養殖鮎についての疑問
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ニセボウズ | 2005.01.27 | 数年前までは、私の住む東京周辺のスーパーやデパートの鮮魚売り場で、養殖の鮎が堂々と「天然鮎」の表示で売られていました。 ガキの頃から正真正銘の「天然鮎」に親しんでいた私としては、一目で養殖と分かるニセ「天然鮎」に腹立たしい思いを持っておりました。 ある日、某デパートの鮮魚売り場でそのことを問いただしたところ、売り場の責任者曰く、「淡水魚のことはよく分からない」とのことでした。 これは流通レベルに「虚偽表示」の源があると推測した私は、告発記事の1本でも書いてやろうと思い色々と調べました。 それで分かったのは、関西では同じ養殖鮎が「天然鮎」ではなく、何だか曖昧な表示(半天然のような意味ですが忘れました)で売られていることでした。 当時の取材ノートが見付からないので具体的には思い出せませんが、滋賀県庁の担当部署の方に電話で聞いて知りました。ご存知の方、お教えください。 ということは、琵琶湖乃至はその周辺の養殖現場に近い関西の消費者に対しては、おそらく露骨なウソは通用しないので曖昧にし、遠い関東ならどうせ分かりはしないのだから「天然鮎」で売ってしまえという、売る側の戦略が透けて見えました。 そこから鮎の養殖や、養殖鮎の流通現場に飛び込んで取材しようと意気込んでいたのですが、当時本業が忙しく、熱しやすく冷めやすい性格ゆえ、それっきりになり現在に至っています。 その後数年にして、養殖鮎を「天然鮎」とする虚偽表示はなくなりました。 現在は、養殖鮎は「養殖鮎」の表示で売られています。 当然ですが、どうしてそうなったのかは判然としません。 しかし今でも、観光地で炭火で焼いている鮎の塩焼きや、お土産屋さんで売っている鮎の様々な加工品は100%養殖です。 それを買う観光客は、天然鮎と誤認して買っています。 売る側もあえて養殖とはいいません。 これって、どうなんでしょう........。 附録 天然鮎と養殖鮎の見分け方 はっきり言って、スーパーやデパートで売っているのは全て養殖です。 天然鮎は流通には乗りません。 ですから見分けるチャンスもないのですが、一応お教えいたします。 天然鮎はスマートです。柳の葉のような姿です。 それに対して養殖鮎は、頭の後ろの「肩の肉」が盛りあがっています。 デブ鮎は養殖です。味も大味でバサバサです。 |
evozou@スペイン | 2005.01.27 | 多分、それは”天然仕立て”ではないでしょうか? 母の実家が和歌山で鮎の養殖を手がけており、以前より自然の鮎が食べている藻に近い成分を配給した飼料で鮎でを育て、また渓流に近い流れも作り出すことで、味も香りも天然に近いものを作っていたように思います。 恥ずかしながら、小生も天然モノを口にしたことが無いのですが、一応その“天然仕立て”も、「香魚」といわれるスイカのような香りがした記憶があります。 |
神奈金 | 2005.01.27 | 鮎の件、ニセボウズ様のお気持ちわかります。 天然物と養殖物、違いますものね、味も香りも。 天然は近寄っただけでぷ〜んと香ってきます。 でも、養殖物もそれなりに美味しいと思うのですよ。 それに、昔は川の近くでしか食べれなかった「鮎」が、今では何処でも食べれるようになりましたし、それは養殖の「功」だと思います。 鮮魚売り場での「偽装表示」の件、evouzou@スペインさんの言われるとおり「天然仕立て」「半天然」ものだと思います。 それと、「純天然物」も流通しています。 産地の川の解禁日によって違ってきますが、夏場になると築地にも入荷します。 広島の大田川、和歌山の紀ノ川、熊本の球磨川、あと岡山や茨城辺りからも入ります。 一尾どうでしょうか、店頭では2000円を越えると思います。 解禁日直後だともっと高いかと。 養殖物だと、サイズにも寄りますが200円前後ですか。 