養殖ブリ類の身の中にある異物は?
投稿者 | 投稿日 | 投稿内容 |
琵琶湖の小鮎 | 2000.08.16 | 養殖関係の方にお尋ねいたします。 ブリやカンパチの身の中に、木屑のようなものが入っていることがあります。 私が現役の頃は、これが多かったのですが、最近はあまり見かけませんでした。 ところが、先日、養殖カンパチにこれがあり、苦情(異物混入)返品になりました。 昔に聞いたところでは、「打ち身で、内出血した跡」とか、「寄生虫が死んだ跡」 とからしいのですが・・・・・ なぜこういうことが起こるのか、そのメカニズムをご存じの方はおられないでしょうか。 |
海童@しまなみ海道 | 2000.08.22 | >ブリやカンパチの身の中に、木屑のようなものが入っていることがあります。 「木屑のようなもの」とは硬いものでしょうか。 それと、色と大きさは どうでしょうか。また、筋肉内全体に多数見られますか。 >昔に聞いたところでは、「打ち身で、内出血した跡」とか、「寄生虫が死んだ跡」 >とからしいのですが・・・・・ 硬くなく、1〜2mmの乳白色で、筋肉内全体に斑点状に見られるようでしたら、 寄生虫の可能性があるように思います。 |
琵琶湖の小鮎 | 2000.08.22 | > 「木屑のようなもの」とは硬いものでしょうか。それと、色と大きさはどうでしょうか。また、筋肉内全体に多数見られますか。 文字どおり、木屑のような色(緑っぽい茶色)で、手で押せば崩れます。 大きい物で、直径5ミリくらいでしょうか。 筋肉全体ではありません。単発です。 > 硬くなく、1〜2mmの乳白色で、筋肉内全体に斑点状に見られるようでしたら、寄生虫の可能性があるように思います。 これとは違うようです。 ちなみに、この寄生虫はなんという寄生虫でしょうか。 |
かに@沖縄 | 2000.08.22 | > ちなみに、この寄生虫はなんという寄生虫でしょうか。 南西諸島あたりでは、アマミクドアという寄生虫のシストが報告されています。 |
海童@しまなみ海道 | 2000.08.23 | >文字どおり、木屑のような色(緑っぽい茶色)で、手で押せば崩れます。大きい物で、直径5ミリくらいでしょうか。筋肉全体ではありません。単発です。 そうですか。 現物を見ないとよくわかりませんが、もしかしたら、 寄生虫の死骸かもしれません。 筋肉内、とくに血合いにあれば線虫、内臓の周囲にあれば嚢(のう)虫の死骸の可能性があると思います。 嚢虫は死ぬと緑っぽくなったのち、茶褐色に変わるようです。押せばつぶれます。 > ちなみに、この寄生虫はなんという寄生虫でしょうか。 これは、かに@沖縄様がお答え下さったとおり、クドア症(原因は原生動物、 粘液胞子虫のKudoa amamiensisのシスト)を考えておりました。 |
琵琶湖の小鮎 | 2000.08.23 | > 筋肉内、とくに血合いにあれば線虫、内臓の周囲にあれば嚢(のう)虫の死骸の可能性があると思います。 筋肉内です。 先日のは、いわゆる「身」の部分で、血合いとか、内蔵の周囲ではありませんでした。 > 硬くなく、1〜2mmの乳白色で、筋肉内全体に斑点状に見られるようでしたら、寄生虫の可能性があるように思います。 これは、かに@沖縄様がお答え下さったとおりクドア症 (原因は原生動物、粘液胞子虫のkudoa amamiensisのシスト)を考えておりました。 これは、今後のために、覚えておくことにします。 |
かに@沖縄 | 2000.08.24 | アマミクドアについては、1975年の沖縄海洋博覧会において、海洋牧場構想というのか、沖縄の海でブリの大規模な養殖を行った際、
出荷しようとしたほとんどのブリ(ハマチ?)の筋肉に、そのシストが 見られたために全てを処分した、ということから認識が深まりました。
