ホルマリン使用と海の汚染について

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とんちゃん 2002.08.11 去年は,天草の「とらふぐ」を下関の加工業者で商品化していただいたのですが,今年は,河豚の状況も思わしくないようですし特定のところでの数量の確保も難しいようですね。
今年は,中国物もこれまで以上に混じって出荷されるようです。
その上,世間の状勢が状勢ですし,私は嘘を絶対つかないし,正直に消費者の方がたに情報と商品を提供したいのです。
すると自分なりに納得するまでとことん調べないと,結果的に嘘をついた事になってしまいかねません。
そこで,松本さんに質問なんですが,私の行った池では,ホルマリン等の薬品は使っていないとの確認をさせていただいたのですが,松本さんの書いておられるように,口には出さないが一般的には使っているのが大多数なのでしょうか?
そして,中国のふぐの池入れは,やはりかなり多くなっているのでしょうか?
(特定の産地に多いと聞いていますが)
松本 2002.08.19 全国の、全部の養殖場を見た訳ではないので全部が絶対ホルマリンなどを使っているとは断言できません。
ただ、2〜3年前まで全国一の産地であった熊本のトラフグ養殖業者の人の話では見栄えのいい養殖トラフグを出荷するには絶対ホルマリンは欠かせないということでした。
熊本では私たちの活動などの結果からか2000年4月から海区漁業調整委員会によってホルマリンの使用禁止の指示が全国で唯一発令されているのですが、それでも発覚しただけでこれまで2件の違反が明らかになっています。
その中で違反者が異議申立て書に付与した資料では@ホルマリンを使用した飼育歩留り率とA唯一認可されているマリンサワー-SP30を使用した飼育歩留り率が記載されており、@では平均70〜80%、Aでは平均15〜20%、人によっては全滅というケースもあり、マリンサワー-SP30では飼育魚が死ぬ、もし生き残っても見てくれが悪く商品価値が激減する、よってホルマリンなしではフグは飼えない、と主張するものでした。
熊本では3年前のホルマリン使用発覚から業者に在庫を提出させ、その中から無登録販売のものが見つかり書類送検〜略式起訴事件まで起きています。
これほどのリスクを犯してまで使ってしまうのはやはりホルマリンなしではまともな飼育は不可能に近いという風に考えられないでしょうか?
確かに水産庁からはホルマリンを使わないようにとの通達が1981年から5回も出ています。ということは問題が解決していないことの証です。
また、BSE発生以前に肉骨粉使用禁止の農水省通達が出されていましたが、通達というものは単なる行政のお願いでしかありません。よって、結果的には現場では全く無視されていたのが畜産現場の実状ではないでしょうか。
ホルマリンに関する通達も熊本以外では全く規制はなく、あっても漁協内の行使規則で決めている程度で漁協長や理事がトラフグ養殖をしていたりすればあまり実効は挙がらないと思わざるを得ません。(愛媛では海水浴場からもホルマリンが検出されました。)
ただ、シックハウス症候群や化学物質過敏症を引き起こすホルマリンがとらふぐ養殖に使われているということを消費者の多くが知ってしまったら、非常に販売に影響することが数年前の騒ぎからトラフグ業者自身が学んだため、使っていないといわざるを得ない、というのが正直なところだと
思います。
ホルマリンがトラフグやひらめの寄生虫駆除に有効だとの記述は複数の魚病図鑑でも載っています。寄生虫駆除にホルマリンを使う初めの情報は水試職員や大学の研究者から伝わったと聞いています。

> そして,中国のふぐの池入れは,やはりかなり多くなっているのでしょうか?
すみません。中国のことはよく分かりません。
ただ、一般的に養殖魚に関してあまりにも情報開示が遅れており、頑張って無投薬〜低投薬のものを作っても末端ではほとんど差別化されない、という嘆きをよく現場の業者の人から聞きます。
ある人は日本の沿岸漁場がむちゃくちゃ公共事業などで破壊され、その惨状を隠蔽するためにどんどん輸入水産物を入れているといっていましたが、妙に納得してしまいます。
ホルマリンを使った養殖魚の食品としての安全性も気になるところですが、一部の養殖魚に使用する薬品のせいで漁場がどんどん破壊されてゆくのは何とか食い止めたいと思っているのですが、なかなかすんなり解決とはいきません。
わしやん 2002.08.19 どうしてとらふぐにホルマリンを使用するのでしょうか。
とらふぐのえらに寄生するえら虫(ヘテロボツリューム)がほとんどのとらふぐに発生するので、絶対にホルマリンなしには歩留りを確保することが出来ません。
私の養殖場でも発生しました。手のつけようがありませんでした。
原因は海で飼っていたとらふぐの稚魚を購入したのが原因でした。
私的意見ですが、とらふぐはホルマリンの使用なしには事業としてとらふぐを養殖するこは不可能です。
ホルマリンの使用により海は取り返しのつかない程ダメージを受け昔のきれいな海に戻るのに何十年も要するでしょう。マリンサワーも同様です。
しかし、ふぐ養殖業者はマリンサワーは効果がないと言っております。
従って、ホルマリンは禁止されていますが、使用しなければ生活が出来ないのです。
海を汚染しない養殖システムを皆が使用しない限り、海は年を追うごとに魚が生息できない状態になって行くことでしょう。
福山 2002.08.19  他の養殖業者さんのことは余りわかりませんので、少し私の養殖のことについて述べさせていただきます。
 私はぶり、とらふぐともに無投薬で育てています。
 ホルマリン、マリンサワー、網の防汚剤にいたるまで一切使用していません。
 魚は死のうが死のうまいが、とにかく薬は使用しません。
 「無投薬で養殖する」から私の養殖スタイルは始まっています。
 
> とらふぐのえらに寄生するえら虫(ヘテロボツリューム)がほとんどのとらふぐに発生するので
> 絶対にホルマリンなしには歩留りを確保することが出来ません。

 私はとらふぐについては当歳魚のみの養殖ですが、ホルマリンもマリンサワーも一切使用していません。
 歩留まりは昨年度90%以上でした。 今期は今のところ100%の歩留りです。
 私は絶対という言葉嫌いです。

> 私的意見ですが、とらふぐはホルマリンの使用なしには事業としてとらふぐを養殖す
> ることは不可能です。

 不可能ではありません。 うちは昨年もとらふぐで利益出しました。
 不可能だとか絶対ダメだと思った段階で人は考える力をなくしています。
 私はホルマリン使わないで養殖するにはどうしたらいいかと考えたから今のスタイルがあります。 えらそうにいえるほどは儲けてませんが・・・・・

> ホルマリンの使用により海は取り返しのつかない程ダメージを受け昔のきれいな海に
> 戻るのに何十年も要するでしょう。マリンサワーも同様です。

 本当にそうでしょうか? 私はその辺の知識が乏しいので、もう少し科学的に教えていただけるとありがたいです。
 特にマリンサワーはそんなにダメージないような気がするのですが?!(使用を肯定してるわけではありません。)

> しかし、ふぐ養殖業者はマリンサワーは効果がないと言っております。
 マリンサワーは成虫は駆除できないと言われていますが、幼虫には効果があると聞いてますが・・・
 まず絶対できないと思っている心から直さないと、いつまでも薬品などに依存してしまうでしょうね。