問題の養殖物の「天然仕立て」ですが、スペインさんの言われるとおり、従来の養殖物より工夫を凝らし、味・香りがより天然に近づけてあり、市場でもそれなりの評価を得てきました。値段は倍位でしたか。 最近は表示の問題もあり、昔に比べると値が出なくなっていると聞きます。 一昔前、今ほど表示が厳しくなかった頃、その「天然仕立て」をどうアピールするかはお店での悩みの種でした。 いちいち説明して売るわけにもいかず。それでいっそうの事というわけで、ケッコウ「天然」と表示してある店もありました。勿論これは御法度です。 天然物と養殖物の見分けは、私は尾に近い所の黄色い紋でしていましたが。 天然物はこれがはっきりしていて、養殖物はぼやけています。 一応流通に携わる者として「事情説明」というか「釈明」というか。 勿論、今も昔もこれはペナルティです。 観光地で売られている鮎は養殖物だと思います。 売り場の責任者が「分からない」といったのは、恐らくウソだと思います。 責任者であれば分からない訳が有りません。まずいと思って、とぼけたのかな? 関東と関西は、恐らく関係ないかと私は思いますが。 |
白浪@舞鶴 | 2005.01.28 | >一尾どうでしょうか、店頭では2000円を越えると思います。 東京だと、天然物はそんな値段になるのですか(@_@) 海原遊山...モトイ、北大路魯山人が鎌倉まで運ばせた時代ならともかく http://www.fserc.kais.kyoto-u.ac.jp/main/centernews/h16/newsp021.html とんでもない値段ですねぇ(-_-;) σ(^ ^;は、魯山人が鮎を運ばせた和知の隣町に暮らしていますが,天然物でもせいぜい養殖物の倍くらいですね. 京都の錦市場でも、そんなにベラボーな値段は付いてないような気がします...三倍くらいかな。それでも買わないけど... シーズン中に何度かは、たくさん取れたからって貰えるし(^o^) |
琵琶湖オオナマズ | 2005.01.28 | 10年ぐらい前の話、兵庫の円山川(だったと思う)で、アユ釣り師が友釣りで釣った大鮎を、その日に送ってもらって翌日に店頭で売るということをやりました。 当然、釣った人も釣った時間も、どんな流通になってるのかも全部分かる。 表示は、「円山川の天然アユ」にしたと思います。 うちの店のなかで、いちばん良い物が売れる店だけに品揃えしました。 値段は、たぶん、養殖物の3倍弱くらいだったと思います。 その当時は、まだこういう趣味的な企画も打てたんですが、今は「効率優先」「利益絶対確保」ですから、ロスの確率が高い取組は難しいですよね。 同じ頃、天然仕様の養殖アユにも取り組みました。 この頃は、まだ品名表示がうるさくなかったのですが、ごまかし表示はいけないという考えははっきりしてましたので、「天然仕様」としながら「養殖場名」も入れてラベル表示しました。 しかし、この表示のしかたは消費者には分かりづらかったようで、何度も質問がきましたねえ。 自分でいうのもなんですが、うちは「できるだけ正確な表示をする」というポリシーでやってましたから、こんな表示になったのですが、他の店では、「天然」「天然仕様」となってましたね。 その当時は、このアユで養殖場名の表示をしたところはなかったと思います。 そのうち、ナマのアユが売れなくなり、売れるのは1尾100円の特売の時だけになりました。 特売チラシも、チラシの効率が問題になり始めて、アユよりマグロのほうが効率がいいという話になって、いつの間にやら、アユがチラシに載らなくなってしまいました。 今、アユ業界は大変ですよね。 鮮度の良い生アユの塩焼きは美味しいのですが、なかなか普通の人は、そんなのは家でしません。 ですから、シーズンの5月〜7月でも、かつ土日といえども品揃えしていないお店があります。 http://f26.aaa.livedoor.jp/~tingyo/ayugohan.htm (下の文章参照) 以前、みなさんに焼き魚のアンケートをお願いしましたが、(下記参照) http://www.fishml.com/yakizakana_matome.htm このアンケートの回答者はfishml会員さんが大半で、焼き方にこだわりを持ってる人が多いです。