アマミクドアの本来の中間宿主は、スズメダイの仲間とされていますが、スズメダイ一尾に大量のシストが見られたという例はあまりないようで、ブリはこの寄生虫にとって、居心地の良い宿主であるようです。 高い感受性を示す、と言うのでしょうか。同じ条件で飼育しても、カンパチにはブリほど一尾に大量が寄生しないようです。 90年代(まだ使い心地がよくない言葉ですね)半ば頃に、本土の業者が東南アジア産カンパチ種苗を水温の高い沖縄に一度入れ、少し育成した後、本土に移動しようとしたので、行政等、関係機関は危機感を持ちました。 もしも沖縄経由でアマミクドアに感染したカンパチが、本土のブ リ・カンパチ養殖場に移されて、この寄生虫がそこで蔓延したらどうする? また沖縄で感染しなくても、天然種苗が既に同じような寄生虫を持っていたら? 関係機関のその後の調査で、この感染症が高い頻度で出現するのは沖縄のごく限られた海域であり、他海域ではほとんど出現しないこと、感染魚から健康魚への水平感染はしないこと等がわかってきたようです。 現在、沖縄で育てたブリ・カンパチの種苗や活魚の本土への販売は行われていないし、県内消費用としてカンパチ養殖を行っている場合でも、 クドアが問題となった話は聴きません。 |
海童@しまなみ海道 | 2000.08.24 | > アマミクドアについては、1975年の沖縄海洋博覧会において、海洋牧場構想というのか、沖縄の海でブリの大規模な養殖を行った際、出荷しようとしたほとんどのブリ(ハマチ?)の筋肉に、そのシストが見られたために全てを処分した、ということから認識が深まりました。 そうでしたか。 > アマミクドアの本来の中間宿主は、スズメダイの仲間とされていますが、スズメダイ一尾に大量のシストが見られたという例はあまりないようで、ブリはこの寄生虫にとって、居心地の良い宿主であるようです。高い感受性を示す、と言うのでしょうか。同じ条件で飼育しても、カンパチにはブリほど一尾に大量が寄生しないようです。 奄美クドア(Kudoa amamiensis)の天然宿主はスズメダイ、ロクセンス ズメダイ、オヤビッチャなどのようですね。でも、どうしてブリを好むのでしょう。 > 関係機関のその後の調査で、この感染症が高い頻度で出現するのは沖縄のごく限られた海域であり、他海域ではほとんど出現しないこと、感染から健康魚への水平感染はしないこと等がわかってきたようです。 奄美クドアは、文字どおり奄美・沖縄方面でだけ見られるようですが、南九州沿岸でイシガキダイとマダイの筋肉内に別種のクドアのシストが発見されています。 また、本州、四国、九州ではブリの筋肉内ではなく、主に心臓の外膜にシストが見られる囲心腔クドア(K. pericardialis)があるようです。 それと、 養殖トラフグでも別種の囲心腔クドアが報告されています。 いずれにしても、これらクドアの生活環は不明な点が多く、対策は立てられないようですが、どなたかご存知でしたらお教え下さい。 |
琵琶湖の小鮎 | 2000.08.25 | ブリ類の寄生虫について、関連質問をさせてください。 ブリ類の寄生虫と言えば、「ぶり糸状虫」が代表的です。 ところで、「ぶり糸状虫」ですが、私の経験では、天然ブリには多くて、養殖ブ リにはほとんどいないのですね。 最近では、天然のカンパチにも、よく寄生しているようです。 「ぶり糸状虫」は、養殖魚には寄生しないでしょうか。それとも、管理の問題なのでしょうか。 |
海童@本日は因島大橋近く | 2000.08.27 | >ブリ類の寄生虫と言えば、「ぶり糸状虫」が代表的です。 養殖ブリでは「はだむし」がよく見られると思います。 >「ぶり糸状虫」は、養殖魚には寄生しないでしょうか。それとも、管理の問題なのでしょうか。 ブリ体内の糸状虫(Philometroides seriolae)は母虫で、主に初夏、虫体をブリ体外に出して子虫を海水中へ放出するようです。 子虫は橈脚類(中間宿主)に摂取され、これをモジャコが食べて感染すると考えられているようです。 ・・・なので、子虫感染モジャコ(区別はつかない)を種苗に用いた場合には、養殖ブリでもこの寄生虫は見つかります。 なお、駆虫薬は無いようです。 |
