秋刀魚の腹にウロコが入っているのはなぜだろう?
についてのの実証的解明
2004年10月 このスレッドに関連する話題が、再度fishmlで議論されました。その内容をここに追加しておきます。
投稿された会員さん | 投稿日 | 投稿内容 |
よっちゃん@栃木の魚屋や | 1999,10.15 | ある方から質問のメールをいただいたんですけど・・・こんな内容でした。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− さんまの肝を食べるのが好きなんですけど、肝の中に数枚のうろこが入っているんですけど、 あれは何のうろこでしょうか(多分さんまのだと思う) なぜ入るのでしょうか? −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− たしかにいわれてみれば入っていますねぇ。 なんで入っているのか知ってる方教えてください。お願いします。 |
河原@福山 | 1999,10.15 | たぶん、漁網にどどっと入ったときに、サンマ同志が擦れあってはがれた鱗が、否応なく口に入ってしまうのではないでしょうか。 岩手にいたとき、試験操業で取れたてのサンマをよく触りましたが、鱗がはがれて、手に青い点々がいっぱい付きました。サンマにこんなにたくさん鱗があるんだと驚きましたし、クロっぽい印象を持っていたサンマが実は青色なんだと実感できたのも、産地ならではのことだったようです。 広島まで来ると、鱗の付いたサンマにはなかなかお目にかかれ無いようです。 |
塩崎@東北大水産化学 | 1999,10.16 | そのとおりだと思います。 サンマは棒受網で取るのがほとんど?だと思いますが、そのときに口に入ってしまうそうです。 かなり密集していますからね。棒受網で取るようになる前はそのようなことは少なかったと聞いております。 サンマの内臓は苦くて大好きなのですが、これを知らなかったころはなんだか気持ち悪くて嫌でした・・・ |
吉田@香川 | 1999,10.16 | たしかに、胃、腸管内や肝(肝臓)付近に鱗が入っています。 私も、kawahara様、shiozaki様、ご指摘のように口からサンマ自身の鱗が入るものと推測し、消化管を食さず、その他の内臓部分を食べれば鱗を食さずにすむと考えましたが、それでも鱗が口にあたります。 やはり、肝臓の上部にも鱗が存在するような気がするのですがなぜでしょう? 私には謎です。 |
よっちゃん@栃木の魚屋や | 1999,10.16 | 皆様どうもありがとうございました。 さんまには鱗がないとおもわれがちですが、たくさんついていますからねぇ。 さんまはあの苦い肝が醍醐味だって言いますから、さんまの脂のうまみと、炭の風味と肝の苦味と塩加減・・・ うぅぅん・・七輪で焼いたさんまが食いたい。庭なんかないしなぁ〜(笑) |
Pinno小澤 | 1999,10.17 | 私も吉田さんと同じ疑問をずっと持っていました。口から入ったものならば胃腸管に最も多いはずなのに、むしろ、腹腔内の一部に固まって入っています。 異腸管が破れて外に出たんでしょうか? |
河原@福山 | 1999,10.19 | サンマの鱗の件ですが、塩崎@東北大水産化学さんフォローありがとうございました。 しかし!新たな疑問が・・・・。 > オフ会(土曜日のみ)から帰った、Pinno小澤です。 オフ会楽しかったようですね。次が隠岐だったらがんばって行きたいな。 > > 吉田@香川です。 こんばんは。 > > 私も、kawahara様、shiozaki様、ご指摘のように口からサンマ自身の鱗が入るものと > > 推測し、消化管を食さず、その他の内臓部分を食べれば鱗を食 > > さずにすむと考えましたが、それでも鱗が口にあたります。 > > やはり、肝臓の上部にも鱗が存在するような気がするのですがなぜでしょう? > > 私には謎です。 > 私も吉田さんと同じ疑問をずっと持っていました。口から入ったものならば > 胃腸管に最も多いはずなのに、むしろ、腹腔内の一部に固まって入っています。 > 異腸管が破れて外に出たんでしょうか? 前回回答した手前、放っておけません。 本日、謎を解明せむとスーパーにて購入したサンマ2尾を解剖に供しました。以下にご報告いたします。 【目的】 サンマ腹腔内の消化管外部に鱗が存在するか否かを確認する。 