> 海を汚染しない養殖システムを皆が使用しない限り、海は年を追うごとに魚が生息でき
> ない状態になって行くことでしょう。

 海を汚さない養殖システムだけではどうにもなりません。
 例えば地球温暖化など地球全体を考えた改善に取り組まないと養殖もダメになっていきます。
 養殖は環境がその成否を9割以上左右する自然に依存した産業です。
 私も温暖化の影響をもろ受けている気がしています。
 ぶり養殖最適地だった鹿児島錦江湾は今、ぶりよりも暖水系のかんぱちにシフトしています。
 ぶりには少し夏場の水温などが高すぎるようです。
 環境を中心に養殖を考えることは一番重要だと思います。
 今日、NHKでペンギンの番組がやっていました。
 その中で女優の菅野美穂さんがいいこと言ってました。
 「ペンギンのことが好きで、もっと知りたいと思っているうちに、地球環境のことを考えていた!」みたいなこと言ってました。
 私も魚のことを考えているうちにそういう思いになります。
 菅野美穂が好きになっちゃった!
 とらふぐの有名な産地でも、漁場を大切に使用しているところもあります。
 何事も一くくりで考える時代ではなくなってきていると思います。
 がんばられている人はいっぱいいます。 
琵琶湖オオナマズ 2002.08.20 この問題では、fishmlでも過去に大きな議論となっておりまして、下記に過去ログがあります。ご覧下さい。
 http://www.ne.jp/asahi/to/fishroom/fishml/hugudangi.htm

3年前に行われた論議ですので、今とは少し状況が変わっているかもしれません。
残念なことは、いまだに、ホルマリンの代替えがマリンサワーSP30しかないことでしょうね。
福山さんのような「無投薬養殖」がなぜ「目に見えるぐらい」に広がらないのか、そのあたりも検証する必要があるような気もしますが。
なお、ホルマリンとアコヤガイの斃死については、直接関係はないのではないかという説もあるようです。これについてご存じの方、情報提供をお願いいたします。
松本さんのお話はよくわかるのですが、松本さんのお立場もあり、かなり負の部分を強調されておられるような気もします。
養殖現場では、牛のあゆみかもしれませんが、徐々には改善の方向にむかっていると私は思っておりますが・・・・・
そのくみ 2002.08.20 みなさま、ご無沙汰しております。そのくみ、消費者です。
トラフグ養殖とホルマリン使用については、3年前にfishMLのスレッドで初めて知り、驚きました。それで、今回ホルマリンが禁止になっても依然使用されている実情を知り、またしても驚きました。
しかし、ホルマリンを使用せずに養殖している福山さんのような方もいてホッしてます。
ヘテロボツリウス症の予防としては、飼育密度を低下させる、生け簀の潮通しをよくすると良いそうですが、そうすると利益は少なくなるし経営的には大変だと思います。
でも、海を汚しながらの養殖は結局長く続けられないと思うので、フグ養殖業者の方には何とかホルマリンに頼らないで養殖してほしいです。
フグは好きなんですよ。
年末にフグを買ってフグ刺し、フグチリ(てっさ、てっちり)を食べるのが楽しみなんです。
天然フグはとても買えないだろうから、養殖フグを買うのですが、ホルマリンで海を汚染していると思うとフグ、食べられないなあ・・・。
福山さんのフグってそれなりの値段はするのでしょうか?
フグは高い魚ですが、我が家の予算で買えそうなら購入ルートを教えてほしいです。
2002.08.20 私も教えてほしいです。
1.リアル店舗
2.ネット通販
3.福山さんのフグを出しているお店(できれば、鹿児島空港からの所要時間が一時間以内の範囲で)
松本 2002.08.20 わしやんさんは八代のご出身だったのですか。
いま八代は新市長のもと、川辺川ダム反対へ大きくシフトしているようです。
あの巨大ダムができると八代海漁業は壊滅します。
ホルマリン問題、諫早干拓問題とともに何とかしたいと思っている問題です。
わしやんさんの場合、海面小割養殖ではヒラメやトラフグの無投薬は難しいと判断されて陸上の水槽養殖をされているのでしょうか。
いずれにせよ、どこかと契約飼育をなされているのですか、それとも市場に無投薬ということで差別化して出されているのでしょうか?
苦労が絶えず、リスクが大きくても長期的にみて無投薬の方が市場や消費者の信頼を得られ、トータルとしてこっちの方がいいんだという認識が広まってくれればいいのですが…
松本 2002.08.20 >  私はぶり、とらふぐともに無投薬で育てています。
>  ホルマリン、マリンサワー、網の防汚剤にいたるまで一切使用していません。
>  「無投薬で養殖する」から私の養殖スタイルは始まっています。

福山さんの基本理念として「無投薬」を実践されていることは本当に素晴らしいと思います。
私の知っている限り、多くの養殖屋さんは「なるべく多く儲けて」、「隣より速い船をつくり」、「隣より立派な家に住む」ことを目指しているように思います。
熊本の水産行政も実効性に富むきちんとした指導は行なっていないようです。
企業秘密的な部分もあろうかと思いますが、天草の養殖屋さんに「無投薬」の理念と実践を講演・指導していただきたい位です。

>  私はとらふぐについては当歳魚のみの養殖ですがホルマリンもマリンサワーも一切
> 使用していません。

養殖された当歳魚は食用として市場へ出荷されるのですか、2歳魚として飼育するどこかへ販売されるのですか?
もし、引き続きどこかで2歳魚として飼育するために販売されているならば、2歳魚の他の一般的に飼育されたものと歩留りは差が出るのでしょうか?
また、稚魚は特別に採苗されたものを購入あるいは自己採苗されているのですか?
さらに、無投薬ということで販売の際、一般飼育のものと差別化されていますか?

>  本当にそうでしょうか? 私はその辺の知識が乏しいので、もう少し科学的に教え
> ていただけるとありがたいです。

熊本県の水産研究センターが行なった実験では、たった0.05ppmのホルムアルデヒド濃度で植物プランクトンの1種はすでに増殖阻害が起きています。
行政は公的には認めていませんが、私たちは垂れ流されたホルマリンが海水中のたんぱく質などの有機物を結合して新たな反応物を生成し、ホルマリンは検出されなくなるもののその反応生成物自体が毒性を持ち、海底に蓄積しているのではないかと考えています。
事実、養殖場周辺の海底泥を抽出・分析するとホルムアルデヒドが検出され、その可能性が示唆されます。
海水中の化学物質の挙動はそれほど単純ではなく、ホルムアルデヒド⇒ギ酸⇒分解という一般的な過程を経ないのではないか、と言われています。
マリンサワーはよく分かりません。

>  まず絶対できないと思っている心から直さないと、いつまでも薬品などに依存してしまうでしょうね。
100%同感!!
そのような信念を天草の人たちにも植え付けていただきたいと思います。
別に私も養殖屋さんに敵対心を持っているわけではありません。
使わないと言いながら、ホルマリンという有害な劇物を食品となる養殖魚に用い、周辺の漁場をめちゃめちゃにするそのルール違反の行為を問題視しているのです。
多くの養殖屋さんのイケスがひしめき合っている天草では、福山さんのような粗放的な養殖は難しいかも知れません。
しかし、「無投薬」の基本理念が少しでも各地で広がるよう、今後ともよろしくお願いします。
松本 2002.08.21 > 福山さんのような「無投薬養殖」がなぜ「目に見えるぐらい」に広がらないのか、
> そのあたりも検証する必要があるような気もしますが。