琵琶湖の小鮎 | 2000.08.27 | > 養殖ブリでは「はだむし」がよく見られると思います。 そうですね。 しかし、「はだむし」は、「養殖場段階」での寄生虫で、消費レベルでは関係ないですね。 寄生虫には、魚の生産にかかわる寄生虫と、消費にかかわる寄生虫があると思うのです。 われわれのところで問題になるのは、消費にかかわる寄生虫です。 > ・・・なので、子虫感染モジャコ(区別はつかない)を種苗に用いた場合には、養殖ブリでもこの寄生虫は見つかります。なお、駆虫薬は無いようです。 うーーん、かなり難しい寄生虫ですね。 駆虫薬がないというのは・・・致命的ですね。 |
海童 | 2000.08.28 | >われわれのところで問題になるのは、消費にかかわる寄生虫です。 私は養殖物を見ることが多く、はだむしをすぐ思い浮かべますので、単にそのように書きました。 おっしゃるとおり、消費段階ではとくに問題ではないですね。 未感染モジャコが養殖種苗となれば、その後は魚肉ミンチや配合飼料で育ち、感染の機会がほとんど無くなると思います(中間宿主からかなり隔離される)。 そのため、感染の機会の多い天然物のほうが感染率は高くなるのではないでしょうか。 |
海道@尾道近く | 2000.08.28 | ブリの寄生虫のことを考えていて、ふと2つのことを思い始めたので、質問させてください。
ご存知の方、教えて下さい。
|
琵琶湖の小鮎 | 2000.08.28 | > カツオの筋肉内嚢虫は減っていませんか? これって、腹の部分を中心に寄生している、白い米粒みたいなやつのことですか。 たしか、「ニベリニア」or「テンタクラリア」の幼生かと・・・・・・ > カツオでよく見られるでしょうか。消費段階で問題にはならないのでしょうか。個人的には年々見かけなくなっているように思うのですが・・・。 そういえば、昔ほどこの件での苦情があがると言うことは無いようですね。 |
琵琶湖の小鮎 | 2000.08.28 | > 私は養殖物を見ることが多く、はだむしをすぐ思い浮かべますので、単にそのように書きました。おっしゃるとおり、消費段階ではとくに問題ではないですね。 あのメールを出した後で考えたのですが、我々、いはば「消費段階」にいる者にとっては、生産段階で問題になる寄生虫には全くと言って興味がありません。 というより、ほとんど「知らない」のが現実でしょう。 (興味があるのは、フグのエラムシくらいですか・・・それも、ホルマリンが問題になっているから、エラムシに興味を覚えるのですよね。) 逆に、生産段階では、消費の時点で問題になる寄生虫について、どの程度、気にして下さっておられるのでしょうか。 今回の「ぶり糸状虫」にしても、あの虫は大きいですから、寄生していれば切り身に穴が空いてしまい、片身単位でロスにつながります。(このロスを、流通のどのレベルが負担するのか、というのは、それはそれとして議論になると思いますが、今回は無視します。) これは、「寄生虫でのロス」では、最大に近いものです。 できれば、駆虫する事により、このロスを減らすことができれば、素晴らしいと思うのですが。 現状では、駆虫法がないと言うことですが、「駆虫法の研究」そのものは行われているのでしょうか。 > 未感染モジャコが養殖種苗となれば、その後は魚肉ミンチや配合飼料で育ち、感染の機会がほとんど無くなると思います(中間宿主からかなり隔離される)。そのため、感染の機会の多い天然物のほうが感染率は高くなるのではないでしょうか。 養殖現場では、モジャコが感染しているかどうかが分からないということですが、育成の途中での点検などは、当然、実施されているのでしょうね。 なぜ、この件にこだわるかと言いますと、数年前、熊本産の養殖ブリから、大量に「ぶり糸状虫」が出たのです。(それも、年末の忙しいときに(^_^;) 産地自体は信頼できるところだったのですし、なぜ、そうなったのか、自分としては理解ができなかったのです。 海童さんからお答えを頂き、だいぶ分かってきましたが、駆虫の問題が解決しないと、同じ事がおこる可能性があるわけで、その点、やっぱり気になるところです。 |
