三陸のハマグリ

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小野寺@宮城県本吉 2004.12.28 この3週間ほど波のために海に出ることができず、アワビ漁の期間も今年は昨日(27日)までで、結局開口にならずに終わってしまいました。ご注文いただいた方には申し訳なく思っております。
ところが皮肉にも、アワビ漁が終了となった今日はべた凪ぎ。
悔しいので漁師仲間とハマグリ漁にでました。まずまずの漁で、なんとか正月用の分を確保することができました。
ここのハマグリは、記録がないのでどの時代からかはわかりませんが、親父が子どもの頃(昭和初期)には1回の漁でカゴいっぱい(50〜60キロ)になるくらい捕れたそうです。
しかし、70年代後半に農薬が無差別に使われた頃、ここに流れこむ川が水田地帯を通ってくることもあって、ほとんど姿を消してしまいました。
その後20年ほどハマグリは捕れることもなく、昔語りになっていたのですが、皮肉にも減反と農業離れが進み、5年ほど前からハマグリがまた戻ってきたのです。
私も3年前からハマグリ漁に出るようになり、昨年は300個ほど捕ることができました。そんなこともあって、ここのハマグリのことも調べていたのですが、いろいろ興味深いことが見えてきました。
日本の在来のハマグリには、内湾の干潟にすむ「ハマグリ」と外海に面した砂浜にすむの「チョウセンハマグリ」の2種類があります。ここで捕れるハマグリは外洋性の「チョウセンハマグリ」になります。
「ハマグリとチョウセンハマグリ」については、すでに琉球大学の山口先生(海洋自然科学)が『盤州里海の会』のHPで解説されています。
 http://www.satoumi.net/spl1_diary/spl1_diary.cgi?cat=15

「チョウセン」という名前がつけられていますが、実はこれもれっきとした日本の在来種であることに変わりはありません。日本のハマグリなのに、なぜかこの名が付けられています。

かつては「桑名の焼きハマグリ」で知られたように、国内で流通するハマグリのほとんどが内湾性のハマグリでした。そのため外洋性のハマグリは、内湾性のハマグリに比べると殻が平べったく、身がいくぶん固いこともあって、ハマグリのニセモノあるいは二級品扱いをされてしまったようです。
「チョウセンハマグリ」という名称は、そのような理由から付けられたのではないかと考えられています。
また、「チョウセン」の意味を「汀線」あるいは「潮浅」とする説もありますが、チョウセンハマグリの和名はすでに江戸時代から使われているようですから、「汀線」「潮浅」という漢字は後から当てはめたもののようです。
といっても、これもまだ推測の段階ですので、この件に詳しい方はぜひお知らせください。

さて、たまたま私の地元(宮城県本吉)でチョウセンハマグリが捕れることをお伝えしたことから、山口先生とここのチョウセンハマグリについて、ご教示と助言を受けながら、情報を交換させていただいております。
そのやり取りの中で、日本の在来のハマグリが、開発や汚染などによって生息場所がほとんど失われてしまい、さらに最近では、中国などから輸入されたシナハマグリとの交配が進んで絶滅が危惧される状況であることから、ここのチョウセンハマグリが貴重な在来種であることがわかってきました。
また、日本各地で生息場所が失われていることから、ここが北限の生息地である可能性もでてきました。
その他、ここのチョウセンハマグリをめぐって、日本の漁業のあり様までいろいろな状況が見えてきました。それを、これから何回かに分けて報告します。
ただ、日本在来のハマグリが希少種になってしまったことから、その生態については情報が少ないのが現実です。皆様からも、ぜひ情報をお寄せいただければ幸いです。
小野寺@宮城県本吉 2004.12.28 (2)チョウセンハマグリを捕る漁法について
前回、こちら(宮城県本吉)で捕れるチョウセンハマグリが、いまや希少となった在来種であることをお知らせしました。
当地で行なわれている、このチョウセンハマグリを捕る漁法もまた、いまや他では行なっていない貴重な漁法であることがわかりました。
その漁法というのは、アワビ漁と同じように箱メガネで覗きながら鉤で捕るという方法です。まず、海底の砂を棒で突つきます。するとチョウセンハマグリが驚いてピュッと水を吐いて砂に潜ろうとするのですが、その水を吐いた穴のところを鉤で掘り返して捕るという方法です。
言葉で説明してもわかりにくいと思いますので、こちら(↓)の写真をご覧ください。
 http://www7.ocn.ne.jp/~sophia/hamaguri_2004.Dec.htm