全く、おっしゃる通りだと思います。
特に食品の安全性に多くの消費者の厳しい目が向けられるようになった現在、トータルでは「無投薬養殖」の方が信頼性、永続性の点で優れているという認識がもっと広がって欲しいと思います。
1999年に成立した「持続的養殖生産確保法」(養殖新法)の漁場改善計画も、県によってはまだほとんどでていない所もあるらしく、もう少し実効性を持たせるためには、規制をかけることも必要ではないかと思います。

> なお、ホルマリンとアコヤガイの斃死については、直接関係はないのではないか
> という説もあるようです。これについてご存じの方、情報提供をお願いいたします。

これについては愛媛のROSA(海をよみがえらせる会)のホームページを見てみて下さい。
  http://user.shikoku.ne.jp/nakato/
アコヤガイの大量斃死説は今のところ、ホルマリン説、感染症説(水産庁・各県の水試)、魚類養殖の配合飼料中の過酸化脂質説(長崎大学研究グループ)などがあります。
国の公式見解は感染症説ですが、あれほど全国的に大量死したにもかかわらず未だにその病原体が特定されていません。
つまりコッホの4原則(でしたか?)を満たしていない以上感染症とは断定できないはずですが・・・
真珠養殖業界も、貝だけではなく業界そのものが死に絶えようとしているため、大量死原因などはどうでもよく、とにかく生き延びることだけを考えているようです。

> 養殖現場では、牛のあゆみかもしれませんが、徐々には改善の方向にむかってい
> ると私は思っておりますが・・・・・

そうかも知れません。
しかし、例えば全漁連の養殖漁場改善推進委員会報告書('99年3月)には次のような記述があります。「この(底質環境の悪化の)ため、慢性的な魚病被害が発生し、被害の拡大を防止するために日常的な投薬等により魚病被害を回避せざるを得ない状況になっている。」
事実、全国の水産用医薬品生産量は2年程前まではほとんど減っていません。
  (農水省提供のデータより)
だからこそ鹿児島の福山さんのような貴重な事例を参考に、無投薬への取り組みが増えて欲しいと願っています。そして、そのような製品が末端まで差別化され、きちんと市場や消費者から評価されて、主流となっていくべきではないかと思います。
琵琶湖オオナマズ 2002.08.21 この間の食肉や野菜の問題、水産物ではウナギ、エビ、カキ等々、表示の偽装や添加物・薬品問題などで、食品の安全性に関する消費者の見かたは、非常に厳しくなっています。(仕事で、そうした消費者の意見に、日々対応していますので、つくづくそのことを感じている次第です。)
養殖業者・産地側や水産流通が、そのあたりをシビアに理解するようにならないと、水産業も今以上厳しい事態に陥ることは目に見えていると思います。
(昨日今日と、宮城のカキの産地偽装問題が報道されていますが、この間の宮城のカキ業界のバタバタは醜態としか思えない。あれでは消費者の不信感を掘り起こすようなもんです。)

> アコヤガイの大量斃死説は今のところ、ホルマリン説、感染症説(水産庁・各県の水試)、魚類
> 養殖の配合飼料中の過酸化脂質説(長崎大学研究グループ)などがあります。

この問題については全く素人なので、私の記憶の範囲で申し上げます、間違っていたらご指摘下さい。
アコヤガイの大量斃死は、養殖業者がホルマリンを使っている海域以外でも発生していたのではないでしょうか。
私はそのように理解していますので、ホルマリン説には疑問を持っています。

> だからこそ鹿児島の福山さんのような貴重な事例を参考に、無投薬への取り組
> みが増えて欲しいと願っています。

これは同感ですね。

> そして、そのような製品が末端まで差別化され、きちんと市場や消費者から評価
> されて、主流となっていくべきではないかと思います。

問題はここなんですね。
市場での流通では、差別化する有効な手段が現状ではないですね。
ですから、市場外流通になるわけですが、産地側からすれば、これはそう簡単にいきません。
 (売り先の確保という点で)
単純に考えても、市場価格との関係をどうするかとか、まあ、いろいろと難しい問題があります。
差別化したから、それがすっと消費者に理解され「実際に買ってもらえる」かどうか。そこにいくまでには、かなりのリスクと時間がかかるでしょう。
やはり、何らかの制度的なモノや、長い目で見た価格対策などが必要になるのではないでしょうか。
2002.08.21 > アコヤガイの大量斃死は、養殖業者がホルマリンを使っている海域以外でも発生していた
> のではないでしょうか。
> 私はそのように理解していますので、ホルマリン説には疑問を持っています。

↑このロジックは、変だと思います。
三つの説がそれぞれ消滅せずに存在するということは、それぞれ科学的に説明できる根拠があるということだと解釈しています。
私がネットで探した情報の中には、科学的筋道を添えてホルマリン説を唱えている物がありました。「海域」の一言でひっくりかえされるほど単純であるなら、ホルマリン「説」なんて存在しないでしょう。
日本で真珠を養殖している海域は、すべて繋がっていますし、仮にホルマリン説が有力だとしても例外はあって自然だと思います。
第一、ホルマリンを使用している海域って、すべて把握できているわけでもないでしょうのに、「ホルマリンを使っている海域以外でも」なんて言い方は変過ぎ(へんすぎ)に見えるのですが、私の勘違いでしょうか。

> 差別化したから、それがすっと消費者に理解され「実際に買ってもらえる」かどうか。
> そこにいくまでには、かなりのリスクと時間がかかるでしょう。
> やはり、何らかの制度的なモノや、長い目で見た価格対策などが必要になるのではないでしょうか。

「制度」って、すぐに変わるから、あてにならないというイメージがあります。
業界が違うので全く参考にならないかもしれませんが、また、すでに既知の情報かもしれませんが、ほぼ口コミだけで商売が成り立っている所があります。
直営店、百貨店などへの卸を含めて、リアル店舗を持たない。新聞広告、TVCMなどの宣伝活動を行わない。電話とFAXとネットによる通販のみ。
 http://www.rakuten.co.jp/ajinoren/
これ以外でも、うちでは徐々に定番化しつつある食料品はあります。
食料品以外にも枠を広げるなら、商品の差別化に成功していると思える商品は幾つか見受けられます。
大多数の消費者にフォーカスしないで、その商品にこだわり、その商品の作り手に感謝し期待をしている消費者にフォーカスし、成功している例だと思っています。
一消費者として、ワガママっぽいことを書いてしまいました。
捕る、育てる、作る、売る側の苦労など理解できていませんので、MLを通じて、ゆっくりじわっと教えていただければ幸いです。
多田@東京都調布市 2002.08.21 >↑このロジックは、変だと思います。
そうでしょうか。
正しいかどうかは別問題として、ごく自然な意見だと思います。
私も個人的に琵琶湖オオナマズさんの意見を支持します。
もしホルマリンが『存在していない』海域でも症状が発生していれば、少なくともその海域での症状に関してはホルマリンは無関係です。
このことには疑問の余地は無いと思うのですが。
もちろんホルマリンが『存在していない』ことが前提条件です。
『使っていない』ことになっている海域で『使用が隠蔽されていた』『産廃物として投棄されていた』『事故で流出していた』等という、『実は存在していた』可能性は否定しきれないと考えています。

>三つの説がそれぞれ消滅せずに存在するということは、それぞれ科
>学的に説明できる根拠があるということだと解釈しています。

これはおっしゃる通りかと思います。
琵琶湖オオナマズさんも絶対的に否定されてはおりません。
「こういう理由でホルマリン説には疑問を持っています」と、その説には疑問を持っていると言われているだけです。