海童 | 2000.08.30 | >これって、腹の部分を中心に寄生している、白い米粒みたいなやつのことですか。たしか、「ニベリニア」or「テンタクラリア」の幼生かと・・・・・・
説明不足でした。私が考えていたのは条虫のNybeliniaよりもTentaculariaのほうの幼虫である嚢虫です。 そのとおり白い米粒様で、取り出すと少し動きます。 ずいぶん昔(10年以上も前)、高知在住の頃、魚屋やスーパーに半身で並んでいるカツオの多くに寄生していたように記憶しています。 魚屋は「これがいるほうが美味しいんだ」と言って、平気で売ってました。 消費者もあまり気にしてなかったのかも・・・。 >そういえば、昔ほどこの件での苦情があがると言うことは無いようですね。 食品への異物混入に対して、異様なまでに国民が監視している昨今では、 寄生虫もすぐに問題視されると思うので、もしかしたら、自然界で減っているのかもしれませんね。 |
琵琶湖の小鮎 | 2000.08.30 | > 私が考えていたのは条虫のNybeliniaよりもTentaculariaのほうの幼虫である嚢虫です。そのとおり白い米粒様で、取り出すと少し動きます。 あ、あれはテンタクラリアが正しいのですね。 > 魚屋は「これがいるほうが美味しいんだ」と言って、平気で売ってました。消費者もあまり気にしてなかったのかも・・・。 それは、高知という土地柄だからでしょう。 うちのところでは、ちょっとでも残っていたら苦情になりますので、腹の部分は大胆にカットしていますよ。 だから、本カツオは、ヨコワやびんちょう等に比べると、歩留まりが悪いのです。 片身いくらで売れば、歩留まりは関係ないですけどね。 > 食品への異物混入に対して、異様なまでに国民が監視している昨今では、 ちょっと、異常すぎるのではないかと思ってます。 > 寄生虫もすぐに問題視されると思うので、もしかしたら、自然界で減っているのかもしれませんね。 寄生虫は、いはば「いて当たり前」のものでしょ。 それまで「やり玉にあがる」とすれば、これはもう、常軌を逸してると思いますが。 私は、今の状況は、そのうち「国際的な批判」にさらされるような気がしています。 なぜなら、一方では「飢餓」の世界があり、一方では、ちょっとした異物混入で、何万個という食物が廃棄処分にされる。 これは、国際的な矛盾ですよ。 「自然界で減っている」という推測について、何か、根拠のようなものをお持ちなのでしょうか。 もしありましたら、教えていただけますか。 |
海童 | 2000.08.30 | >我々、いはば「消費段階」にいる者にとっては、生産段階で問題になる寄生虫には全くと言って興味がありません。というより、ほとんど「知らない」のが現実でしょう。 私も逆に消費段階で今何が問題かを知りませんので、ぜひ教えてください。 >生産段階では、消費の時点で問題になる寄生虫について、どの程度、気にして下さっておられるのでしょうか。 養殖魚ではウイルスや細菌が原因となる病気によるへい死が多く、これらがどう しても問題の中心になっているようです。 寄生虫の病気ではへい死することは比較的少ない(例外はあります)ので、これらの対策を考えたり、基礎研究を行う養殖業者や研究者は少数のように思います。 前述のアマミクドアのように、とくに食品衛生上問題になり産業的に被害が出るようなら話しは別かもしれませんね。 >現状では、駆虫法がないと言うことですが、「駆虫法の研究」そのものは行われているのでしょうか。 ブリ線虫(糸条虫)に対する駆虫法の研究は聞いたことがありません。 現状では、母虫が産子のためにブリ体外へ出たあとの自然治癒を期待するだけのようです。 >養殖現場では、モジャコが感染しているかどうかが分からないということですが、育成の途中での点検などは、当然、実施されているのでしょうね。 ブリ線虫のための保虫検査はされていないと思います。 一部のブリを出荷して、発見されてわかるのではないでしょうか。 ブリに限らず、種苗生産のための親魚や放流魚では、とくに問題となっているウイルスや細菌の保菌検査は実施されています。 寄生虫については、養殖ではへい死があったときに、へい死の原因として検査されるのが一般的と思います。 研究段階では一部の寄生虫に対する抗体検査法は確立されていますが、今後養殖漁業でどれだけ取り入れられるようになるでしょうか。 >なぜ、この件にこだわるかと言いますと、数年前、熊本産の養殖ブリから、大量に「ぶり糸状虫」が出たのです。(それも、年末の忙しいときに(^_^;) 産地自体は信頼できるところだったのですし、なぜ、そうなったのか、自分としては理解ができなかったのです。 そうでしたか。 |
海童 | 2000.08.30 | >それは、高知という土地柄だからでしょう。 前のメールでそう書きたかったのですが・・・。 >うちのところでは、ちょっとでも残っていたら苦情になりますので、腹の部分は大胆にカットしていますよ。だから、本カツオは、ヨコワやびんちょう等に比べると、歩留まりが悪いのです。 そういうことですか。 >寄生虫は、いはば「いて当たり前」のものでしょ。それまで「やり玉にあがる」とすれば、これはもう、常軌を逸してると思いますが。 潔癖症の人には寄生虫はいないかも・・・。 三陸在住の折り、定置網にときどき(初夏から秋にかけて)マンボウが入り、 小型のものはタダでもらったりして、自分でさばいて身は刺身にして食べてましたが(これが非常にタンパクだけども美味しい、ちょっと水っぽい。腸も湯引きして酢味噌でいただくと最高)、マンボウは寄生虫の宝庫で、よく知らない何種類もの寄生虫を引っぱり出して楽しんでいました。 >「自然界で減っている」という推測について、何か、根拠のようなものをお持ちなのでしょうか。 根拠はありません。 でも、自然界での前々宿主(橈脚類?)、前宿主(イワシ?)、 中間宿主(カツオ)、あるいは終宿主(サメ、エイ)に何か変化があれば、この嚢虫にも影響があるかもしれないと思います。宿主あっての寄生虫ですから。 |
琵琶湖の小鮎 | 2000.09.01 | > マンボウは寄生虫の宝庫で、よく知らない何種類もの寄生虫を引っぱり出して楽しんでいました。 研究者の方は、こういう感覚なんですよね。 以前にも、どなたかが、こういうような投稿をされておりましたね。 私などは、アニサキスが元気に動いているのを見てから、タラの白子を食べなくなりましたし、タラ自体も苦手です。 やっぱり、「慣れ」って恐ろしいですね。 |
琵琶湖の小鮎 | 2000.09.01 | > 養殖魚ではウイルスや細菌が原因となる病気によるへい死が多く、これらがどうしても問題の中心になっているようです。寄生虫の病気ではへい死することは比較的少ない(例外はあります)ので、これらの対策を考えたり、基礎研究を行う養殖業者や研究者は少数のように思います。 これはこれとして、しかたが無いことだとは思います。 しかし、養殖業者の方も研究者の方も、末端に目を向けて頂きたいとも思います。 ぶり糸状虫については典型的な例ですが、それ以外にも、末端では分からないことがいっぱいあります。 できれば、末端・消費者レベルで困っている?ことについて、研究のひかりを当てていただければありがたいと思います。 たとえば、ジェリーミートの件。 