その中でも、「フライパンで焼く」人が約20%。 一般の人は、もっと高い比率で、焼き魚にフライパンを使っています。 そういう状態の中で、「生アユの塩焼き」で料理提案をしても、売れないのですよ。 (昨年のアユ業界のポスターは、「塩焼きが美味い」をコンセプトにして作られていました。僕は、現状がわかってないなあと思いましたね。) アユは、加工品も含めて、あらたな食べ方提案をしていかなければいけない魚種だと、切実に思いますね。 |
琵琶湖オオナマズ | 2005.01.28 | > ということは、琵琶湖乃至はその周辺の養殖現場に近い関西の消費者に対しては、 > おそらく露骨なウソは通用しないので曖昧にし、遠い関東ならどうせ分かりはしな > いのだから「天然鮎」で売ってしまえという、売る側の戦略が透けて見えました。 らくじんさんのサイトにグラフがありますが、養殖アユの生産量は、滋賀県は3位です。 1位 徳島、2位 和歌山。 http://www.tk2.nmt.ne.jp/~czar/ama/seisan.html 琵琶湖のアユは小鮎です。 この小鮎は、琵琶湖で一生をすごし、親になっても10センチぐらいです。 もちろん、川を遡上するやつもいます。(下記参照) http://f26.aaa.livedoor.jp/~tingyo/anegawayana/Resized/anegawa030525.html これのイメージで、アユ=琵琶湖=滋賀県=養殖アユとなるのでしょうが、残念ながら、全国統計では3位ですよ。まあ、主産地の一つではありますが。 「売る側の戦略」と言うより、各お店の考え方の反映でしょうね。 「天然仕様養殖アユ」というのが、それまでの養殖アユのカテゴリに入りきらず、消費者にどのように理解していただくのか、それぞれが悩んだわけです。 今のような品名表示の指針がなかった時代なので、うちは、先に投稿したような表示にしましたが、神奈金さんがお書きのようなこともあったわけです。 |
琵琶湖オオナマズ | 2005.01.28 | > しかし今でも、観光地で炭火で焼いている鮎の塩焼きや、お土産屋さんで売ってい > る鮎の様々な加工品は100%養殖です。それを買う観光客は天然鮎と誤認して買っ > ています。売る側もあえて養殖とはいいません。 観光地での品名偽装・産地偽装は、日常茶飯事でしょう。 この時期、どこの旅行会社でも「日本海カニツアー」をやってますが、そんなにたくさんのカニが日本海で獲れるわけがない。 旅館などで出てくるカニの大半が、カナダやアラスカやロシア産なのですよ。 もちろん、地のカニを出しているところもありますけど、そういうところはそこそこ値段が高いはず。 現状では、そういうところまで規制ができないのですよね。 僕なんかは、そういうことだと納得した上で「美味しけりゃいいや」と思って食べますけどね。 |
琵琶湖オオナマズ | 2005.01.28 | > 数年前までは、私の住む東京周辺のスーパーやデパートの鮮魚売り場で、養殖の鮎 > が堂々と「天然鮎」の表示で売られていました。ガキの頃から正真正銘の「天然 > 鮎」に親しんでいた私としては、一目で養殖と分かるニセ「天然鮎」に腹立たしい > 思いを持っておりました。 表示上の問題で腹立たしく思われること自体は、十分、理解できます。 しかし、この「天然仕様養殖アユ」が作られたこと、つまり、養殖でありながら、より天然に近い味や香りを持つアユを作ろうと努力された養殖魚家に対しては、その成果を認め敬意を表すべきだと、私自身は思っております。 |