【材料及び方法】 1999年10月19日に広島県福山市内のスーパーで購入したサンマ(産地不明)2個体を、キッチンバサミを用いて開腹し、臓器を摘出後、腹腔内部及び消化管以外の臓器に鱗があるか確認した。 消化管内内容物をバットに広げ、水で洗浄後、内容物を肉眼で確認した。 【結果】 解剖した2個体とも、鱗は消化管内、特に肝臓上部の位置する前部(胃)に集中しており、後部(腸)には見られなかった。 消化管以外の腹腔内部には鱗は存在していなかった。 消化管内容物は、褐色の粘液状物質と鱗であった。特に胃には鱗が充満しており、外観からもそれが推察できるほどに膨らんでいる状況が観察された。 消化管内部の鱗は、鱗の一部に青い色素があるものと、色素が認められず透明なものの2種類に大きく分けられた。 1個体の消化管内から出てきた鱗は、100枚以上に達した。 【考察】 というわけで〜〜。やっぱり、小澤さんが最後に書かれているように、胃が破れて出てきたんじゃ無いかと思うんですよ。 なんで破れるかについては、加熱による胃壁の収縮が有力じゃないかと思います。 もう1尾あったら、鱗入りの消化管を生のときに摘出して、それだけアルミホイルかなんかに載せて加熱してみよ うと思ったんですけど、午後は子供の参観日だったのでやーーめた。というわけで、今度サンマ買ったら試してみようと思います。 んーー、今日は、ワタ無しのサンマだぜぃ。 KAWAHARA・キッチン・ラボラトリーでしたーー。ちゃん・ちゃん! |
塩崎@東北大水産化学 | 1999,10.20 | > 本日、謎を解明せむとスーパーにて購入したサンマ2尾を解剖に供しました。以下にご報告いたします。 これにはすっごく感心してしまいました。 私なんて”あれはサンマ自体のうろこなんだよ”って聞かされて、”ふ〜ん、そうなんだ”で納得して終わり。 実際に自分の目で確かめて見ようという河原さんの姿勢には頭が上がりません。 私も研究者としてもっと手を動かさなくてはいけないな〜、と思った次第でありました。 河原さんの実験第二段楽しみに待っています!! (^^ゞ |
河原@福山 | 1999,10.21 | > これにはすっごく感心してしまいました。 > 私なんて”あれはサンマ自体のうろこなんだよ”って聞かされて、 ”ふ〜ん、そうなんだ”で納得して終わり。 私自身、吉田さんや、小澤さんが疑問を投げかけて下さったおかげで、日頃何となく見過ごしていたことが確認できて、「胃からウロコ」いやいや、「目からウロコ」が取れたようでした。 > 実際に自分の目で確かめて見ようという河原さんの姿勢には頭が上がりません。 > 私も研究者としてもっと手を動かさなくてはいけないな〜、と思った次第でありました。 キッチンバサミ1本で、現役の院生の方にそう言われると、何となく、くすぐったいですね。 でも、今回のことで、「スーパーで買った魚でも、論文かけるかも・・・」なーーんて、本気で考えてしまいました。 > 河原さんの実験第二段楽しみに待っています!! (^^ゞ ネタ振って下さいねぇ。 |
Pinno小澤 | 1999,10.21 | > 前回回答した手前、放っておけません。 > 本日、謎を解明せむとスーパーにて購入したサンマ2尾を解剖に供しました。以下にご報告いたします。 いやー驚きました。やりましたね河原さん。(^o^)v やはり、口→胃でしたか。長年の悩みの一つが解消されました。 家部さん、河原さんの実験って表彰状ものじゃないですか? |
家辺@滋賀 | 1999,10.21 | > 家部さん、河原さんの実験って表彰状ものじゃないですか? そうです。 というのは、「秋刀魚の腹の中のうろこ」は、消費者からの質問が多いのです。 こういう形で解明してくださったことに対して、深く感謝の意を表したいと思っております。 この件は、おさかなML(fishml)ホームページにおいてWEB化させていただくと言うことで、河原さんのご了解を頂きました。 つきましては、「河原さんの実験」にいたるメールでのやりとりについても、WEBにさせていただきますので、ご了承をお願いいたします。 この件は、まあ、あまり差し障りのないことだと思いますので、たぶん反対される方はないだろうと思いますので、独断で進めさせていただきます。ご了承ください。(^_^;) m(_ _)m (*^_^*) |
