うみぶどう・・・クビレズタ
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埼玉キンペー | 2006.01.06 | 沖縄には出張することが多いのですが、「うみぶどう」なるものをよく見かけます。 食べてみるとプチプチとした歯ざわりで特に美味というわけではありませんが、なんとなく楽しい食べ物のように思われます。 現地価格で100g 800〜1000円とチョット高いようです。 ところで、「うみぶどう」について知りたいのですが、ご存知の方、ございましたらご教授願います。
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鯖寿司 | 2006.01.06 | 「うみぶどう」、おいしいです。 デパートの沖縄物産展や沖縄県のアンテナショップでよく買います。 学問的なことはな〜んもわかりませんが、あたしはマヨネーズをつけて食べるのが好きですね。 |
しゅん@熊本 引っ越して @茨城 | 2006.01.06 | 以前、少しだけ海ブドウ養殖に携わったことがあるので、分かる範囲で。 生物学的・専門的なことは勘弁してください。 > 1.生物学的分類 「海ぶどう」は商品名・一般呼称です。 標準和名はクビレヅタという植物です。 > 2.分布(沖縄以外に産地は?) フィリピン産が多く輸入されています。 沖縄から送られてきたパックにも「フィリピン産」と書かれていました。 熊本・長崎・四国地方などでも、少し養殖されています。 > 3.生態 詳しい生態は存じませんが、基本的に、放っておけばドンドン伸びます。 ランナー(横に伸びる茎)を伸ばして、その途中にプチプチの房が作られます。 水温27℃前後でよく伸びるようです。 沖縄の海水は栄養塩が少ないので、養殖の際には「鯛の配合飼料」を海水に溶いて添加するそうです。 強烈な直射日光下におくと、死んでしまいます。緑色が抜けて白っぽくなる。 養殖するときは、寒冷紗をかけて調節します。 > 4.旬 基本的に、夏。輸入物もあるので、年中食べられます。 > 5.生産量 分かりません。申し訳ない。 沖縄で一気に流行して、最近はちょっと落ち着いてきたらしいです。 > 6.おいしい食べ方 やっぱりサラダなどの生食でないと、プチプチ感が失われると思います。 > 7.食した方のご感想(再度食べたいか否かなど含めて) まぁ確かにプチプチ感が楽しくて良いけど、値段が高すぎる。。。 積極的に買おうとは思わんなぁ。。。 というところです。ご参考になれば。 |
神奈川の石井 | 2006.01.06 | 似ているけど少し違うフサイワヅタならば相模湾にも自生しています。 ごくたまに漂着しているのを、食べてみましたが、 売っているのと大差なく感じました。 |
GARASAN | 2006.01.06 | 海ぶどうについて、沖縄に住んでいたので、知っている事をコメントします。 >1.生物学的分類 緑色植物門イワズタ目イワズタ科のクビレズタです。 仲間には、他の方のコメントにもありましたが、本州でよく見られるフサイワズタがあります。 播磨灘でもフサイワズタはごく普通に見られ、密生しているところもあります。 私も海でかじりましたが、結構美味しいです。 後は、近年良く話題になっているキラー海藻は、変種型イチイズタといって、やはりイワズタの仲間です。 これらは、不思議な事にこの体全体で1つの細胞という生き物です。 核は沢山あるのですが、隔壁が存在していないために巨大なひとつの細胞と見る事ができます。これは同じ目の中のミルも同じです。 ちなみに、イワズタとイワヅタとどちらの表記が正しいのかは私も自信がありませんが、藻類学会の和文誌の藻類に掲載されている論文をみると、「イワズタ」と表記されています。 >2.分布(沖縄以外に産地は?) クビレズタは沖縄県以南にしか生育していません。 沖縄県でも、私が見た事があるのは宮古島の与那覇湾や宮古島の来間大橋の東側らへんと、与那国島でした。 本島でも生育が確認されているという記録があったかと思いますが(北限は名護市屋我地島付近とされている。)、私は本島での野生個体は見た事がありません。 >3.生態 砂と石が混じったようなところに生育しています。やや甘い海域を好むようです。 水深は数m〜20m前後。宮古島では、浅いところの個体は直立部が短いように感じました。 与那国の個体は、浅いところでも直立部が長かったです。 