琵琶湖オオナマズ | 2005.01.30 | > 多分それは”天然仕立て”ではないでしょうか? らくじんさんのサイトに、”天然仕立て”=天然仕上げアユについての説明が、写真入りで詳しく掲載されています。ご覧下さい。 http://www.tk2.nmt.ne.jp/~czar/ama/kaitou/a14.html なお、私がこれまでの投稿で「天然仕様養殖アユ」と書いているのも、これと同じものです。 養殖アユのことなら、らくじんさんのサイトを見れば、ほとんどのことがわかります。ぜひ、ブックマークしていただきたいと思います。 http://www.tk2.nmt.ne.jp/~czar/index_ama.html |
ニセボウズ | 2005.02.01 | 養殖鮎に関する皆さんからの様々なご教示、ご意見ありがとうございます。 大変勉強になりました。養殖鮎に対する見方が少し変わりました。 また、「天然」から「養殖}への表示の変化の経緯もよく分かりました。 「天然仕立て」だったら案外に美味なのかもしれませんね。 しかし、鮎用の投網3反を所持している私としては、意地でも食べられないというのが正直なところです。 とはいえ、養殖鮎が憎いわけではありません。 「告発」という挑発的な言葉が誤解を生んだかもしれませんが、私は養殖魚を否定するつもりはありません。 神奈金さんのおっしゃる養殖の「功」は、全くその通りと私も思いますし、琵琶湖オオナマズさんの養殖業者の努力に対する尊敬の念にも同感いたします。 問題は「表示」です。表示は流通の近代化の争点でした。 流通の近代化は、別の言葉でいえば消費者主権の確立の過程でもあったわけです。 その過程は、都合の悪いことは出来るだけ表示したくない業者側と、業界ベッタリの行政と消費者とのバトルの歴史でした。 この歴史は同時に、消費者主権の考え方を取り入れることに失敗した業者の淘汰の歴史でもありました。 今も続いていて、三菱自動車はその好例になるのかもしれません。 そのバトルの一つの結果として、鯛やハマチなどは養殖と天然の区別を明確に表示する義務が課せられ、行政の指導でそれなりに厳格に守られるようになっていました。 それなのに、鮎だけがなぜ白昼堂々とウソの表示で売られているのかと、当時の私は強い疑念を持ったわけです。 同時に、子供の頃から慣れ親しんできた鮎に対する冒涜行為とも感じられて、非常に腹が立ちました。 当時は外出した折りに、鮮魚店やスーパーの前を通るたびに買い物もしないのに入店しては、売られている鮎の表示を確認していました。 一度の例外を除いて、全て中味は養殖で表示が「天然鮎」でした。 なにしろ、一目見て分かりますから、というより鮎の姿を見なくとも値段で分かりますが、その度に疑念は募るばかりでした。 ちなみに、たった一度の例外は、いわゆる自然食品店のチェーン店の鮮魚売り場でした。 これは、正真正銘の天然鮎が2尾で形はかなり小ぶりでしたが、確か1500円くらいの値段が付いていたと記憶しています。 塩焼きにするには小さすぎたので買いませんでしたが、このときはなんだか嬉しかったですね。 しかし、養殖鮎を「養殖鮎」と表示した例は皆無でした。 これはおかしいぞ、と思いました。 そこにはなにか、おそらく流通段階での組織的な不正行為でもあるのではないか、と疑ったわけです。 今回、皆さんのご教示で、実際はそんな大げさなことではなかったということが分かり、なんだか拍子抜けした気分です。 単なる横並び意識の反映に過ぎなかったのかも知れませんね。 というわけで、長年の疑問が解消してスッキリ気分のニセボウズでした。 皆様、ありがとう御座いました。 ニセ鮎商法については思うところがあるので、再度投稿します。 |
神奈金 | 2005.02.01 | 私のメール、2箇所間違いがありました。 「価格」、2000円越えはそこまでしませんでしょうか。 ハシリの一番高い時でせいぜいそれ位で、1200〜300円位かな。 産地に近い市場ではもっと安い所もあるでしょうし、まぁもっと高いものも有りますし。 「紋」、胸ビレのすぐ下でした。私はよくこういう初歩的なミスをします。 今までも投稿で何度か有りました。良く確認しないものですから。ああ恥ずかしい! 私、鮎は専門ではないので、という事でご容赦下さい。 「表示」の問題は云われるとおりです。 私が「天然表示をしている業者がケッコウありました。」