貝桁網のように一網打尽にするような乱暴な漁法ではなく、一つ一つハマグリと会話するように捕る方法です。これこそエコロジカルというか、サステナブルというか、資源保護のため漁法としては優れた漁法ではないでしょうか。けっこう疲れますが…。
なによりこの漁法は、水が澄んでいて初めて成り立つ漁法ですから、それはまた、この海の環境のよさを示す証拠でもあります。
このハマグリと漁法は、次の世代に伝えるべき貴重な地域の財産であると私は考えています。しかし、地元の漁師たちはその価値をあまり認識していません。そのことから、せっかく戻ってきたハマグリがまた消滅しかねない危機的な状況になりつつあるのです。その報告は次回。

ところで、このチョウセンハマグリを漁師仲間の協力を得て、皆様にもお分けできることになりました。ご希望の方はお知らせください。
ゆりたろう 2004.12.30 読みながら、食べてみたいなと思った所で絶妙の頒布案内。
またしても釣り上げられるゆりたろうであった。。
3Kg 買います。
はまぐりを一度アサリのように食ってみたかったのです。
焼き蛤と酒蒸しと。。お正月に間に合いますか?
jiro 2004.12.30 ゆりたろう氏の3キロというのは、私の1キロを含んでいるものと解釈しております。
きんのり丸@木更津 2004.12.30 > 「チョウセン」という名前がつけられていますが、実はこれもれっき
> とした日本の在来種であることに変わりはありません。
> 日本のハマグリなのに、なぜかこの名が付けられています。

皆さん勘違いするんですよね。
外洋性の在来種ですよね!
鹿島のチョウセンハマグリを食べたことがありますが、非常に美味しかったです。

> また、日本各地で生息場所が失われていることから、ここが北限の
> 生息地である可能性もでてきました。

将来の日本の水産業を考えると貴重です。
是非守っていただいて、地場のハマグリとして地位を確立してください。
他の海の稚貝を蒔く事だけは阻止しましょう!
漁の方法も最高ですね!魅力のある漁場です。
豊かな日本の食文化には欠かせない食材だと思います。
7cm前後の大きさも魅力です!食べてみたいですね!
Yamaguchi 2004.12.30 宮城県の大きい地図を持っていないので判断が難しいのですが、阿武隈川の河口から北、そして鳴瀬川の河口の砂浜などでチョウセンハマグリが分布していてもおかしくないと思えます。
渡波という石巻付近の海岸で、昔、ハマグリが調査対象となっています。
検索してみたら、正確な場所は不明ですが、キャスティングでハマグリをヒットしたなどというのが見つかりました。
阿武隈付近の海岸の名称は荒浜とか長浜となっています。
規模から見て九十九里浜などに相当する名称がこの海岸にあってもよさそうなものと思いましたが、見つかりません。

ところで、本吉のお伊勢と赤碕のチョウセンハマグリの商品名ですが、外の人間が見て、三陸海岸産ハマグリと呼ぶのはどうですか。
三陸というのは、水産物が豊かな地方という暗黙の了解があって、イメージとして使えるのではないかと考えました。
九十九里ハマグリとか鹿島灘ハマグリと対抗するようなイメージです。
奥松島の蛤浜にハマグリが残っているのですから、たとえば、広田湾の奥などで干潟があれば、そのような場所にもいるのではないか、などと想像を膨らませています。
青森県の陸奥湾内、赤川河口の干潟にはハマグリが健在です。これが今の所日本の北限のハマグリです。
北海道南部の日本海側のどこかにハマグリがいるという未確認情報があります。また、ロシアの沿岸にもいるらしいので現地の貝類研究者に問い合わせています。
琵琶湖オオナマズ 2004.12.30 > ところで、本吉のお伊勢と赤碕のチョウセンハマグリの商品名ですが、
> 外の人間が見て、三陸海岸産ハマグリと呼ぶのはどうですか。

「三陸ハマグリ」でいいんじゃないでしょうか。
こちらでは、「三陸産」とは言いますが、「三陸海岸産」とは言いませんしね。
ほんとは、「宮城産北限ハマグリ」が、インパクトが強くていいのですが、北限では無いようなので無理ですね。