広い領域の専門家から私のような食べることが好きなだけの素人まで入会制限を設けず、それぞれの立場で自由に発言できるのがこのMLだと私は認識しております。
もし「家辺@ML管理人」さんとしての断定的な発言なら問題でしょうが、これは「琵琶湖オオナマズ」さんの個人的な意見です。一個人の発言として尊重すべきではないでしょうか。
もちろん同様に月さんの反論も一個人の意見として尊重すべきです。
ただちょっと書き方がきついように感じられました。
「いえ、こういう理由によって私はこう思う」という書き方の方が良いかと思います。
専門家の方であれば「こういう理由によりこの説を発表(支持)する。参考データ(文献)はこれこれ。私の専門はこれこれの分野である」という強い主張も良いかと思います。

顔の見えないMLでは単に意見の書き方というささいなことがきっかけでケンカ議論になってしまうことがしばしば見られます。
以前別のMLでサブシスオペをおこなっていた際に、このようなささいなことがきっかけで大喧嘩になる事態にときどき遭遇しておりました。生意気を言って申し訳ございませんが、ご注意を喚起して頂きたく発言させて頂きました。ご無礼はお許しください。
松本 2002.08.21 > アコヤガイの大量斃死は、養殖業者がホルマリンを使っている海域以外でも発生していたのではないでしょうか。
「アコヤガイの大量斃死は、養殖業者がホルマリンを使っている海域以外でも発生」というのは主に三重県の英虞湾のことを指していますが、三重県で使われるアコヤガイの母貝(真珠核を入れる前のもの)は、大部分が愛媛県や高知県や三重県南部のフグなどの魚類養殖が大変盛んな地域で育てられたものを運搬して使用しています。
アコヤガイ稚貝は6月頃生まれるのですが、その年の秋に運搬したものはその後もほとんど死ななくて次の年の春に運んだものはほとんど全滅した事があちこちで報告されています。
また、甑島(鹿児島)、野母半島(長崎)などでは、大量死した母貝がフグ養殖がなくなったら、死ななくなった、という事実があります。
稚貝から大村湾(長崎)で育てた貝をそのまま置いたものは大丈夫で、佐世保の近くのフグ養殖場近くの漁場に持っていって置いたものは非常に斃死率が高いというのも長崎の真珠業者から聞きました。

> 市場での流通では、差別化する有効な手段が現状ではないですね。
> ですから、市場外流通になるわけですが、産地側からすれば、これはそう簡単にいきません。

もちろんそう簡単だとは思いません。
生産、流通、小売、それぞれの現場でまた全部が一堂に集まってさまざまな工夫を必要とするでしょう。
それがそのまま消費者に受け入れられるかどうかも分かりません。
しかし、ホルマリンが使われているはずがない、として表示義務さえない現状では、ホルマリンをどんどん使っても表示偽装にさえならない、一方ホルマリンを使わずに歩留りが下がってしまっても何処にももって行く先がない。
これではまたホルマリン使用に戻ってしまう可能性が非常に高いのです。
熊本県の業者は、私たちの活動の結果海区漁業調整委員会指示が出されて、曲がりなりにも規制が出来、ホルマリンを使いづらくなっており、盛んに他県の使用規制がないのは不公平だと漏らしています。彼らは正直者がバカを見る現状だと言っています。
松本 2002.08.21 > もしホルマリンが『存在していない』海域でも症状が発生していれば
> 少なくともその海域での症状に関してはホルマリンは無関係です。

琵琶湖オオナマズさんへのレスにも書きましたが、その海域にホルマリンが存在していなくても(例えば英虞湾)アコヤガイ自体がホルマリンが大量に流された海域(例えば宇和海)で飼育されて運搬されているのです。
それから分かりにくいかもしれませんが、ホルマリンが流された海域で検出されなくても、海水中で化学的に変化して別の物質として存在し、その物質が毒性を有する可能性も考慮しなくてはなりません。
例えば、無機水銀が自然界で有機水銀に変化したり、合成洗剤に含まれるアルキルフェノール・ポリエトキシレートがバクテリアによって分解されるとノニルフェノールなどのエストロゲン類似化学物質ができる(奪われし未来-201p)など海水中の動態も調べなくてはなりません。
このことはホルマリンが大量に流された海域でも、速やかに検出されなくなるけれども海藻が枯れたり、貝が死んだりさまざまな異変が起こることから、そのことを調べる必要性を感じているものです。
とにかく、おかしいのは漁場汚染の可能性について、19年も前から通達の中で謳っておきながら、現場調査を全くやっていない水産庁の姿勢です。
琵琶湖オオナマズ 2002.08.21 この問題についての僕の投稿が、ちょっとだけ波紋を呼んでいるようですから、弁解させてください。(^_^;)
「この問題については全く素人なので、私の記憶の範囲で申し上げます、間違っいたらご指摘下さい。」
 ↑
前回のメールに、前提としてこのように書いております。
まあ、責任逃れのような書き方で申しわけなかったのですが、実際そのとおりで、3つの説のどれが正しいのか自分としてもわからないわけで、ホルマリン説に疑問を持っていると同時に、あとの2説についてもよくわかりません。
できれば、ホルマリン説の松本さんのご意見だけでなく、あとの2説についてもお話を伺いたいなと思っております。
どなたか、この件にお詳しい方はおられませんでしょうか。
松本 2002.08.21 > 「この問題については全く素人なので、私の記憶の範囲で申し上げます、
> 間違っいたらご指摘下さい。」

水産庁や各県の水試の見解として感染症である旨が報道され、ホルマリン説を否定する根拠として英虞湾などの魚類養殖がない場所でも同様の大量斃死が起きていることも併せて報道されてので、そのまま受け取れば記憶違いでも弁解する必要も全くないので気になさらないで下さい。
私としては水産庁などの「現場ではホルマリンが使われているはずがない」的な情報操作とも言えるような説明に対しておかしいと言いたいのです。

> 3つの説のどれが正しいのか自分としてもわからないわけで、ホルマリン説に疑
> 問を持っていると同時に、あとの2説についてもよくわかりません。

私の意見ではなく、朝日新聞宇和島通信局の記者の記事を書き写し、ご紹介します。
(管理者注 このあと、朝日新聞の記事(宇和島通信局・福家 司)の内容が書かれています。著作権上の問題があるため、当面、削除しておきます。)
福山 2002.08.22 > 福山さんの基本理念として「無投薬」を実践されていることは本当に素晴らしいと思います。
 それだけのためではないですが私自身も多く儲けて、いい船を作り、いい家に住みたいと思いがんばっています。
 資本主義経済の社会に住んでいる限り、これは当たり前のことです。
単純に言えば、水産業が最近廃れていくのは、儲からないからです。
  その上で、社会や関係する心ある人間が環境などの外部経済を補完できるシステムを作り出さなければいけないと思います。
 無投薬養殖も他の業者よりも同等か利益が上がるようにならなければ広がりませんよ!
 無投薬養殖は苦労もコストもかかります。
 病気で死んでいく魚を見て、しかも薬をやれば死ななくなるのをわかっていながら投薬しないのはマジきついですよ!! 
 売価が同じなら他の業者よりも先に潰れていくでしょうね!!
 
> 企業秘密的な部分もあろうかと思いますが、天草の養殖屋さんに「無投薬」の理念と実践を講演・指導していただきたい位です。
 企業秘密なんてほとんどないです。 当然魔法も使えません。(笑)
 ただ常識に則って少しでも魚にいいことを実践してるだけです。

> 養殖された当歳魚は食用として市場へ出荷されるのですか、2歳魚として飼育する
どこかへ販売されるのですか?
> また、稚魚は特別に採苗されたものを購入あるいは自己採苗されているのですか?
> さらに、無投薬ということで販売の際、一般飼育のものと差別化されていますか?

