「陰中の陽」、つまりナマス(さしみ)で食べればションベンのでがよくなり、腎臓系の病にも乳汁のでもたいへんよくなる、といっています。本草綱目では陰イ(男が弱くなるヤツ)の治療には、鯉の肝1片と雄鶏の肝1片と、スズメの卵で延ばして飲めば、抜群に効くのだ、とあります。
●ニカワにもしていたんですねえ。
●病の父に生き血を飲ませるために命をとして禁断の鯉を捕るはなしは、講談にも、中国の説話にも良くでてくる親孝行譚だが、精をつけるのならナマズやウナギや八つ目やスッポンでもよさそうだが、鯉でなければならぬ理由は、やはりそれだけの歴史に根づいたクライの高さが備わっているゆえなのだろう。最近では親の生き血を吸う子はいても飲ませてくれるなんてことは、……いやこれ以上ムダ口はよそう。
●「やんごとなき」鯉の復権肝に銘じておきましょう。
【山形】さとう 2003.07.15 > ●たしか、半年ぐらいまえにNHKで女性の料理研究家(高城順子さんだった
> ようなきもする?)がコイのマル煮料理を食べる番組があり、長時間煮てウロコまで
> おいしく食べられるとびっくりして鯉料理を見なおしていたことを思いだしました。

同じ番組かどうか解りませんが、長野県佐久の「臼井鯉店さん」だったと記憶し
ています。こういう調理法もあるんだなぁ。と感心しながら見た記憶があります。
くりさん 2003.07.15 > ●「米魚両全策」前にも読んだのですが読みなおしました。コメ百
> 俵よりおもしろい。文明批評ですね。
> 佐久鯉あるいは同様の養殖法もっともっと評価されてよいですね。

何時もお読み下さり、有り難うございます。
佐久鯉については、貴社出版の木幡さんの著書に書いてあるというご縁がありますので、是非、現地をご訪問されることをお勧めします。
数年前の秋ことですが、上田近郊の別所温泉に予約をしました。
10年以上も前の交通公社の案内書に、松茸と鯉の料理とありましたので、確認したところ、「松茸はあるが、鯉の料理は出せない。」との返事。
理由は、と聞いたら、「最近のお客さんは、鯉を食べないので、止めました。」との返事でした。
山の中でも、マグロの刺身を出さないと、お客さんが来ない時代なのですよ。
松茸だけでも出ればと、行きましたが、寂しい思いでした。
gaku@信州 2003.07.15 >鯉のウロコは油で揚げて塩をふると、酒肴によいという話を本で読んだことがあります。
信州の伊那谷では、ウロコを実際に油で揚げてお客さんに出している旅館があります。
センベイのようで、カリカリして美味しい…ですよ。
それと、鯉の甘煮では「卵巣」が入っているのが好まれる…と、いわれていますが。
近所の旅館のオヤジさんは、そのことに目をつけて、何かの魚卵をお腹に詰めて煮込んでいるようなんです。それが、お客さんに大受け…らしいです。
白子の上に「卵」がのっていて、ボクの知人が見破ったのですが、はて何の卵なのでしょうか。近々、その店にいってボクも実際に食べてきますね。そして、報告…します。
鯉に似た「卵」って、何が思い当たります???
MANA・ナカジマ 2003.07.15 NHKに問い合わせしておいたら、すぐ返事がきました。さとうさんが教えてくれた「臼田さん」ドンピシャでした。NHKの情報処理対応なかなかよいのですね。
さとうさん、他店の宣伝のようになってごめんなさい。せっかくちゃんとNHKのひとが返信してくれたので、情報お伝えしておきます。

NHKの返信=早速ですが、お問い合わせの件についてご連絡いたします。
お尋ねの番組は、2003年2月14日(金)教育テレビ〔再放送:2月17日(月)総合テレビ/2月21日(金)教育テレビ〕放送の「ごちそう賛歌〜寒の味t鯉(こい)の甘露煮〜長野・佐久市」かと思われます。
ご紹介いたしました甘露煮のお問い合わせ先は、次の通りです。
●「楽群堂本舗」・・・加工の専門店で、臼田一郎さん一家が養殖から一貫生産し、佐久伝来の製法で伝統の味と技を守っている。
 住所: 長野県佐久市桜井663
 TEL: 0267−62−5707
 FAX: 0267−62−7685
※三年鯉の甘露煮 一本 ¥5000
※一年鯉使用の子鯉の甘露煮 500グラム化粧箱入り ¥3000
※他の商品として一年鯉を開いて揚げ甘辛く煮た、すずめ焼き等の商品があります。
※楽群堂本舗は店舗を持たない店なので、商品の注文は電話もしくはFAX、手紙等でお願いします。
MANA・ナカジマ 2003.07.15 > 近所の旅館のオヤジさんは、そのことに目をつけて、何かの魚卵
> をお腹に詰めて煮込んでいるようなんです。

