鮫の顎骨の標本の作り方
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柴田 | 2006.09.14 | 先日、私の職場の系列である水産振興センター(各県の水試にあたるもの)に、サメの顎(長さ60cm程)が持ち込まれたそうです。 担当者は標本を作りたいとのことで話がありました。 私は「イルカの頭骨のようにため水に浸しておけばいいのでは? 急ぎだったら、熱めのお湯にしてポリデントをどっさり入れてみたら?」と言いましたが、彼らは軟骨でできている方々。 良い方法をご存知の方がいらっしゃればお知らせ下さい。 |
神奈川の石井 | 2006.09.15 | サメの顎は「水さらし」で幾つか作りましたが、乾燥時にカタチがくずれるのに往生しました。 一度しつこく煮てみたら、爬虫類の骨みたいにフニフニに、、、、。 北大の大泰司先生は軟骨を固定するノウハウが豊富で、かるくホルマリンに通して何とかかんとか、、と聞きましたが、怖くて試したことがありません。 |
柴田 | 2006.09.15 | 御教示ありがとうございました。 “水さらし”でできるけれども、乾燥の際の変形がものすごいと言うことですね。 早速水産振興センターの担当に伝えました。 家で大泰司さんの文献を見ましたが、別の本だったようで、哺乳類と一部のは虫類の骨格の作成法しかありませんでした。 担当者も、ホルマリンに浸漬して云々と言った難しいことまでやろうとは考えていないようでしたが、そのような方法もあることを伝えました。 |
アバタノオジサン@東京網干坂 | 2006.09.15 | …… 単なる参考・補足の情報です …… > 北大の大泰司先生は軟骨を固定するノウハウが豊富で、 > かるくホルマリンに通して何とかかんとか、、と聞きましたが > 怖くて試したことがありません。 ↑…プラスティネーションの事ではないでしょうか? 生物組織の液体部分をプラスチックに置き換えるプラスティネーション技術は、水分、脂肪分が完全に抜けているのに、柔軟で保存性の高い標本を実現し…人体標本等でも知られていますが、…制作のプロセスは簡単では無い様です。 |
神奈川の石井 | 2006.09.16 | 大泰司先生のノウハウは個人技の集積とか、プチ秘伝に属するものらしいです。 このあいだ、2005年に川崎に漂流していたホホジロザメの脊椎骨を見せていただいたのですが、石灰化はしているのですが、乾燥するとひび割れそうな感じでした。 プラスティネーションなら色んな事ができそうで、費用はさておき夢がひろがりますね。 |
柴田 | 2006.09.16 | 情報ありがとうございます。 プラスティネーションは東京で「人体の不思議展」で見ましたが、すごい技術ですね。 脳の標本を手にして感動してきました。 素人には難しいでしょうね。 |
鷲尾 | 2006.09.17 | 既出でしたら申し訳ないのですが、透明骨格標本というものがあります。 私も詳しくはないのですが、ホルマリンで固定した後に軟骨と硬骨を染め分け、その後酵素を用いて筋肉のタンパク質を分解し、透明化することで染色した骨格を外部から観察する標本です。 軟骨魚類で多用されているかは分からないのですが、下記URLをみると全身が軟骨の状態にあるシラウオもきれいに染色されているので不可能ではないのかもしれません。 http://homepage2.nifty.com/ALABAMA/topics/Topics-150/T-128-shirauwo.htm 参考: http://research.kahaku.go.jp/zoology/uodas/collection/how_to_make/sensyoku/2.html http://homepage2.nifty.com/ALABAMA/topics/Topics-150/T-127-skeleton.htm Dingerkus,G and L.D.Uhler.1977.Enzyme clearing of Alcian Blue stained whole small vertebrates for demonstration of cartilage.Stain Technol.,52(4),229-232. |
中村@南の風 | 2006.09.19 | つい一昨日、プラスティネーションの話を聞く機会がありましたので紹介いたします。 標本の大きさにもよりますが、アルコール濃度70%から80%、90%、95%、99%各1週間づつ2回ほど高濃度にしながら水分と脂質を溶出させ、脱脂・脱水を行う。 のちにアセトンか、プロピレンオキシドにて脱水を行う。 (密閉ふたの付いた容器に入れて、加振台に乗せて振とうしながら行う。) その後シリコーン樹脂槽に浸し樹脂と溶媒を置換する。 置換は容器事冷蔵して陰圧を掛けながら行う。 3日間ほど置換を行った後に取り出し、外部に付着する余分なシリコーンを除去して重合させる。 インキュベータ内で重合を進めながら滲出してくるシリコーンを除去しつつ重合を進め、滲出が止まって時点で完了。 シート状にスライスする標本や堅く仕上がって良い標本では、ウレタン樹脂などを含浸処理するのだそうです。 含浸時間は、樹脂の硬化時間などから経験で決めると解説していました。 ただ、魚などを標本化しても色素分は全て抜けてしまう事と、アルコールでタンパク質が変性して灰白色のモノトーンになります。 魚ではリアルさが失われますが、骨格標本には問題ないのかもしれません。 このような解説でした。 それなりに装置も必要で、また結構、手間と時間が掛かるようです。 |