 うちの魚は100%食用で出荷しています。 
種苗に関しては、とらふぐは100%人工種苗のため種苗業者から買い入れていますので、現状としては、種苗生産段階では薬品を使用されています。
 今の段階では種苗屋さんに無投薬で稚魚育ててと言うのはちょっと無理があります!
 販売に関しては私の努力不足もありますが、ふぐに関しては差別化できてません。
 うちのぶりの例ですが、「福山さわやかぶり」というブランド名で、無投薬ぶりとしてアメリカなどに輸出されています。(生産量の7,8割) 
 残念ながら国内よりも海外でその価値が認知されています。
 国内でも何回かお誘いもありましたが、価格にしても海外向けのほうがよりいい条件で買ってくださっているのが現状です。少し日本人としては寂しいです。
  
> 熊本県の水産研究センターが行なった実験ではたった0.05ppmのホルムアルデヒド濃度で植物プランクトンの1種はすでに増殖阻害が起きています。
 こういう情報はなかなか手に入らないのでまた教えてください。

> 多くの養殖屋さんのイケスがひしめき合っている天草では福山さんのような粗放的な養殖は難しいかも知れません。
 うちは粗放的な養殖じゃないですよ!(笑)
 それぞれ置かれた条件の中で最善を尽くせばいいと思いますよ!
 難しいと考えるのではなく、やれることがあると考え行動しないと何も変わりません。
 現状の中でやれることをやればいいと思いますけど!
 例えば、一年魚と二年魚の漁場を別にするとか!
 天草もピーク時からすると、稚魚入れが30%くらいになっていると聞きました。
 廃業された方も多いと聞きます。 同業者としていろいろと考え込んでしまいます。
 悲観すれば何もできないということになりますが、しかし魚が減少した今だからこそできる方策もいろいろとあるような気がします。
 あと水産薬品ですが、ワクチン投与が急速に進んでますので、抗生物質の使用量はここ1,2年で激減しそうですよ! 
 あとアコヤ貝の問題ですが、松本さんをはじめとするホルマリン説派(?)の方々に伺いたいのですが、ホルマリン説以外の説についてはどう思いですか?
 私も詳しくは知りませんが、周りの話を総合すると、感染症説が有力かなと思います。
福山 2002.08.22 > 1.リアル店舗
> 2.ネット通販
> 3.福島さんのフグを出しているお店

 こんにちは、sonokumiさん、月さん!
 残念ながら上記の1.2.3.ともありません。 これから真剣に考えていきます。
 自分でさばけるのであれば、DMください。
 丸のままですが、宅急便で送ります。
 値段は相場がありますから、今なんとも言えませんが、そんなに高くないです。
 時期になりましたら御案内しましょうか?
 ただ一年魚ですから、12月以降にならないとそれなりのサイズにはなりません。
 ふぐの差別化については私自身が怠けていましたが、今年から本腰を入れて考えていきます。
2002.08.22 えええええええええ〜〜〜〜。フグ丸のままですかああああぁぁぁぁ。
内臓を外して、水に浮かべた状態でクール便で送っていただけるなら、血抜き以降の細かな作業は経験あります。←三桁匹くらい。
でも「空手道場に通わせて貰うこと」「フグの料理を教えてもらうこと」、この二点は親にせがんで拒否されました。残念ながら今回は、福山さんのフグを食することはあきらめます。
ところで、海外に出しておいでる模様ですが、市場へですか?、どこかの日本食レストランへ直売でしょうか?
日本食レストランに直売だったら、私にも食べるチャンスがありますね。
差し障りがなかったら教えてください。ブリのほうではなくフグのほうです。
しつこいなあ、→自分。
別に味に差が有るわけでもないのでしょうが、自分がなくなる少し前くらいになったら、きっと良い思い出になるような気がするのです。
フグの差別化、かなうと良いですね。
ツボにはまれば、大喜びして箸を握り締めて寄ってくる客はいると思うなあ。
儲かって欲しいっす。
海童 2002.08.22 私はこれまでアコヤガイの大量斃死原因は、養殖研究所や三重大の研究結果などから、濾過性病原体(ウイルス)と考えています。
病原体が特定できていなくても(コッホの3原則を満たしていなくても)、研究結果から原因はウイルスに間違いないものは他にもあります。
例えば、トラフグの口白症、ギンザケの赤血球封入体症候群、クロアワビの筋萎縮症などです。
ただし、アコヤガイの斃死も含めて感染症発症を誘引する他の因子についても考慮する必要性はあります。
すなわち、病気の発生は病原体の毒力だけに左右されません。
水温や水質などの環境、餌の質、また遺伝的要因などは病原体に対する抵抗性(免疫反応)に影響を与えます。
以前、アワビの免疫反応について調べたことがあり、一例をお話しますと、15℃から20℃の温度変化(ちょうど筋萎縮症が発生する水温)に対して、高水温に弱いと考えられるエゾアワビの免疫反応は低下せず、クロアワビの免疫反応は低下します。
西日本で沢山のエゾアワビが種苗生産、養殖、放流されているにもかかわらず、筋萎縮症の被害がほとんどクロアワビなのは、水温変化による免疫反応の低下が大きいことが病気発生の要因の一つになっているのではないかと考えています。
アコヤガイのへい死原因はウイルスだとしても、水温や水質などの飼育環境(ホルマリン説も含めて)、餌料生物の質(長崎大の脂質酸化物説も含めて)、遺伝的要因(母貝の多様性の欠如など)などがアコヤガイの免疫反応にどのように影響を及ぼすかについて調べる必要があると考えています。
琵琶湖オオナマズ 2002.08.22 研究者間でも見解が分かれる事象に、私のような素人が口をはさむなどとてもできないことです。
ただ、3点だけ感じましたことを書いておきます。
  1. 松本さんが、[fish 3434] のメールで主張しておられる下記の点には同感できます。
     「とにかく、おかしいのは漁場汚染の可能性について19年も前から通達の中で謳っておきながら、現場調査を全くやっていない水産庁の姿勢です。」
  2. 私の記憶では、ホルマリンの使用に反対する運動は、アコヤガイの大量死から始まったと思います。(違ってたらゴメンナサイ。)したがって、どうしても、真珠業界とフグ養殖業者との関係と取られがちです。
    本当は、環境汚染の問題、安全な食料の確保という問題等で捉えなければいけないのではないかと思います。
    もちろん、松本さんたちの運動はそういう視点で行われていると思いますが。
  3. 私も以前から、「フグはホルマリンがないと養殖できない」「マリンサワーは効果がない」という話を聞いていました。現状では、すべての魚類養殖からホルマリンを含む薬品類を排除するということは現実的ではないと思います。無投薬養殖を展望しつつ、現状を少しでも改善するために何をすればいいのか、そのあたりを個別に具体化することが必要では無いでしょうか。
    そしてそれは、国民の食料を確保するという責任から、国の主導で行われるべきであろうと考えるものです。養殖魚が無くなれば大変なことになるわけですから。
    この考え方は、[fish 3423] で松本さんがお書きの「1999年に成立した「持続的養殖生産確保法」(養殖新法)の漁場改善計画も、県によってはまだほとんどできていない所もあるらしく、もう少し実効性を持たせるためには、規制をかけることも必要ではないかと思います。」に、通じるものですね。
以上、川下からの意見としてお聞きいただけたら有り難いです。
ぼうずコンニャク 2002.08.22 ホルマリンや養殖の問題点などあまりにも知識に欠けるものです。
専門家の方々にまず初心者として入門書、もしくはそれに関するサイトなどありましたら教えていただけないでしょうか? 勉強したいと思います。
松本 2002.08.22 >  それだけのためではないですが私自身も多く儲けて、いい船を作り、いい家に住み
> たいと思いがんばっています。