と「ケッコウ」をカタカナ表示したのも、偽っていた業者と正直な表示をしていた業者と、どちらが多かったかという点では自信が無いからでした。 その結果が云われるとおり、消費者に不信を抱かせ法規制が強化される事になりました。 自浄しきれ無かった業界の責任でもあります。 率直に言って「騙して売ろう」という考えはあったと思います。 私個人は、表示はあくまで正直にして、「養殖」であれ、「輸入物」であれ、それはそれなりに「価値」のある物だからということを訴えて買ってもらおうと考え、実行してきたつもりですが。 一方で、その「良く分かってもらおう」という点で、非常にもどかしさを感じてきました。 説明をすれば長くなります。 店頭でお客さんに話すにしても、そんなに長話はできません。 私は、業界で言う「冷凍物」を長く扱ってきており、ほとんどが輸入品です。 消費者には、「冷凍品」は鮮度が悪い、輸入品は国産品に劣り、いろんな面で安心ができないという一般的なイメージが有り、どうしても「決してそうではない」という事が伝えきれません。一概には言えません。話せば長くなります。 ということで以前から、fishmlで気になる投稿があっても時間の余裕も無く、中途半端に書けばなおさら誤解を招きかねず、できましたが。 これからは、時間の余裕も少しできましたので、できるだけ投稿させてもらいます。 |
らくじん@鮎屋 | 2005.02.03 | 亀レスになりますが、養殖業者の立場から、反論させていただきます。 なお、別スレッドの内容もありますので、誤解の無いようにお願いします。 まず、養殖業者は、天然鮎として出荷はしておりません。 表示義務があり、できません。 また、隣組制度に近いようなものがありまして、たぶん偽るとタレこみ等で大変な目に合うのは間違いないでしょう。 化けるのは流通段階で化けております。 養殖は、傍目から見たよりもハードで忙しいので、追跡調査をする余裕がありません。 食味についてですが、昨今飼育に関してもかなり改良がなされ、品質は昔の養殖とは違います。 しかし、仕上げる値段によって、その品質にはかなりの差があります。 いいものは割高になります。 天然以上の単価をいただけるなら、天然以上の品質も可能なのが現状です。 しかし、池で飼うとその時点で養殖ですから、価格は5分の1、10分の1になりますので、まず、黒字での販売は無理です。 それだけ、魚の世界では天然神話は生きています。 現実、品質は別にして、天然はそれだけで価値があることなんです。 鮎は本来成魚になると草食ですが、養殖は雑食を続けさせるので、魚種が違うと思うほど天然鮎とは異なるのが現状でしょう。 海面養殖のほとんどは肉食ですので、極端な差が無いのはそのせいです。 しかし、養殖で草食となると極端に成長が遅く、天然鮎価格で販売しないと採算になりません。 養殖鮎を天然鮎価格で買ってくれる人はかなり稀で、探すのに苦労すると思いますので、即、事業には結びつきません。 若い頃、天然鮎より美味しいと自負する鮎を作りました。 あとで、原価計算すると、キロ1万円を超えていました。誰も買ってくれませんでした。 ちなみに、その頃の某川の天然鮎はキロ2万円超でした。 三点目の形に関してですが、(ついでに、脂に関して)天然鮎が細くて脂が無いというのは、先入観です。 私は、魚を食べるのが好きで、周りの方もそれを知っていて、天然鮎も時折いだだきます。 特に私が鮎屋であるため、下手な物を持ってこれず、かなり環境の良い川で釣ったものを持ってきます。 春はやや水っぽく(これをあっさりしていると言うのでしょう)、うまくありませんが、夏になると、栄養満点になって、かなり脂を多く含み、丸々太っています。 下火などで焼くと丸焦げになって、苦いです。(秋刀魚のようにボンボン燃えます) これは、鮎が肥満体質で、脂肪などを蓄積しやすいからです。 なぜなら、台風等で、川床があれ、食べ物が何日も無くても生き延びる為の智恵だと考えられます。 しかし、養殖と天然とでは、脂肪酸組成にかなり差があります。 