これは比較的オープンになっていることですが、それでも、わからないことがあります。 春先に、境港から入荷する松葉かれい(メイタガレイ=天然魚です。)に、ジェリーミートが多発します。 見たところ非常に綺麗で、鮮度バリバリと思えるのに、火を入れると崩れてしまうのです。 荷受けを通じて、質問を出すのですが、まともな回答はありません。 ですから、この時期の松葉かれいの仕入れは、大胆に行うことができません。 こんなこと、研究者の方はご存じでしょうか。 産地の方は、たぶん、クレームが多いので知っておられると思うのですが・・・ > ブリ線虫のための保虫検査はされていないと思います。一部のブリを出荷して、発見されてわかるのではないでしょうか。 現状ではそういう事なのでしょう。 しかし、これでは、我々は困るのです。 年末、ブリはたくさん売れます。 むかし、あるお店で、12月30日に60本のブリをおろしたことがあります。 この頃は、フィレなどなく、すべて丸からおろしました。 (一人で60本というのは、けっこうしんどいですよ。すべて、切り身にまでするのですから。) これだけ売れるときに、もし、寄生虫が大量に入っていたら・・・もう、パニックです。 末端のこうした状況を理解していただき、こうした面での研究が進められることを願いたいと思います。 > 研究段階では一部の寄生虫に対する抗体検査法は確立されていますが、今後養殖漁業でどれだけ取り入れられるようになるでしょうか。 養殖魚は天然魚とは違います。 天然魚なら許容できても、養殖魚では許容できないことがあります。 末端にとって「完全な製品」を出荷するために、可能な努力をされることを期待したいものです。 ちょっと、厳しいことを書きすぎたかもしれません、ごめんなさい。 |
海童@明日から名古屋 | 2000.09.05 | >私などは、アニサキスが元気に動いているのを見てから、タラの白子を食べなくなりましたし、タラ自体も苦手です。
>やっぱり、「慣れ」って恐ろしいですね。 以前、研究室の学生がサバを食べたあと、胃に激痛が走り苦しんだ末、医者にアニサキスを取ってもらったことがあります。 その後、彼は憎きアニサキスを宝物のように大切にしていました。 私はアニサキスをたまにみつけても、幸いにも被害にあったことはありません。 でも、皆さんもよくご存知の目黒寄生虫館を訪ねたときに、アニサキス入りのキーホルダーを見つけて、つい買ってしまいました。 ただ同館では、確か長さ88mのサナ ダムシの標本を見たときに、少しはぞっとした記憶があります。 |
海童@明日から名古屋 | 2000.09.05 | >末端・消費者レベルで困っている?ことについて、研究のひかりを当てていただければありがたいと思います。 おっしゃるとおりだと思います。 養殖業者さんも、生産した魚の評判が悪ければそれなりに対策を考えられて、改善するように努力されると思います。 当然、産業的に大きな被害となれば(線引きは難しいでしょうが)、公的機関や大学などの研究者が係わってくるでしょう。 問題はそれほど大きな被害ではない場合で、とくに学術的に興味のある研究者がおられれば(例えば寄生虫大好きな専門家)、その方に相談することが可能でしょう。 でも、それほどの専門家がいない場合には、そのための調査、研究を開始しなければならない訳で、ときにはこの労力と費用を誰が負担するのかという問題があると思います。 >たとえば、ジェリーミートの件。 私はジェリーミートについては詳しく知りません。 せいぜい原因の一つとして、寄生虫(胞子虫)の出すタンパク分解酵素があるということぐらいです。 お尋ねのメイタガレイのジェリーミートの原因については、解明されていないのではないでしょうか。 なお、場合によっては風評被害を恐れて、いろんな事実を公にしないということもあるかもしれないと思います。 そうなってくると、積極的な対策は実施できないですよね。 |