そうなのですが、本当に厳しい条件のかなで基本理念としてとにかく無投薬においておられるところが必須条件とされていない現在素晴らしいと思うのです。
 
>  その上で、社会や関係する心ある人間が環境などの外部経済を補完できるシステム
> を作り出さなければいけないと思います。
>  無投薬養殖も他の業者よりも同等か利益が上がるようにならなければ広がりません
> よ!無投薬養殖は苦労もコストもかかります。

私自身魚類養殖をやったことがないので、外野から何を言うかとお怒りかも知れませんが、ホルマリンストップ活動をする中でにらみ合いながら養殖業者と人たちとも付き合ってきました。
だから、ホルマリンを垂れ流す行為は養殖業者の人たちが漁場汚染を及ぼす可能性が大きい加害的な行為としても、そのような構造の中に組み込まれてしまったのは被害者ではないかと思います。
無投薬養殖はリスクが大きいのは当然だと思いますが、それでもそれが広がっていくような仕組みを考えるのが水産庁や行政の役目でしょう!!
上京のたびにホルマリン問題のことで水産庁を尋ねるのですが、前の魚類防疫室長などは「有機栽培米のように魚に生産者の顔写真を貼って差別化できないものですかね〜。何かいいアイデアありませんか。」などと人ごとのように言いながら、その後何もしなかったことにはホントに失望してます。
今は課長補佐と交渉していて非常にいい感触を初めは得ているのですが、上から押さえられるのでしょうか、行く度に話が後退しています。

>  ただ常識に則って少しでも魚にいいことを実践してるだけです。
だからこそ小林さんの理念が貴重だと思うのです!
どうしても譲れないものをきちんと守ってゆき、なおかつ資本主義社会の中で利潤も出してゆく、この部分で今日本は一部の大企業など揺らいでいるわけですが、上記のように言えるところがやはり小林さんのすごいところだと思います。

>  残念ながら国内よりも海外でその価値が認知されています。
>  少し日本人としては寂しいです。

流通の方々もさることながら、水産行政の人たちもっと頑張って!

>  こういう情報はなかなか手に入らないのでまた教えてください。
私たちの委託研究では次のようなことが分かっています。
@海水をさまざまなサイズのフィルターでろ過後、ホルマリンを添加して反応の消失について調べる。(ホルマリン濃度=10ppm)
フィルターサイズ     消失までの期間
0.7μ             4日間
0.22μ            10日間           ⇒0.22μ 程度の大きさの物と反応?
0.1μ              45日後でも消失せず

上記の海水を加熱して同様の実験を行なう。⇒すべて消失せず。
人工海水でも消失しない。
多くのタンパク質は45℃程度で変性⇒ホルマリンは海水中の0.22μ 程度の大きさの有機物と反応して新たな化合物を生成?

特定海域の海底泥を撹拌して泥を沈殿させた後の上澄み液の海水分析
◎特定の海域では沈殿物が再びホルマリンとして確認された
◎その物質の構造決定には至っていない

> あとアコヤ貝の問題ですが、松本さんをはじめとするホルマリン説派(?)の方々
> に伺いたいのですが、ホルマリン説以外の説についてはどう思いですか?

ともかく、ホルマリン自体がどれくらい流されたか全く闇の中なので、実際その影響を検証するのは今となっては困難という気がします。
ただ、天草にいると水俣病のことがどうしても浮かんでしまいます。
年千人もの人が死に、何万人もの人が病気にかかった大事件でも、当初は感染症として片付けられていたのです。
スモン事件でもそうです。やっかいな薬害事件はいつでも初めは感染症とされてしまいます。
別に単一要因であるとは限りません。
例えば、北海(?)で起きたアザラシの大量死は感染症によるとされていましたが、そうとう後になってPCBの蓄積で免疫力が低下して日和見感染症で死亡したという話を聞いたことがあります。
だから、アコヤガイごときが大量死したからといって何処まで原因究明がニュートラルに究明されるのか…?愛媛にお忍びでホルマリン問題の事を調べにきた旧厚生省の役人が、「人が何人か死なない限り、私たちは無力だ」といったそうです。
松本 2002.08.22 > 病原体が特定できていなくても(コッホの3原則を満たしてアコヤガイのへい死原因は
> ウイルスだとしても、水温や水質などの飼育環境(ホルマリン説も含めて)、餌料生物の質
> (長崎大の脂質酸化物説も含めて)、遺伝的要因(母貝の多様性の欠如など)などがアコヤ
> ガイの免疫反応にどのように影響を及ぼすかについて調べる必要があると考えています。

ある水試の人が教えてくれたのですが、病貝の細胞片をリンスして注射すると感染は起こらなかったので感染症ではあると思うがウイルスとは自分は思わない、ということでした。
ウイルスの多くは細胞壁の中に入り込むからという説明だったように思います。
数年前に感染症の原因として考えられてきた細菌、ウイルス、原虫の他に狂牛病を引き起こすとされているプリオン(異常タンパク質)が初めて第4の病原体として認識されるようになったとの報道記事を読んだことがあります。
ホルマリンはタンパク質を固定するために用いられるものですが、その反応化合物がタンパク質を変性させ、プリオン様物質を生成する可能性は全くないのでしょうか?
松本 2002.08.22 >   どうしても、真珠業界とフグ養殖業者との関係と取られがちです。
>   本当は、環境汚染の問題、安全な食料の確保という問題等で捉えなければ
>   いけないのではないかと思います。

真珠業界の人たちも「アコヤガイ大量死と関係ないなら運動やめる」的な部分もかつてはあり、私も大いにがっかりしました。(一時のマスコミ報道によるところも大きいと思いますが)
まさに琵琶湖オオナマズさんの言う通り、環境汚染の問題、安全な食料の確保という問題なのですが。フグ養殖業者の一部の人たちは分かってくれるようになった人たちもいますが、だからと言って魚が良く育つわけではないので、そこが悩ましいところです。

>   現状では、すべての魚類養殖からホルマリンを含む薬品類を排除するということは 
>   現実的ではないと思います。無投薬養殖を展望しつつ、現状を少しでも改善するために
>   何をすればいいのか、そのあたりを個別に具体化することが必要では無いでしょうか。

この部分でも同感です。販売前線に立っていない私はどうしてもホルマリンを使ってしか養殖を出来ないフグを養殖する必要があるのか(無投薬でやられている皆さんごめんなさい)、と思ったこともありました。
しかし、どうしてもホルマリンなしでできないなら、食の安全性をきちんと確認し、消費者への情報公開を行なった上で、ホルマリン薬浴用のプールを作り廃水処理と監視制度を設けて堂々とやるべきだと水産庁の担当者と話したりしています。
しかし、そこまでして今の日本の養殖業者が経費負担できるのか、といういかにも隠れてホルマリンを使っている業者を擁護するような発言をする水産庁の人間もいて、「コノヤロ-」とどついてやりたいこともありました。
大分県蒲江町ではフグではなく、カンパチやヒラメですが、ホルマリンの大量使用によって海は見るも無残になったと地元の人たちは言っています。
私も何度か行きましたが、かつて船が走れないくらい海藻が茂っていたという海は、岩がまっしろで海藻は全くなくツルツルでした。皆さんにも見てもらいたいような光景でした。
(以前の豊かだった蒲江の海の様子は私も知りませんが)
琵琶湖オオナマズ 2002.08.23 > 専門家の方々にまず初心者として入門書、
> もしくはそれに関するサイトなどありましたら教えていただけないでしょうか?