ところで、山口先生におたずねしたいのですが、チョウセンハマグリは三重県で漁獲されてますか。それも、スーパーで大量に売るほどの量ですが。
今日、関西系のIというスーパーで、三重県産が品揃えされていたので、ちょっと気になったんです。
Yamaguchi 2004.12.31 > 「三陸ハマグリ」でいいんじゃないでしょうか。
> こちらでは、「三陸産」とは言いますが、「三陸海岸産」とは言いませんしね。

このようなご意見を期待していました。

> ほんとは、「宮城産北限ハマグリ」が、インパクトが強くていいのですが、北限
> では無いようなので無理ですね。

小野寺さんの取り組みとキャンペーン意欲に水を差すような形にはしたくありませんが、北限とか南限、希少価値などで関心をそそる戦略よりも健康な海の恵みを共有するという趣旨でキャンペーンを地道に進める方が個人的には好きです。
多分マスコミ受けは難しくなるでしょうが。

たとえば、島根県の益田市沿岸でもチョウセンハマグリを箱眼鏡で海底をみながら見つけてサスマタではさみ獲る漁法です。
鹿児島県沿岸でもかつては同様な漁法があったそうです(しかしチョウセンハマグリが消えてしまったので過去形)。
鹿島灘のように大規模な集団ではない所では、資源維持のためにはあえて能率の悪い漁法だけに制限するべきですね。

> ところで、山口先生におたずねしたいのですが、チョウセンハマグリは三重県で
> 漁獲されてますか。それも、スーパーで大量に売るほどの量ですが。

これは不思議です。三重県のどこの海岸でしょうか。大量に売られているならば、産地が明確であれば、ぜひサンプルを入手したいと思います。

チョウセンハマグリの国内の分布範囲の全域からサンプルを集める努力を続けていますが、鹿島灘と高知の間がすっぽりと抜けているのです。
湘南海岸は砂浜侵食が激しくて消えてしまって、(無駄な)放流事業が進められている有様です。御前崎周辺でも消えているようです。遠州灘も期待できません。伊勢湾の中では考えにくいので、外海の砂浜で遠浅の海岸はどこにあるのでしょうか。三重県南部の熊野から新宮にかけての海岸はどのような所でしょうか。地図からみるとここかもしれないという気がします。
後で三重県の鈴鹿の研究所のハマグリ担当の方に聞いてみます。

最近、高知県の四万十川の河口の北側にある砂浜ミュージアムやホエールウオッチングで有名な海岸でチョウセンハマグリが漁獲されていることを知り、サンプルを購入、入手しました。ここは素もぐり漁だそうです。ただし、現地の方から伝え聞いたところによると、チョウセンハマグリの稚貝の生息場所を公共工事でつぶしにかかっているらしいのと、地元漁協が各地のハマグリとチョウセンハマグリを移植放流してきているそうです。
鹿児島でも同様なこと、つまり生息場所にマッチしていない別種の放流がどこでもやられていることがわかりました。外来のシナハマグリの放流も盛んです。これらの3種が別々の種であることも認識が広がっていないし、それぞれの地域で固有の集団が遺伝的に環境に調和して形成されてきていることも理解されず、増やすために放流、というシナリオが全国的に蔓延しています。
別種の場合、交雑で不稔や不適応が起こる可能性が高いはずですから、地元集団をさらなる危機状態に追い込む結果につながりかねません。
同種であっても地域ごとに遺伝的なつながりが弱く、地域固有集団が形成されているらしいことが、サンプルの解析から次第に見えてきています。
さらに、眼に見えない脅威である潜在的な病原微生物やウイルスなどが移動してから顕在化することもあり得るので、放流というのは生態的に大きなリスクを伴います。
これに極端に鈍感であった日本の水産関係者の再教育、啓蒙が必要です。
小野寺@宮城県本吉 2004.12.31 > 小野寺さんの取り組みとキャンペーン意欲に水を差すような形にはしたく
> ありませんが、北限とか南限、希少価値などで関心をそそる戦略よりも
> 健康な海の恵みを共有するという趣旨でキャンペーンを地道に進める方が
> 個人的には好きです。多分マスコミ受けは難しくなるでしょうが。
ご忠告ありがとうございます。
メールに「北限」というタイトルつけましたので、そのように受け取られたのかもしれません。しかし初回のメールで、これはまだ確定した情報ではなく、可能性があるという段階であることはお断りしております。
また、ハマグリにしても、チョウセンハマグリにしても、情報が少ないものですから、広く皆さんからも情報をお寄せいただくことを目的として投稿したものです。
別段、これを戦略にしようというわけではありませんので、この点はご理解ください。
ご指摘のように、「健康な海の恵みを共有する」ことが今回のキャンペーンの第一の趣旨になります。問題は、このキャンペーンをどのように有効に進めていくかということです。
正月明けには、地元の漁師仲間に呼びかて、このチョウセンハマグリを守るための会(仮称:大谷ハマグリの会)を結成します。大谷(おおや)というのは私が住む地区名で、ハマグリを捕る漁師のほとんどが大谷地区の者です。(これをブランド名にするつもりは、今のところ、ありません。)
マスコミに流すのは会を正式に結成してからになりますが、その前に確実な情報をできるだけ多くつかんでおきたいのです。このMLには、ハマグリに関わりある方も多いと思います。ぜひ情報をお寄せください。