ご存知のように、脂肪が多く含まれない肉はうまくありません。 同じく脂肪分が少ない魚は、うまく無いのです。 要は、脂肪酸の組成と体重比率です。 また、どのような感じで含まれるか(しもふりとか)の問題もあります。 関連して、どのような調理をするのかによって、脂肪含量も増減があったほうが良いようです。 (注)天然鮎より美味しい養殖鮎:うちの前の川の天然鮎です。ダムができて30年以上経過して、美味しさ半減だそうです。また、近年の鮎は痩せて細いです。(セミ漁師の方に試食していただきました)ちょっと、天然鮎の食味とも違うとも言ってました。ただ、男前が悪い顔の形だけは、天然同様にはできませんでした。 輸入の鮎も最近みかけるようになりました。 とても、安くて、国産はたちうちできません。 我々生産業者は、流通の方の言われるように、品質はまずまずだとは、思えません。 理由は、機会があれば書くことにしましょう。 それなりの値がついていますが、やはりちゃんと理由があると思います。 鮎に限ったことではありませんが、不当表示に関しては、最終消費者が見分けるしか 無いように思います。 スーパーで、鰻1尾100円なんかで白焼きを売っています。 さすがに国産表示はなくなりましたが、生産地表示が無い場合が多いです。 ほうれん草しかり、シイタケしかり、・・・シビの漁獲海域の偽装表示が新聞で取上げられていました。 安くて美味しい物を食べたいのが心情ではありますが、良いものがそんなに安く手にはいることは無いと思って生きてゆくことが賢明だと常々思っております。 ですが、養殖は、美味しいものを安く作ることも使命の一つだとも思っております。 また、冷凍物はまずいという先入観も捨てた方が良いと思います。 極めれば生ですけれど、そこまで舌を鍛えた方が大勢いるとも思えません。 私たち職人は、少しの違いを追及しますけれど、商売には直接結びつきません。 窒素凍結や、余裕を持たせた在来の電気冷凍庫での加工は、かなり良い製品をつくることができます。焼き物にした時、違いがわかる人は少ないように思います。 まして、窒素凍結と電気冷凍庫凍結の差がわかる人は何人いるでしょうか。 天然とか養殖、冷凍に関して、マスコミ踊らされている場合が多いとは思いませんか? ウェブを渡り歩くようになり、そのことを痛感しております。 いかに、自分の知識がマスコミによって刷り込まれ軽薄だったのかと。 自分で実際に確かめると、現実が違うことに気が付きます。 「最後の清流と呼ばれている川は、何番目に綺麗な川なんでしょうか?」 大河川でダムの無い川ってあるんでしょうか?みんな言葉のあやですよね。 |
琵琶湖オオナマズ | 2005.02.03 | > 亀レスになりますが、養殖業者の立場から、反論させていただきます。 ありがとうございます。 産地の業者さんがいて、いろんな段階での流通にたずさわる人がいて、消費をする人がいて、それで成り立つのですから、産地の業者さんが出てきて下さるのは素晴らしいことです。これが、fishmlのいいところだと自負してます。 > 養殖業者は、天然鮎として出荷はしておりません。表示義務があり、できません。 > また、隣組制度に近いようなものがありまして、たぶん偽るとタレこみ等で大変な目 > に合うのは間違いないでしょう。化けるのは流通段階で化けております。 そのとおりでしょうね。 しかし、「天然仕立て」の養殖アユについて言えば、流通業者のところで、意図的に化けさせたのではないと思います。(そのあたりは、中国産の鰻蒲焼をパックして国産表示するのとは違うと思ってます。) 「天然仕立て」というのは、養殖アユではあるけれど、明らかに差別化されたアユだったわけで、その価値を「ラベル表示」の上でどのように表現すれば消費者に理解され、普通の養殖アユより価値があると(言い換えると「値が高い」ということ)認めてもらえるのか、悩んだわけです。 流通のところでもいろんな判断があって、「養殖やけど天然に近いのやから”天然”でいいやないか。そうでないと値がとれない」という考え方をしたところ、「養殖やから”天然”という表示はまずいで。”