入門書ねーーーー。
私も関連する書物を何冊か持ってますが、公平かつ客観的に書かれた本は見あたりませんね。
ある特定の問題を必要以上に強調して、消費者に不安感を植え付けてしまうような本が多いですね。
Webにはいろいろありますが、いろんな立場から書かれていますので、主体を確立した上で読まなければいけないと思います。
養殖の問題点なら、過去のfishmlの論議を読んでください。
 http://www.fishml.com/yousyokunouo/yousyokugyonituite.htm
あと、養殖魚一般のことを知りたいのなら、下記ですね。
(社)全国かん水養魚協会
  http://www.yoshoku.or.jp/
鹿児島県かん水養魚協会
  http://www4.synapse.ne.jp/kg-kansui/
我が国の増養殖業の現状(水産庁養殖研究所)
  http://www.nria.affrc.go.jp/youshoku/youshoku.html

fishml会員で養殖業のかたのサイトは下記です。
福山ぶり
 http://www.fukuyama-fish.com
中上養殖場
 http://www2.ocn.ne.jp/~pecten/index.html
土佐野養魚場
 http://www.tk2.nmt.ne.jp/~czar/
おさかな天国
 http://homepage2.nifty.com/aj/top.html
他にもあるかもしれませんが、把握できていません。

真珠・アコヤガイ関係
岩城パール(Pだんなの独り言のページ内をさがす必要あり)
 http://pearl.ne.jp/
三重県水産試験場(水産資源育成グループ)
 http://www.mpstpc.pref.mie.jp/SUI/ikusei/index.htm
愛媛県水産試験場(アコヤガイ情報)
 http://www6.ocn.ne.jp/~aisuishi/
海をよみがえらせる会 HomePage
 http://user.shikoku.ne.jp/nakato/

ホルマリン関係は「ホルマリン」で検索すれば、いろいろ出てくると思います。
琵琶湖オオナマズ 2002.08.23 入門書ではないのですが、養殖関連の月刊雑誌が2冊あります。
どちらかを継続して読んでおられると、養殖業界の流れが把握できるでしょう。

月刊『養殖』 〜つくる漁業の総合情報誌〜 (緑書房)
 http://www.mgp.co.jp/

月刊「アクアネット」(有限会社湊文社) 
 http://www.seaworld.co.jp/~aquanet/a_top.html

どちらにも、時々fishmlの会員さんが寄稿されています。
専門性が高いのは前者で、後者は流通や末端消費者の情報も重視しているようです。
そのくみ 2002.08.23 >  自分でさばけるのであれば、DMください。 丸のままですが、宅急便で送ります。
あの〜、消費者にフグを売れるのはフグの免許を持っている人だけじゃないんですか?
養殖場から直接販売できるんですか?
養殖フグは毒がないといわれているから私でもさばいていいのかなあ?
例えば、フグの免許を持っている魚屋さんに買ってもらって、そこから私が買うのであれば問題ないんでしょうが。う〜ん・・・。

>  ただ一年魚ですから、12月以降にならないとそれなりのサイズにはなりません。ふぐの
>  差別化については、私自身が怠けていましたが、今年から本腰を入れて考えていきます。

冬までにいい方法を考えて下さいよ。
「養殖」という雑誌で福山さんの記事を読みました。
養殖業者も消費者に顔を出してアピールするという姿勢は良いと思いました。
メーリングリストも主催されているようですが、若い力で養殖業界に希望とやる気を喚起して下さいね。ご活躍をお祈りしております。
松本 2002.08.27 魚類養殖のホルマリン問題について関連報道を転載します。
環境省が少しは動きつつあるようです。
2年程前から「有害物質による水生生物影響検討会」が水生生物の保全に係る水質目標の検討をしていたようです。
(管理者注 このあと、8月23日朝日新聞の記事(東京本社版−社会面)の内容が書かれています。著作権上の問題があるため、当面、削除しておきます。)
琵琶湖オオナマズ 2002.08.28 全文はここです。
 http://www.env.go.jp/water/report/h14-03/index.html

書類はすべてPDFですし、コピーができないので内容は省略。
海童@北陸大好き 2002.08.30 >ある水試の人が教えてくれたのですが、病貝の細胞片をリンスして注射すると感染は
>起こらなかったので感染症ではあると思うがウイルスとは自分は思わない、ということでした。
>ウイルスの多くは細胞壁の中に入り込むからという説明だったように思います。

こういう実験結果があるなら、ぜひ詳しく知りたいところです。
これは病貝のどの組織なのでしょうか?
ウイルスでなければ何と考えられているのでしょう。

>ホルマリンはタンパク質を固定するために用いられるものですが、その反応化合物が
>タンパク質を変性させ、プリオン様物質を生成する可能性は全くないのでしょうか?

貝類(アコヤガイ)に正常プリオンがあるのでしょうか?
魚には正常プリオンがあるようですから、ホルマリンでおかしくなるなら、まずフグがなると思いますので、フグから調べたほうがよいと思います。

それよりも、私の前のレスでも書きましたし、下記の松本さんが他のレスでも書かれているのと同様に、
>アザラシの大量死は感染症によるとされていましたが、そうとう後になってPCBの蓄積で
>免疫力が低下して日和見感染症で死亡したという話を聞いたことがあります。

ホルマリンだけでなく、各種の環境汚染物質のアコヤガイに対する免疫毒性について調べる必要があると思います。
松本 2002.09.01 その人は水試の研究員でアコヤガイ大量死の原因究明と[病気]に強い貝を作り出すのに専念しておられますが、「真実」を追求すると水試という組織の中で孤立していると、話を聞きに行った時に涙ながらに話してくれました。

> こういう実験結果があるなら、ぜひ詳しく知りたいところです。
口頭での説明で実験結果などの資料はいただけませんでした。
注射した病貝の組織は血液だったと思います。
その病貝の体液を人工海水かろ過海水か忘れましたが、ともかくリンスしたものとしないものを健常貝に注射すると、リンスしたものは感染が起こらなかった、と聞きました。
だから個人的には、感染症ではあるがウイルスとは思わない、と説明してくれました。
それならば何か、という問いには「現時点では《病気》としか答えられない」という回答だったと思います。
この辺が組織の中で自由に発言できないで苦しんでおられる部分だと私自身は解釈しました。