西表島では、水深37mでの生育が確認されています。 小嚢部分が成熟して配偶子を放出し、接合して、藻体に成長していきます。 しかし有性生殖よりも、相対の切れ端から増えて行ったり茎状部が伸長していったりする無性生殖で増える方が多いようです >4.旬 旬というか、養殖でよく生長するのは夏です。 亜熱帯の海藻なので、暖かい時期の方が生長量が大きいようです。 >5.生産量 最新の生産量は存じておりません。このMLには沖縄県の水産関係者の皆さんも多く入っているので、補足があれば幸いです。 なお、出荷されているクビレズタは殆どが養殖ものです。 養殖は、一番最初は与那覇湾で垂下式の野外養殖が試みられましたが、台風などの影響もあり、あまり成功しませんでした。 その後、陸上養殖が盛んになり生産量が増大していきました。 さきがけは恩納村で、その後、本島各地でも取り組まれるようになっています。 私が見た事があるのは、国頭村、宜野座村、旧与那城町、浦添市、恩納村などで、取り組みを始めている漁協も多いと聞いています。 養殖方法は、先ほど書いた無性生殖を利用して養殖しています。 ちぎったクビレズタをトリカルネットに挟み、海水を流水にし生長させます。 海藻の生長には、当然栄養塩と光が必要なのはいうまでもありません。 夏は数週間、冬はもっと長期間かかって出荷サイズに生長します。 そのままでは出荷できませんので、ちぎってエアレーションでかき回せた中に、摘んだクビレズタの直立部を躍らせておきます。 これで、ちぎった部分を自力で修復させ、中身が飛び出て細胞壁だけにならないようにします。 商品のクビレズタを良く見ると、摘みとった部分がやや白くなり、ひげのような根のような部分ができているのがわかるはずです。 種苗は、県産のものもあれば、フィリピン原産のものもあるそうです。それぞれ温度特性などが異なるようです。 また、養殖技術が高いところの商品は、小嚢がびっしりとつまっていますが、低いところは小嚢がまばらで、茎っぽい感じがするものもあります。 >6.おいしい食べ方 やはり、一般的な刺身しか思い浮かびません。たれをつけてしぼまないうちに食べる。 でてきたうみぶどうに、ざっとたれをかけてしまうと、あっという間にうみぶどうがしぼんでしまいます。要注意です。 また、お土産で買った時も必ずお店の人に「絶対冷蔵庫に入れないでください」と言われます。 やはり生の海ぶどうのがおいしく、塩蔵品は味が劣ります。 海ぶどうは沖縄県の特産品ですが、モズクと比べて生産量や生産高が少ないのは、生鮮以外の利用が著しく少ない点があると思います。 モズクは色々加工して利用価値が高いですし、塩蔵品、モズク酢にしてパックで売られているし、うちなー天ぷら、カマブクに入っていたり、ボロボロジューシーに入っていたり色々広くアレンジして食べる事ができますが、海ぶどうは刺身以外の広がりがありません。 その割には、養殖が広まってきているので、今の高値が維持できなくなるのではないか、値崩れして共倒れしてしまうのではないかと心配しています。 生産量の増加ととともに、利用用途の拡大も必要ですね。 >7.食した方のご感想(再度食べたいか否かなど含めて) 美味しいです。ただし、たくさん食べるものでもない感じがします。 ちょっとしたお酒のつまみという感じでしょうか。 モズクのかき揚げやカマブクーに比べると、単調な感じは否めません。 私も、生鮮以外の海ぶどうの食べ方があれば、ぜひ教えていただきたいです。 なお、沖縄にはウミブドウが2種類あるのをご存知でしょうか。 標準和名で言うと、今まで出てきたクビレズタ、もうひとつはセンナリズタです。 3年前、この2つのウミブドウで色々と騒がれた事がありました。 前述のように、クビレズタは流通する殆どが養殖ものです。 その一方で、天然物と冠されたウミブドウは、ほぼセンナリズタです。 同じイワズタ科ですが、クビレズタは深所型のイワズタの仲間で、センナリズタは浅所型のイワズタの仲間です。持っている色素が若干違います。 フサイワズタは深緑色でやや透明感があるのですが、センナリズタは黄緑色っぽく藻体も透明感がありません。 このセンナリズタがウミブドウとして販売されており、クビレズタと混同するとされて問題になりました。 センナリズタは食べると口の中が少しぴりぴりし、お世辞にも美味しいとは言えません。 私も1パック購入しましたが、完食できませんでした。 センナリズタは、旧暦3月の浜下り(はまうり)の季節によく干出したリーフや砂干潟で採られています。