> 阿武隈川の河口から北、そして鳴瀬川の河口の砂浜などで
> チョウセンハマグリが分布していてもおかしくないと思えます。
> 渡波という石巻付近の海岸で、昔、ハマグリが調査対象となっています。

宮城県南の浜についてはまだ確認していませんが、宮城県水産研究開発センターに問い合わせたところ、一昨年、仙台から鳴瀬までの海岸を、貝桁を使って調査採集をしたが、捕ったのはハマグリの死殻1個だけとのことでした。
 http://www.pref.miyagi.jp/suisan-resc/

また、広田湾でも、ハマグリもチョウセンハマグリも捕れないとのこと。
ただ、気仙川の河口の干潟では、ハマグリに似た貝で、コダマガイは捕れるそうです。しかし、ここも消波?のための堤防で、干潟がうまく形成されず、数は少なくなっているとのことです。

> 青森県の陸奥湾内、赤川河口の干潟にはハマグリが健在です。
> これが今の所

これはハマグリ(内湾性)ですか。
チョウセンハマグリでないとすれば、私の所がチョウセンハマグリの北限にはならないかな…。あっ、別にこだわっているわけではありませんからね。(^^ゞ
小野寺@宮城県本吉 2004.12.31 ゆりたろうさん、岡村さん、こんにちは。
正月の準備で皆せわしいこともあって、ご注文の量をお送りできませんでしたが、2キロ分は確保できましたので、昨日お送りしました。
今日、あるいは届くかもしれません。ただ、雪のために荷物は遅れるとのことですから、どうでしょうか。届きましたら連絡ください。(携帯のメールにお願いします。)
正月に、このチョウセンハマグリの味を楽しんでいただける
嬉しく思います。また、ご感想などもお聞かせください。
正月の二日からも、波の状態がよければ漁にでるつもりです。
開口(口開け)の期間は3月まで(長い!この適当な期間設定も改善しないと…)ですので、ご注文いただければ、お送りできるかもしれません。
漁次第ですので、あらかじめご了承くださいね。
Yamaguchi 2004.12.31 > ただ、気仙川の河口の干潟では、ハマグリに似た貝で、コダマガイは捕れ
> るそうです。しかし、ここも消波?のための堤防で、干潟がうまく形成されず、
> 数は少なくなっているとのことです。

仙台新港のサーフポイントで、サーファーがコタマガイを見つけています。
この貝はハマグリと誤認されることが多いので要注意です。

> これはハマグリ(内湾性)ですか。
> チョウセンハマグリでないとすれば、私の所がチョウセンハマグリの北限には
> ならないかな…。あっ、別にこだわっているわけではありませんからね。(^^ゞ

これは内湾性のハマグリに間違いありません。陸奥湾は幸いなことにホタテガイの影になっているので、よそからハマグリを持ってきて放流するようなことはやっていないだろうと(祈って)います。
この場所の集団の貝の形態、色彩などに異常は感じません。
地元出身の卒業生が2年前に現地で稚貝の集団を見つけていますので、来年くらいから漁獲サイズになるだろうと楽しみにしています。
ハマグリの産地で蓄養か放流をやっていない場所が日本中探しても滅多にないという異常な国なので、古来からの地ハマグリは貴重です。
チョウセンハマグリですが、岩手、青森、北海道と全部調べないと分布北限地はわかりませんよ。これも、大産地の鹿島灘から日本中に移植放流が昔から続けられています。宮城沿岸は、これをやっていない稀有の場所ではないかと思います。