くりさん@よこはま | 1999,10.22 | > 予告しておりました、河原さんの秋刀魚の解剖報告を中心とするスレッドを、「秋刀魚の腹にウロコが入っている > のはなぜだろう?についての実証的解明」という長い名前のWEBにして、おさかなML(fishml)ホームページに > アップし ました。> > ここです。けっこう、おもしろく為になるものになってますよ。 > http://www3.freeweb.ne.jp/business/hodaka/sanmanouroko.htm このように纏まると、メールとは違った印象ですね。 大変すばらしい内容です。 > 河原さんから、第2弾の実験報告がありましたら、この後に続ける予定です。 私もそうですが、他の方は、解剖なさらないのですか? 誰がやっても同じ結果だという証明が欲しい。 お前やれって。 いや、河原さんにお任せします。 |
Pinno小澤 | 1999,10.23 | > ただ、気がかりなのは、たった2尾で結論出していいの?ということでしょうか。 > 栗原さん、みなさん、是非追試をお願いしますよ。 きょうやってみました。146.3g、138.4gのもの2尾。産地は不明。 1尾のものは、腹腔・消化管ともにウロコは検出されなかった。 もう1尾は腹腔内では1枚のウロコも検出されなかったが、胃内には河原さんのご指摘どおり、褐色の粘液状物質(餌の消化されたもの?)と混じって30枚ほどのウロコが検出された。腸管まで達しているウロコはなかった。 《解剖の感想》 毎日、ウナギを解剖していますがサンマの解剖は初めて。 とにかくやり難い。 腹腔内にもアブラがギタギタ、内臓も柔らかくこんな状態なら焼いたとき破れやすいと思いました。 サンマの鮮度が悪いのかと思い、鰓蓋を切開して鰓を見てみましたが、鮮紅色で新鮮と思われました。 ついでに顕微鏡で鰓弁を見てみましたが、鰓薄板(ガス交換する組織)もしっかりしてとても綺麗でした。 鮮度が悪い場合、鰓薄板は溶けて鮮明に見れません。 鰓薄板はウナギと比較して密で、酸素を大量に取り込むことが可能と思われました。 ウナギの鰓弁・鰓薄板の写真は下記に少しあります。 http://www.ops.dti.ne.jp/~sasako/machine.htm |
家辺@滋賀 | 1999,10.23 | 今朝、市場で「サンマのうろこ」の話をしてたのですが、ウロコが内蔵に入っているというのを知らない人がいました。 小沢さんの実験でも、入っているのと入ってないのとがありますね。 これは、何ででしょうか。 → 新たな疑問・・・(^_^;)(^-^) |
Pinno小澤 | 1999,10.24 | > これは、何ででしょうか。 → 新たな疑問・・・(^_^;)(^-^) ウロコを飲み込む前にお亡くなりになったんじゃー・・・・? 目黒のサンマや、佐藤春夫さんが食べたサンマはウロコが入ってなかったんでしょうね。 関係ないですが、サンマの学名はCololabis saira(コロラビス・サイラ)というらしいんですが、このサイラって何かわかりますか? |
管理人のコメント | 随時 | いやいや、すごいスレッドになってきました。サンマだけで、こんなに盛り上がるなんて、すばらしいです。 まだ続くかもしれないので、詳しいコメントはもうちょっと後にします。(^_^;) サンマのうろこ その2へ |
投稿された会員さん | 投稿日 | 投稿内容 |
さけ | 2004.10.02 | 本日、会社の友人たちと通販のサンマを七輪で焼いて食べる会をしました。 お刺身でもOKというやつだったそうで、とても脂がのってておいしく、肝までがつがつと食べてたんですが、2匹に1匹ぐらい、肝を食べたら一緒にうろこも口に入ってくるんです。 サンマ本体表面には全くうろこが見あたらないのに、何で肝付近に鱗がたまってるのか、ものすごく不思議でした。 漁をしてから輸送の間のステップで、サンマの口からおなかの中に入り込んでくるのか、それともエラ付近にたまっていたのかと考えてみたのですが、どうもわかりません。 ご存じの方いらっしゃったら是非教えてください。 うろこの固まりに当たってたのが私だけだったみたいで、とてもくやしく思っています。 食べ方が上手じゃなかったのかなあ・・・。 ちなみに、本日のメンバーにはうまくさばける人がいないので、お刺身にはありつけず、みんな焼き魚にしました。 |