なので春が季節です。 それ以外の季節で、店頭でお目にかかることはあまり多くありません。 あまり予備知識のない観光客が、センナリズタを食べて、これがウミブドウかと思われると評判が芳しくないのではという懸念で問題になりました。 そこで、沖縄県水産課では 海ぶどう(クビレズタ)、海ぶどう(フサイワズタ;※センナリズタの間違えと思われる。沖縄ではフサイワズタの分布は確認されていない)と併記されることになりました。 牧志公設市場でも、天然海ぶどうとしてセンナリズタが売られていたので、皆さん沖縄でお買い上げの時はよく注意してください。 おそらく内地に出荷されている海ぶどうは、ほぼクビレズタだけだと思います。 宮古では、クビレズタのことをンキャフと呼ぶそうです。これで、しりとりで負けませんね。 この前、鉄腕DASHを見ていたら、宮古島をソーラーカーが回っていて、宮古島の漁師さん(宮古ではうみんちゅとは言わずイーシャーというそうです)が、クビレズタをメスの海ぶどう、センナリズタをオスの海ぶどうと紹介していました。 正確には別種なのでオスメスは間違いですが、そのように区別しているようですね。 この件では、色々と沖縄県水産課に、海ぶどうのオスメスについて問い合わせがあったそうです。 なお弊サイトの「漁業展示室→養殖漁業」にも、海ぶどう養殖の様子の写真が掲載されていますので、良かったらご覧くださいませ。 http://www010.upp.so-net.ne.jp/sanpaku/ |
宮古島市のカニ | 2006.01.06 | >>2.分布(沖縄以外に産地は?) > 本島でも生育が確認されているという記録があったかと思いますが >(北限は名護市屋我地島付近とされている。)、私は本島での野生個 >体は見た事がありません。 本部町の沖縄県栽培漁業センターの排水溝に、大量に自生していたので、飽きるくらい食べていましたが、後で市価を知り、驚きました。 そのうち本島で養殖がさかんになってきて、各地から母藻にしたいと、多くの人がもらいに来ていました。 あの群生が野生のものかどうかわかりませんが、魚類などを飼育している排水には、栄養塩が適度に入っていたからでしょうか。摘んでも摘んでもすぐに増えました。 >>4.旬 > 旬というか、養殖でよく生長するのは夏です。 > 亜熱帯の海藻なので、暖かい時期の方が生長量が大きいようです。 宮古の養殖場では、真夏が必ずしも生長が良い、ということではないようです。 照度をコントロールしても、(与えている栄養を流してしまわないように)換水率の低い水槽では水温が高くなりがちで、ぶどうにとっては、厳しい環境みたいです。 房のついた茎(?)の部分が急激に伸びて枝分かれしたり、粒と粒の間が空いてしまって不揃いになったり、これは必ずしも高水温だからではなく、照度や餌、その他の環境にもよるのですが...。後述のように、いかに房を形良く作るか、という点で、養殖業者は苦労するようです。 >>5.生産量 > 最新の生産量は存じておりません。このMLには沖縄県の水産関係者の > 皆さんも多く入っているので、補足があれば幸いです。 一応関係者ですが、以前、情報を一番持っていそうなところに聴いたところ、正確な数字はわからないようです。農林水産統計年報にも、クビレヅタは区分されていません。 養殖施設のほとんどが陸上施設なので、漁業関係者でない人々も多く参入してきているというのもその理由かもしれません。(系統での集出荷がされない?) > 養殖技術が高いところの商品は小嚢がびっしりとつまっていますが、 > 低いところは小嚢がまばらで茎っぽい感じがするものもあります。 やはり、この食感にも通じる見栄えは重要で、間のびしたもの、枝分かれしたものなどは出荷をせず、次の母藻にまわしたりします。 >6.おいしい食べ方 ある漁協は、本土の大手調味料会社に独自のドレッシングを開発させました。 埼玉キンペー様が書かれたように、海ぶどう自体には、それほど味はなく、少しの塩気と粘り、ぷちぷち感しかないので、味は、タレで大きく変わると思います。 > やはり生の海ぶどうのがおいしく、塩蔵品は味が劣ります。 当地のスーパーにも、地元産、沖縄本島産の生製品と一緒に、フィリピン産塩蔵品も売られています。私も塩蔵品より、生がずっと良いと思います。 12月に、沖縄県物産公社のアンテナショップ「わしたショップ」那覇店を覗いてきました。