三重県南部の海岸は、どうやら砂浜ではなくて玉石の海岸のようです。
海中では砂があるかもしれませんが、チョウセンハマグリの未成熟の時代は潮間帯の砂浜が生息場所であり、それも干潟のようになって傾斜がゆるやかであり、河口付近など砂中の餌、微細藻類が多い場所というふうに限られています。そのような場所が海岸侵食で失われていることがチョウセンハマグリの衰退を招いているようです。
九州の西側で、長崎から鹿児島にかけての砂浜で軒並み消えています。
これらは海砂の採取が特に盛んであった(今でも?)海域です。吹上浜の北部の現状はおそるべきことになっています。その結果、テトラポッドの列が日本海沿岸と同様に並んでいます。
宮城の小野寺 2005.01.01 こちら(宮城県本吉)のハマグリが、古来からの地ハマグリどうかについては、実はまだ情報が錯綜しています。年寄りたちからの聞き取りでは、地ハマグリであるとのことですが、水産試験場の研究員からは、他から移植したと記した資料を読んだことがあるという証言もあり、確認を頼んでいるところです。
とにかく、これも早めに決着をつけておきたいことです。

これに関連して、皆様に2つほど質問があります。
(1)鹿島灘では、チョウセンハマグリの産地として大規模に栽培され
  ていますが、これはすべて地ハマグリなのでしょうか。
(2)地ハマグリの生息が確認されている場所は、いまでは稀有となって
  しまったようですが、実際のところどれくらいあるのでしょうか。

情報をお寄せいただければ幸いです。
宮城の小野寺 2005.01.02 > 将来の日本の水産業を考えると貴重です。
> 是非守っていただいて地場のハマグリとして地位を確立してください。

ありがとうございます。
こちらには、自然遺産ともいうべき里海がまだかろうじて残っています。
開発などに頼らず、海からの恵みで自活できるような浜の暮らしをなんとか確立できればと願っているのですが…。皆様のお力添えをお願いいたします。
波がおさまれば、ハマグリ漁にでます。また、漁師仲間で出荷用にプールしている者もいます。ご希望であればお送りできますので、ぜひ召し上がってみてください。
ゆりたろうさんには、早速召し上がっていただきました。
ご満足いただけたようで、安心しております。
波平 2005.01.02 元日の午後、ゆりたろう氏、ハマグリ持ってわが家へ来宅。
 わが家は、5ケおすそ分けにあずかりました。
 ゆりどんの口上がよかったなぁ〜、
 「海水ごと持ってきた、これ宮城の海の海水ですよ!どうぞどうぞ!」
 で、わたし、
 「ほ〜、これが、宮城の海ですか、なんと貴重な!」
 
 ちょうど妹夫婦がやって来ていたので、さっそく、これを潮汁でいただいた。
 ウヒャァ〜、おいしかった!!
 錯覚しないでね、ハマグリを食ったってことですよ。
 海水を潮汁に使ったわけじゃないよ。

 潮汁は、調理がとっても簡単で、かつ、とても難しいです。
 微細な、細かな神経がないと、特上の味は出せない。
 自慢じゃないが、わが家のハマグリ潮汁は別格特上品です。
 コツがありましてね、
 巷のレシピでは、
 “鍋に水とハマグリを入れて火にかける”でしょう。
 たいがいこれにダシコブをくわえて強火にかける。
 わが家では、
 ☆“ハマグリは、汁が煮立ってから、入れます”

 汁は、ハマグリを良く煮た方が、ダシが出て美味しい。
 が、しかし、煮すぎると身が堅くなり、ハマグリ自体の味わいが落ちる。
 ここの調整がコツです。

 ハマグリが5ケ。食う人が4人。
 で、内1ケは、ダシ専用に、しっかり煮る。
 残る4ケは、煮立った汁に入れ、口が開いたら、取り出す。
 椀へ移し、汁を張り、セリを添える。

 この調理法は、以前誰かの本で知ったわけだけど、それがどの本だったか探すがわからない。
 辻嘉一氏の、著物だったと思うのだけれどなぁ〜。

 長山一夫著「江戸前鮨仕入覚」に、
 “生のハマグリは実にうまい”とある。
 ハマグリは熱を加えて、食うのが基本、 だからといって煮過ぎて生の味わいを殺しては面白くない。
 わたし、是非、汁を煮立たせてから、ハマグリを入れること、お勧めしたいですなぁ〜。