藤田 アルゼンチン | 2004.10.02 | (現在10月1日午後4時半です。日本は2日午前4時半 皆さんは布団の中でしょうか、起きておられますか?) さけ(酒 or 鮭)様 始めまして、兵庫県は 私も4才から11才まで過ごしました。 1953-1960年。 東灘です。ここで育ちましたので、(両親は全く関西にはえんもゆかりもありませんが) 私の言語形成時に備わった思考方法は、その後あっちこっち住みましたが、未だに関西型(ラテン系)と思われます。 さて、本題へ サンマは棒受け網漁で捕ります。若しくは刺し網で捕られます。でも殆どが棒受け網です。 大燭光の電気を片舷に付けサンマを集め、電気を一斉に消し、その後もう片舷側の電気をつけます。 そうするとサンマは船底から一斉に反対側の舷に仕掛けた、正に棒受け網に入ります。 このときにサンマとサンマが満員電車の中の如く擦れ合います。 このときにウロコが落ち、未だ生きているサンマは慌ててウロコを飲み込むと言うわけです。 おおどれの時程 このことが顕著になります。 おおどれ 多 オウ 捕 トレ と書くのでしょうね。 サンマの刺身の捌き方は、難しいですよ。 最初、頭の下に少し包丁を入れ、頭の部分を背中のほうにひっぱて行けば、皮が綺麗に取れます。(鮮度の良いものほど取れやすい)その後、あとは適当に骨を外します。 脂が多く、上手く出来ないと思いますので、その時は、鯵の様にたたきかナメロウにします。 関西の人は舐めろうをご存じないと思いますので、どなたかMLの皆さんからもご教授があると思います。 |
琵琶湖オオナマズ | 2004.10.02 | この問題については、以前から何度も質問があって、河原@福山(泡美)さんが、 実際に秋刀魚を解剖して検査をされた記録があります。ご覧下さい。 http://www.fishml.com/uonokenkyu/sanmanouroko.htm |
さけ | 2004.10.03 | 昨日の夜中に投稿したのに、早速お返事がいただけて嬉しいです。ありがとうございます。 藤田さま、解説ありがとうございます。 サンマの捕り方が、頭の中でイメージできました。 しばらく生きていた元気なサンマにはうろこが入っているということになりそうですね。 サンマの漁と言えば、実家にあった魚の図鑑(確か旺文社)に、サンマは「穴を開けたむしろを浮かべて、手づかみで取る」という記述があったので、今でもそうやっているのだと、最近まで思っていました(よくよく見れば、この漁法も、fish mlの過去ログで紹介されていました)。 「なめろう」ですが、確かに知りません。関東風の食べ物なのでしょうか。 藤田さまは東灘なのですね。私は須磨で育ちました。その後もずっと兵庫なのでどっぷり関西(ラテン)系です。 ちなみに、さけは「酒」の方です。酒乱ではないのですが・・・。 琵琶湖オオナマズさま 早速拝見いたしました。うろこは口からおなかに入っていたのですね。 なんと詳細な検証!驚きました。うろこがばらけず、固まりのまま存在していることの仮説まであり、大変興味深く読みました。 サンマのうろこは、透明な中に青緑のポイントが入っていて、綺麗でした。 泳いでいるサンマを見たことはないのですが、こんな色をしているのかなと考えていました。 |
藤田 アルゼンチン | 2004.10.08 | 目から鱗ならず、口から鱗 5年前にも盛り上がったのですね。 小員は、気仙沼時代に単身者にも拘わらず、多い時には10匹もサンマを貰い、じゃりじゃりした鱗が入っていることが多く、これではサンマのはらわたが食えんと、自分で料理していた時に疑問に感じたのです。 さて、手元にある広辞苑 CASIO電子辞書版に 「目から鱗がおちる」 → (新約聖書の使徒行伝から)あることをきっかけとして、急にものごとの真相や本質が分かるようになる。 と ありました。 どなたか、新約聖書に造詣のあるFMの方でも、この行伝中の鱗とはどの魚の鱗なのか究明して下さい。 淡水魚・海水魚 はたまた想像の動物?? |
めめちゃん@東京 | 2004.10.08 | 「目から鱗」の出典が聖書だとは知りませんでした。で、気になったので検索してみたところ、「ことばの泉」というメルマガのバックナンバーにこんな話しが乗っていました。 http://homepage1.nifty.com/TISE/phrase/p-51.html いやあ、なんとヘビだったんですね…。 |