店頭で生海ぶどうの試食販売をしていましたが、この店ではかなり前からフィリピン産の塩蔵品が売られています。 私は、一消費者として「県産品を扱う店舗で輸入海ぶどうを売るのはおかしくないか」と毎回店員に意見していますが、他の輸入菓子などと同様、県内の輸入販売業者の製品であるということで取り扱っているようです。 塩蔵品は、箱の背側ラベルに「原産国:フィリピン」と小さく書かれていますが、表側には「南海特産」というような、紛らわしい文言が書かれています。 沖縄へお越しの際、あるいはこのような店舗では、塩蔵品ではなく、ぜひ生のものをお買い求めください。 > 鉄腕DASHを見ていたら、宮古島をソーラーカーが回っていて、 知り合いの海人がこの番組のロケを見ていて、予め打ち合わせた通りに本番で台詞を言わされる住民の様子を、実に楽しそうに語ってくれました。 > 宮古ではうみんちゅとは言わずイーシャーというそうです 地域によるかもしれませんが、私の周囲ではイムシャー(ほぼインシャー)と発音されています。 |
GARASAN | 2006.01.07 | >本部町の沖縄県栽培漁業センターの排水溝に、大量に自生していたので、 >飽きるくらい食べていましたが、後で市価を知り、驚きました。 私も思い出しました。糸満の沖縄県水産試験場の飼育海水の排水溝にもたくさんのクビレズタが自生してましたね。 びっしりと形の良い藻体だったのを思い出しました。 私も静岡水試にいた事があるので、排水溝のクビレズタを食べるのは少し躊躇しましたが、同行案内した静岡水試のOBの先輩は、ちぎってバリバリ食べてましたね。 それらが本島の野生個体かどうかは???ですね。 >一応関係者ですが、以前、情報を一番持っていそうなところに聴いた >ところ、正確な数字はわからないようです。農林水産統計年報にも >クビレヅタは区分されていません。養殖施設のほとんどが陸上施設 >なので、漁業関係者でない人々も多く参入してきているというの >もその理由かもしれません。(系統集出荷されない?) 確かに陸上養殖であれば、モズクのように特定区画漁業権は関係ないですし、漁業関係者である必要もないですね。 ただ、海水を揚水したり、海ッペリで養殖場の土地を確保するには、ある程度漁業関係者である必要はありそうですが、全く無関係の人も参入してるのですか? 養殖している人に聞くと、大手スーパーへの出荷を前提に養殖を始めたり、養殖をしないかと持ちかけるブローカーがいたり、内地へ直接出荷している養殖業者さんもいるようで、モズクのように、一旦漁協などに集荷しているものと比べると、生産量は把握しずらいのかもしれませんね。 |
ご無沙汰しているしーちゃん | 2006.01.15 | 海ぶどう・・・やっぱり生に限りますよねー。 純粋に1消費者として、好きです(^^)。 恥ずかしながら、おかずとして出すときに、事前にドレッシングに漬け込んでしまい、シオシオの海ぶどうにしてしまった経験があります。 浸透圧考えろーと、一人つっこみしてました。 > ちなみに、イワズタとイワヅタとどちらの表記が正しいのか は私も自信がありませんが、藻類学会の和文誌の藻類に掲載さ れている論文をみると「イワズタ」と表記されています。 結論からいいますと、どっちも正しいです(あ、学会誌レベルだとズタで統一されてるはずですが・・)。 もともとはイワヅタです。 「ツタのように岩の上を這う」というところから名づけられたのだと、ある先生から聞いたことがあります。(ただし、命名者の岡村先生がツタを意識してつけられたのかどうかは、もっと資料をあさったり、ご存知の方から教えていただかなきゃならないでしょうけど・・) 「現代かなづかい」では「ヅ」を「ズ」と表記するようになっているので、藻類学会でも「イワズタ」になっているのだと思います。 手持ちの資料をあさってみましたら、藻類学会で5年ごとに発表されている、「日本産海藻目録」では、1995年までは「イワヅタ」ですが、2000年からは「イワズタ」になっています。 その途中に吉田先生の「新日本海藻誌」があり、その中で「イワズタ」にされています。 さかのぼると、1990年に出版されている文部省の学術用語集(植物学編)で「イワズタ」とされています。 このあたりが「ヅ」から「ズ」への変化のきっかけとなったんじゃないかって、あやしいとおもってるんですけど・・。 なんでも新かなづかいにしちゃったら、元々の意味がうすれちゃうじゃん(-"-)と思っている、ヘンなとここだわる、しーちゃんでした。 |