こういうはなしだいすきです。

> 鯉に似た「卵」って、何が思い当たります???
ウオルトンの釣魚大全には、ヨーロッパ人は、コイのタマゴが大好きなんだそうです。
黒キャビアがチョウザメ、赤キャビアがコイの卵巣だそうですよ。
キャビアを詰めたら商売なりませんね。色も違うし。
赤キャビアってたべてみたい気がします。卵巣は、なんでもうまいですね。
【山形】さとう 2003.07.15 > NHKに問い合わせしておいたら、すぐ返事がきました。さとうさんが教えてくれた
> 「臼田さん」ドンピシャでした。NHKの情報処理対応なかなかよいのですね。

すいません。ビミョーに違ったようです。でも伝わって良かったです。

> さとうさん、他店の宣伝のようになってごめんなさい。
とんでもないです。鯉食を知っていただけるのであれば、将来的には必ずプラスになります。養鯉加工業界の為に是非お願いいたします。良い物を知ってもらえれば、それが起爆剤になると思います。
関口 2003.07.16 ●くりさんの「水産雑学コラム49話:米魚両全策:平成13年10月号」
拝見いたしました。奥深い内容で、知識の深さ、尊敬いたします。
昔は、あの淀川でとれた魚が珍重されていたなんて、不思議な気がします。
あと、鯉は佐久が有名とは聞いたことがありましたが、そのルーツが大阪だったとは、びっくりです。

●gaku@信州さんのウロコのお話、
> 信州の伊那谷では、ウロコを実際に油で揚げてお客さんに出している
> 旅館があります。センベイのようで、カリカリして美味しい…ですよ。

お店でも出ているとは、知りませんでした。
鯉って今の私にとってはあまりなじみのないお魚なので、驚くことばかりです。

> 近所の旅館のオヤジさんは、そのことに目をつけて、何かの魚卵をお腹に詰めて
> 煮込んでいるようなんです。それが、お客さんに大受け…らしいです。
> 白子の上に「卵」がのっていて、ボクの知人が見破ったのですが、
> はて何の卵なのでしょうか。

白子と卵が食べられるのであれば、食べる人はとても得した気分ですよね。
何の卵かご報告楽しみにしています。

●「鯉」の料理と言うと、私の中で一番思い浮かぶのは、中華の「鯉の丸揚げの甘酢あんかけ」なのですが、中華料理にまで枠を広げると、もっといろんな食べ方があるかも知れないですね。
くりさん@栗原 2003.07.16 > ●くりさんの「水産雑学コラム49話:米魚両全策
> :平成13年10月号拝見いたしました。

お読み下さり、有り難うございます。

> 昔は、あの淀川でとれた魚が珍重されていたなんて、不思議な気がします。
> あと、鯉は佐久が有名とは聞いたことがありましたが、
> そのルーツが大阪だったとは、びっくりです。

当時の識者は、自分の在所を発展させたいという、崇高なご意志をお持ちだったのだと思いますね。その一例だと思います。
MANA・なかじま 2003.07.17 > 当時の識者は、自分の在所を発展させたいという、崇高なご意志をお持ちだった
くりさんの「自分の在所」というとらえかたすてきですねえ。明言でもあり名言でもあります。
自分という個と住む村里や町、そしてもっとひろげて御殿様の配下の郷。自分の住む在所があって郷があって日本国があったのですね。
民がいきる里を肥え豊かな里にしようと農や漁の技術や智恵の伝播がされてきたのですね。
官のありかた、行政の在り方、篤農や篤漁のありかた、大原幽学とニ宮尊徳の実像・思想の評価のされ方、あまりに均一化された情報と世相のありかた…………。
ふと早起きおじさんのぼーっとした思考回路(妄想)がぐるぐるまわりはじめて、さあ自分の仕事をしないと食って行けなくなるゾと“目覚め”させてくれました。
こういうMLの利用が出来はじめてきたというのも、うつうつたる精神もひっこんできて、そうそうたるゲンキがではじめてきたということか????
くりさん 2003.07.17 > くりさんの「自分の在所」というとらえかたすてきですねえ。
> 明言でもあり名言でもあります。
有り難うございます。
「故郷あっての先祖であり、先祖あっての自分である」という基本を言ったものでしょう。
個が存在するのは、回りに在所があるからです。
今は、個が余りにも突出して、周りを見なくなっているかも知れません。
今日、自分の命を頂いているのは、誰にでも先祖があるからです。
お墓参りや、お施餓鬼の風習。こういうものを大切にしてきたのが、我々の先祖だったのですね。それが、里、在所の基でしょう。
fishーMLにはそぐわない内容かも知れませんが。余談として。



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