  おいしかった。
 宮城の海の味を堪能いたしました。
琵琶湖オオナマズ 2005.01.03 小野寺さんの蛤、kg2000円ですよね。
この値段、送料を考えても、小売り相場からすると安いですよね。
普通、kg3000円ほどはすると思います。

>  巷のレシピでは、
>  “鍋に水とハマグリを入れて火にかける”でしょう。
>  たいがいこれにダシコブをくわえて強火にかける。
僕は、出し昆布なんて使いません。
蛤の量にもよりますが、けっこう濃い味がするし、塩分も出ますから、炊くだけです。
蛤にしても、シジミやアサリにしても、おつゆ(みそ汁含む)にした場合は、おつゆ自体を味わうのが主で、貝の身は「その料理での副産物」と考えています。邪道かな??
なお、蛤は電子レンジでチンすると、濃厚な汁が取れます。
この汁でいろんな料理ができると思います。

>  長山一夫著「江戸前鮨仕入覚」に、 “生のハマグリは実にうまい”とある。
牡蛎が生で食べられるんだから、蛤も生で食べたらどうなんだろうと、以前から考えていましたが、寄生虫のこともあるし、ちょっと怖いなということで、まだ生で食べたことはありません。
生で食べた方、おられますか。
おられましたら、どんな感じなのか教えて下さい。
Yamaguchi 2005.01.03 > この値段、送料を考えても、小売り相場からすると安いですよね。
> 普通、kg3000円ほどはすると思います。

三重県の販売サイトでは、輸入品も含めて「ずいぶんと」値段が高いので、研究用には注文していませんがチョウセンハマグリの販売価格は:

http://www.jf-net.ne.jp/jf-net/column/c_0104/col_0104.html
鹿島灘のチョウセンハマグリ
 ■ 1.5キロサイズ(10粒程度です。) ■
  定価 3,780円(消費税込・送料別)
 ■ 2.5キロサイズ(18粒程度です。) ■
  定価 5,670円(消費税込・送料別)

http://www.shimanto-net.com/doc/goods/hamaguri.html
四万十河口近くの入野海岸産、1キロ3千円まで
(入荷は不規則、潜水漁なので冬場はきついかも)

島根県益田市沿岸産のは
http://nomura-sengyo.jp/shop/shop.php?mode=4
キログラム単価2000円と表示(現在在庫なし)

地ハマグリの方の販売単価は、キロ1800円から5000円まで開きがあります。
貝の大きさで値段がぐっと変わりますね。

ハマグリとチョウセンハマグリを比較すると、殻の膨らみかたが明瞭に違いますし、殻自体の厚みも違っていて、全体の重さに対する身の重量は(データをとっていないのですみませんが)ハマグリのほうがかなり大きいだろうと思っています。
可食部の重さ当たりの単価として計算すれば、ハマグリの方が高くても結果的に両者にそれほど差がないだろうと考えられます。
ハマグリとチョウセンハマグリは共に夏場に産卵期を迎えます。
秋から冬は身が痩せているはずであって、春先がもっとも食味が良いのではないでしょうか。ひな祭りにあわせて食べる習慣はこの点で理にかなっていると思います。
現在、研究用に特に欲しいのは、八代海産のハマグリです。
ネットで販売してもらえそうなお店が見つかりませんので、情報を求めています。
紹介が遅れましたが、私のハマグリの頁です。
 http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~coral/Meretrix/MeretrixPortal.htm
jiro 2005.01.03 波平さんに同じでありました。
我が家にも日頃は寄り付かない娘どもが、二人きておりまして、珍味を喜んでくれました。親のうちへ行くと旨いものがある。というメッセージを発することができました。
しかし、あれだけ大きくても、碁石にはなりそうにない。
一体、日向ハマグリと言うのはどんな大きさだったのだろう。
宮城の小野寺 2005.01.15 今では希少となった日本在来種のチョウセンハマグリが、こちらの海に生息していることをお知らせしました。
 http://www7.ocn.ne.jp/~sophia/hamaguri_2004.Dec.htm

このハマグリを守りながら、水産資源として活用していくために、「ハマグリの会」設立へむけての活動が始まりました。
 http://www.sanriku-kahoku.com/news/2005_01/k/050112k-hamaguri.html