天然仕立て”にしとこ(養殖の表示はせず)」としたところ、そして、うちのように「天然仕様養殖アユ(土佐野養魚場)」としたところがあったということです。 「表示」というのは、ご存じのように、あの小さな価格ラベルにつけるわけで、字の大きさや字数に制限があります。その枠の中で、正確にわかりやすい表示をしなければいけないわけで、大変なことだったのです。 法律で「表示」の正確さと「詳しさ」を求められるようになって、価格ラベルも大きくなったり、表と裏に貼るようになりましたが、「天然仕立てアユ」が出たころは、まだそんな時代ではなかったので、みんな苦労したと思います。 > 現実、品質は別にして、天然はそれだけで価値があることなんです。 品質だけで言えば、天然より養殖がいいというのは、いくらでもありますね。 生より冷凍がいいというのも、また然りです。 別の話ですが・・・・・・・ 輸入物は嫌がる人が多い。それも、中国産は絶対いやだという人がいる。 先日、ニュースになっていましたが、輸入の第一位がアメリカから中国に変わったそうです。 イヤでも、知らないうちに中国産のものを食べているのですよ。 そして、中国と日本の経済的な関係は、切っても切れない状態になってるのです。 そういう事実認識が必要だと思います。 |
ニセボウズ | 2005.02.07 | > 私のメール、2箇所間違いがありました。「価格」、2000円 >越えはそこまでしませんでしょうか。ハシリの一番高い時でせいぜい >それ位で、1200〜300円位かな。 そうですね。そんなに高かったかな?とは思いましたが、鮎を買った経験のない私には判断が付きませんでした。 要は、天然鮎というものは庶民の日常の食卓に上がるようなものではないということですね。そこに養殖の「功」があるわけです。 > 「表示」の問題は云われるとおりです。私が「天然表示をしてい >る業者がケッコウありました。」と「ケッコウ」をカタカナ表示し >たのも、偽っていた業者と正直な表示をしていた業者と、どちらが >多かったかという点では自信が無いからでした。 > その結果が云われるとおり、消費者に不信を抱かせ法規制が強化 >される事になりました。自浄しきれ無かった業界の責任でもありま >す。率直に言って「騙して売ろう」という考えはあったと思いま >す。私個人は、表示はあくまで正直にして、「養殖」であれ、「輸 >入物」であれ、それはそれなりに「価値」のある物だからというこ >とを訴えて買ってもらおうと考え、実行してきたつもりですが。 本当に率直なお話で、考えさせられます。 業界の現場に身を置く方には、何かと苦労が多いですね。 > 一方で、その「良く分かってもらおう」という点で非常にもどか >しさを感じてきました。説明をすれば長くなります。店頭でお客さ >んに話すにしても、そんなに長話はできません。私は業界で言う >「冷凍物」を長く扱ってきており、ほとんどが輸入品です。消費者 >には、「冷凍品」は鮮度が悪い、輸入品は国産品に劣り、いろんな >面で安心ができないという一般的なイメージが有り、どうしても >「決してそうではない」という事が伝えきれません。 消費者というのはある意味で「無知で馬鹿でワガママ」な手に負えない存在でもあります。カシコイ消費者なんてどこにいるの?と思いますね。 そんな消費者の無知や間違ったイメージを正すというのは並大抵なことではありません。 私も牛乳関係の仕事をしていて感じるのはこのことです。 それでも、時には地道な努力が報われることもありますから、機会をとらえては出来るだけ説明するようにしています。 労多くして、ですが、理屈よりも想いが通じたときの嬉しさは格別です。 そんな時いつも思うのが、こなれない言葉ですが「食品リテラシー」教育の必要性です。 義務教育レベルで、栄養学の基本と、食品の生産、加工、流通の基本的知識を身につけて、ある程度のウソは見抜ける消費者を育てることです。 まあ、これはむなしい初夢でしかありませんが...。 |