> ホルマリンだけでなく各種の環境汚染物質のアコヤガイに対する免疫
> 毒性について調べる必要があると思います。

私たちが委託研究としてお願いした「アコヤガイの免疫能の検討とホルマリンの影響」(東海大学医学部)の実験によると、いくつかの免疫指標のうち血球遊走能がホルマリン曝露群では低下する、との結果が出ています。
この血球遊走能低下の意味が私では説明できませんが…
この先生の見解は高品質真珠の生産のための品種改良などによって日本産アコヤガイの免疫機能の低下が起こり、そこにホルマリン使用といった環境問題などがあらゆる微生物による貝への易感染状態を作り出し、日和見感染症による大量死が起こったのではないか、ということです。
水産庁や各県の水試は、この日和見感染や易感染状態を引き起こした背景については一切調査・研究はしていないか、していても発表していません。
何しろ情けないことに、真珠養殖業界自身が真の原因究明を本気で望んでいないようなので、現在では研究がどうなっているのかさっぱり分かりません。
真珠養殖業界はただ助成金や金融対策だけを国や県から期待しているかのようです。
海童 2002.09.04 >注射した病貝の組織は血液だったと思います。
組織でなく、血液ですね。
リンスするとのことですので血球を使っておられるのでしょうね。
アコヤガイには少なくとも3種類の血球がありますから、そのリンスでウイルスを含むいずれかの血球を壊してしまい、ウイルスを流している可能性はないのでしょうか?
貝類の血球は壊れ易いですよ。
確か、ある水試では血液(血リンパ)でウイルス(濾過性病原体)を証明されていたように思います。

>それならば何か、という問いには「現時点では《病気》としか答えられない」という回答だったと思います。
この方と一度、お話をしてみたいですね。「[病気]に強い貝」にも興味が湧いてきますし・・・。

>血球遊走能がホルマリン曝露群では低下する、との結果が出ています。
>この 血球遊走能低下の意味が私では説明できませんが…

遊走能は血球が異物に対して寄り集まる反応です(遊走阻止反応というのもあります)。
どれくらいの濃度のホルマリンで処理されたのでしょうか。
おそらく、ホルマリンで鰓などに炎症が生じると血球の遊走能は影響を受けるでしょう。
時間を追って調べれば、遊走能は上昇後、低下するのではないかと思います。
単に低下するから悪いというのではなく、上昇も含め、遊走能に影響が出ることが免疫毒性があるとういことです。

>高品質真珠の生産のための品種改良などによって日本産アコヤガイの免疫機能の低下が
>起こり、そこにホルマリン使用といった環境問題などがあらゆる微生物による貝への易感染
>状態を作り出し、日和見感染症による大量死が起こったのではないか、ということです。

これは私の前々のレスのとおり、「アコヤガイの遺伝的多様性の欠如や環境汚染物質の免疫毒性が病原体の感染性を高めるのでは」に当てはまりますね。
私は最近、いくつかの魚貝類に対する2、3の環境汚染物質の免疫毒性について調べています。残念ながら、ホルマリンは扱っていませんが、アコヤガイに対する免疫毒性も調べていて、2、3の物質の影響を認めています。

>水産庁や各県の水試はこの日和見感染や易感染状態を引き起こした背景については
>一切調査・研究はしていないか、していても発表していません。

まだ、あまり調べられていないのではないでしょうか。

>真珠養殖業界はただ助成金や金融対策だけを国や県から期待しているかのようです。
知り合いの真珠養殖業者さんにはそのような方はおられないですよ。
松本 2002.09.09 > 確か、ある水試では血液(血リンパ)でウイルス(濾過性病原体)を証明されていたように思います。
資料を探したら、愛媛水試が’99年5月に「血リンパ摂取による感染実験結果について」という報告を行なっていました。以下概要です。
目的:病貝の血リンパあるいはその分画(血清、血球)、さらにそれを濾過したものを健常貝に接種して、赤変・へい死の再現を行い、病原体特定の一助とする。
方法:
実験1:
試験区:1区;異常貝の血リンパ
     2区;異常貝の血リンパ濾過
     3区;健常貝の血リンパ
     4区;異常貝の磨砕液
     5区;異常貝の磨砕濾過液
     6区;健常貝の磨砕液
     7区;PBS
攻撃液の作成;●血リンパ;閉殻筋より採血し、1・3区はそのまま、2区は濾過
          ●磨砕液;軟体部にPBSを加え、磨砕後、遠心分離した上清液
接種方法;アコヤガイを麻酔後、閉殻筋に0.1ml/個注射
結果;攻撃60日後から、1区(血リンパ)においてのみへい死が起こり、実験終了後に累積死亡率は30%。その他の区は13%以下。また、1区においてのみ、軟体部の赤変、外套膜血管壁の損傷が観察された。⇒病原体は血リンパ中に存在する。
実験2:
試験期間:122日間
試験区:1区;異常貝の血リンパ
     2区;異常貝の血リンパ血清
     3区;異常貝の血リンパ血清濾過
     4区;異常貝の血球
     5区;異常貝の血球磨砕濾過液
     6区;健常貝の血リンパ
攻撃液の作成;閉殻筋より採血し、1・6区はそのまま、遠心分離した上清を2区、沈渣を4区、上清を濾過したものを3区、沈渣をPBSを添加して磨砕濾過したものを5区とした。
接種方法;アコヤガイを麻酔後、閉殻筋に0.1ml/個注射
結果;実験終了時の累積死亡率=1区;55%、2区;60%、3区50%、その他の区は20%以下。
1・2・3区;軟体部の赤変、外套膜血管壁の損傷が観察されたが、その他の区では認められない。⇒病原体は血リンパの血清中に存在し、その大きさが0.45μm以下の濾過性病原体。

松本:※以前はウイルスのことを「濾過性病原体」と言ったんですよね?なぜいまわざわざウイルスと言わずに「濾過性病原体」と言うのでしょうか?

> 「[病気]に強い貝」にも興味が湧いてきますし・・・。
血球の状態のいいものを10000貝の内4〜5個くらいを選び出し、親貝にするようなことを言っていたと思うのですが…

> 知り合いの真珠養殖業者さんにはそのような方はおられないですよ。
いや、実際に養殖をしている人たちはそうではないのですが、真珠振興会とか全真連とかという業界団体の姿勢のことを指しています。

アコヤガイの大量死、全国的なアサリの激減、カキの毒化やへい死などそれぞれ大変な状況にあると思いますが、広域的にこれらのことが起こっている沿岸域の漁場環境、水質・底質の悪化が気になります。
赤潮など直接的な原因はともかく、その背景まで含めた原因究明と抜本的対策もまともに立てられていないのが実状ではないでしょうか?
海童 2002.09.12 >愛媛水試が’99年5月に「血リンパ摂取による感染実験結果について」
>という報告を行なっていました。

その概要の研究は、偶然ですが一昨日手元に届いた魚病学会発行の雑誌「魚病研究」の最新号の37巻、3号に論文として掲載されていました。
論文のタイトルは「血リンパ接種による軟体部の赤変化を伴うアコヤガイ疾病の再現」で、結論はやはり「濾過性病原体」です。

>松本:※以前はウイルスのことを「濾過性病原体」と言ったんですよね?
>なぜいまわざわざウイルスと言わずに「濾過性病原体」と言うのでしょうか?

ウイルスが分離、特定されていないものの、細菌より小さいサイズの濾過画分に病原性があるので、このような場合にウイルスとは断言できずにそう呼んでいるのでしょう。

>血球の状態のいいものを10000貝の内4〜5個くらいを選び出し、
>親貝にするようなことを言っていたと思うのですが…

どういう基準で選び出すのでしょうか?

>真珠振興会とか全真連とかという業界団体の姿勢のことを指しています。
そうなんですか。肉屋さんみたいにはなってほしくないですね。

>その背景まで含めた原因究明と抜本的対策もまともに立てら
>れていないのが実状ではないでしょうか?

まだまだ研究、調査が足りませんね。
私自身、環境化学の知識が必要であると痛感しています。



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