現在十数名の漁師たちの協力を得ることができ、今後は他の漁師たちにも呼びかけながら、具体的な活動内容や規約を決めていく予定です。

さて、会の発足にむけて、また多くの方に当地のチョウセンハマグリを知っていただくために、ハマグリを皆様に召し上がっていただきたいと思います。
会に賛同した漁師たちの協力で、ある程度の数量を確保しておりますので、ご希望の方はぜひお申し込みください。価格は、前回と同じ2000円(送料別)です。
宮城の小野寺 2005.01.22 低気圧も去って、ようやく海に穏やかな表情が戻ってきました。
今回の低気圧は、堤防を越える高波が襲い、港内に係留されていた船が転覆するなどの被害がでるほどでした。
ハマグリの砂浜でも、場所によっては波で砂が洗い流されて砂利が露出しているところもあり、ハマグリが無事でいるかどうか心配な状況です。

さて、ちょっと間があいてしまいましたが、北限の「チョウセン」ハマグリ第3回目を報告します。
(3)密漁
今期ハマグリの漁へ出てから、これまでとは違う状況に気づきました。
まず、獲れる数が少ない。そして、大型のハマグリ(6cm以上)ばかりで小さなものがない。昨年であれば、いろいろなサイズのハマグリが獲れたのですが、なぜか小型のものがほとんどないのです。
ここの漁法は、前回お知らせしたように1個1個を鉤で獲る漁法ですし、この漁に出る漁師も20名ほどですから、一度になくなるということはありません。
不思議に思って漁協に問い合わせてみると、相当量が密漁で獲られているというのです。
ここでハマグリが獲れることを聞きつけて、潮干狩りの時期や海水浴の時期に大勢の人間が集まり、獲り放題の状態になってしまったのだそうです。
また、夜間組織的に密漁している輩(やから)もいるとのこと。
それだけわかっていながらなぜ対策をとらないんだと、組合の職員に問うたのですが、ハマグリは経済資源にはなっていない(組合の手数料収入にならない)し、獲る組合員も限られているので、組合として対策や監視体制はとれない、と言われてしまいました。
それはともかく、ハマグリの稚貝は波打ち際の浅瀬で育ちますから、この稚貝が密漁されていたことになります。
今年捕れるハマグリがサイズの大きなものだけで、小さなものがありませんから、この密漁によって稚貝が根絶やしにされている危険性がでてきました。

通常、貝類は何年かごとに増減を繰り返すというサイクルがあり、稚貝の減少をすべて密漁に求めることは検証の難しい問題ではあるのですが、浅瀬で育っていた稚貝のほとんどが密漁で捕られてしまったとするなら、これから成長して親貝になる貝がいなくなってしまうことになります。
稚貝が捕り尽くされたすると、深いところに残っている親貝だけを私たちが捕っていることになります。これでは、新たに補充をしないまま、在庫を一掃するようなものですから、下手をすると貴重なハマグリが消えてしまうことになりかねません。
そんな危機感を抱いたものの、組合はあてにならず、かといってそのままにしたのでは貴重な水産資源が消えてしまいかねませんから、漁師仲間に呼びかけて「ハマグリの会」を立ち上げ、保護にのりだすことにしたわけです。
ということで、次回はこのハマグリの会ついて報告します。
宮城の小野寺 2005.01.26 HPに新たに「ハマグリ」のページを掲載しましたので、ご覧ください。
 http://www7.ocn.ne.jp/~sophia/sea_renaisance.htm
琵琶湖オオナマズ 2005.01.28 遅まきながら、三陸のチョウセンハマグリを食べましたので、ご報告致します。
 http://f26.aaa.livedoor.jp/~tingyo/sanrikuhamaguri/sanrikuhamaguri.htm

まず、大きいのにビックリしました。いちばん大きいのは、150gありました。
僕の携帯電話はFOMAで大きめなんですが、FOMAと同じぐらいの大きさでした。
味は、どういうわけか、塩分が少ないようで、わずかに甘みを感じました。
ハマグリの味自体は濃厚で、焼いても潮汁にしても美味しかったです。
面白いことに、潮汁が一個分(一人前)だけ残ったんですが、それを翌日朝に食べたら、なんとなく当日より美味しいような気がしました。気のせいかな?
このハマグリはいいですねえ。
小野寺さんの、資源の保全とブランド戦略が成功すればいいですね。
小野寺@ハマグリの会(宮城) 2005.02.14 地元のチョウセンハマグリを水産資源として保護、活用し、生息海岸の保全するために、ハマグリの会が発足しました。
 http://www7.ocn.ne.jp/~sophia/sea_renaisance.htm
今月28日(月)、当会の最初の事業としてハマグリの汀線調査を、以下の要領で行ないます。
地元の中学生82名がその調査にあたるという大掛かり?な調査です。
どんな調査結果がでてくるか楽しみではあるものの、砂浜の調査なんてはじめてのことで、何をどうすればよいのか準備に戸惑うことばかり…。
詳しい内容については後ほどお知らせしますが、調査方法やデータの取り方などについて、ぜひ皆様のご助言、ご協力をお願いします。

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大谷長須賀に生息するハマグリの汀線調査

 本吉町北端に広がる砂浜(長須賀)には日本在来種であるチョウセンハマグリが生息しております。
この20年ほど環境の悪化のためか漁獲のない状況が続いていましたが、3年ほど前からまた生息数が増えてきました。
 このチョウセンハマグリのことをあらためて調べてみますと、いまや希少種となったハマグリであり、また北限に棲息するハマグリである可能性もでてきました。
ところが、ようやく再生してきたハマグリが波打ち際で密漁のために稚貝が激減し、また消滅する怖れがでてきたのです。
そこで、貴重な水産資源であるこのハマグリを守り、活用を図ることを目的として大谷本吉漁業協同組合に「大谷ハマグリの会」が発足いたしました。
 当会では、長須賀に生息するチョウセンハマグリの保護育成に向けて、下記のように汀線(波打ち際)での生息状況を調査を行なうことにしました。
今回の調査ではまた、地元の子供たちに地域の海岸とそこに生息するハマグリなどの生物についての関心を深めてもらうために、大谷中学校の生徒(1・2年生)が調査を行います。



1.調査の名称
大谷長須賀に生息するハマグリの汀線調査
2.調査の内容
 長須賀に生息するチョウセンハマグリの汀線(潮間帯)における生息状況を調べる。
3.調査者
 大谷中学校1・2年生(82名)
4.開催日時
  2005年2月28日(月)(中止の場合は次年度5月に延期)
 10時30分〜12時30分
5.会場
 ・大谷中学校(本吉町三島60−4 電話44−2004)
 ・大谷長須賀(沖の田)
6.主催
 大谷中学校
 大谷ハマグリの会(大谷本吉漁業協同組合)
7.協力
 気仙沼水産試験場
 気仙沼地方振興事務所 水産漁港部
8.後援
 本吉町、本吉町教育委員会
9.連絡先
 大谷ハマグリの会(担当:小野寺:080−5569−5048)
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小野寺@ハマグリの会 2005.03.04 昨日、中学生のハマグリ汀線調査を行ないました。
汀線(波打ち際)にハマグリの稚貝がどれだけ生息しているかを調べるもので、今回の調査は、地元大谷中学校の生徒82名(1・2年生)が行いました。
写真をこちら(↓)のページの「ハマグリ」に掲載しましたので、ご覧ください。
 http://www7.ocn.ne.jp/~sophia/sea_renaisance.htm

晴れてはいたものの、気温6℃という寒い中の調査でしたが、それでも裸足で水の中に入って砂を掘り返すという元気な子もいました。
あとでカゼをひかなければよいのですが…。

調査は無事終了しましたが、心配した通り、やはり稚貝が出てきません。
調査地点より数メートル沖からは、大きな貝が見つかりましたが、それでも稚貝はないという状況です。
協力してくれた気仙沼水産試験場の研究員によると、1月と2月に2度続いた低気圧による時化のために、沖へ運ばれた可能性も否定できないため、一概に密漁によるものとはまだ判断できないとのこと。
5月にまた再調査を行ないますが、結論はそのときまでお預けです。
ハマグリ漁もあと一月。
低気圧も去って、ようやく漁にでることのできる状態になりました。
明日にでも、様子を見てハマグリ獲りにでてみるつもりです。
小野寺@ハマグリの会 2005.03.04 今回のハマグリ調査に合わせて、地元紙に「蜃気楼をつかめ」と題して連載しました。
こちらは一般向けの内容です。
調査と同じページにありますので、こちらもご覧ください。
 http://www7.ocn.ne.jp/~sophia/sea_renaisance.htm





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